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1章 記憶海の眠り姫
23 記憶海の眠り姫
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ぱか、と箱の蓋を開けば炎のような赤い石が鎮座している。
ソフィアが目を伏せたその瞬間、その石はぼうと光り始めた。蔦が踊っているかのように薄赤の細長い光が無数に宙を移動する。どこか幻想的な光景だ。
隣に立っていたセラフィはその様子に目を見張る。
ソフィアを囲むように旋回していた光は、やがて彼女の身体に溶けるようにして消えていった。光が溶けた一瞬、セラフィにはソフィアの髪が深紅に染まったかのように見えた。光が消えた時にはいつもの淡藤の髪が背を流れているだけだったが。
「ソフィア、何が……?」
「分からないわ。でも特に異常は見られない。大丈夫よ」
「ならいいけど」
言ったとおり。ソフィアの身体には特に問題は見られない。少し軽くなったような、なんとなくの違いしかない。
それよりも、だ。
「セラフィ、彼は……」
「あ。そういえばそうだった」
振り返れば、気まずそうな表情を浮かべて腕組みをしている黒髪の男が立っている。何か考え込んでいるらしい男――ルシオラの元へセラフィと共に歩み寄る。
二人が近づいてきたことに気がついた彼は顔をあげ、目を眇めた。
「ひとつだけ言いたいことがあるの」
「……なんだ?」
「リコを守ってくれて、ありがとう」
「……」
リコの能力を利用しようとしていた男だ。とはいえ、暴走したクロウから見捨てず守り、リコの態度を見ても乱雑に扱っていたわけではないらしい。そのことに関しては敬意を表すべきだろう、とソフィアは礼を言う。
ルシオラは無言で肩をすくめた。
次いで口を開いたのは彼の弟であるセラフィだ。
「兄さん。僕からも言いたいことがある。シャルロットもいなくて、彼らが眠っていて、兄さんにも邪魔がいない今だからこそ」
呼吸を整えて語る。
「僕にはもう、時間があまり残っていない……かもしれない」
「……何? どういうことだ?」
「兄さんは知っているだろう? イミタシアは能力を持っているけど、代償もあるって。僕の場合はどうやら身体が弱っているらしくてね。それを伝えておこうと思って」
「……」
愕然とした顔。翡翠の瞳の奥に絶望と憎悪が燃え上がりそうになる。それを見越してか、矢継ぎ早にセラフィは願いを口にする。
「だからね、兄さんには僕とシャルロットと関わる時間を増やして欲しい。精霊に時間を費やさないで欲しい。……僕は家族と過ごす時間が欲しい。彼らを見て、よく思ったよ」
ちら、とセラフィが向けた視線の先には仲良く眠っているカラスの姿。“家族”の愛情を見せつけられて何か思うところがあったらしく、ルシオラは奥歯を噛みしめながら眉間に皺を寄せた。
「……俺は、お前とシャルロットを苦しめた精霊を許せなくて」
「あぁ、分かっている。でもそれは僕には許せないことだ。それも含めて、一旦話し合おう。時間は残っていない、って言っても余裕はあると思うし」
「セラフィ……」
ソフィアは黙って見守っていたが、ルシオラがなんと答えるのかは予想がついた。冷徹な研究者のようでいて、情が深い人物であるようだ。
「……分かった。お前の願いを聞こう」
逡巡のあと発せられた言葉は僅かな不満が入り交じっていたが、それ以上に家族と過ごしたい欲が勝ったのだろう。弟に向き合って深く頷いた彼の顔に研究者としての色は消えていた。
セラフィは満足そうな笑みを浮かべた。
***
数日後。。
クロウが目覚めるのにかけた時間は三日三晩だ。ラエティティア王国の調査隊に協力してもらい、どうにかプレジールの家まで帰ってこられたソフィアは彼が眠っていたはずもベッドがもぬけの殻になっているのを見て肩をすくめた。
店先に出れば天高く昇った太陽の光を浴びる彼の姿がある。セルペンスによって小さな傷ひとつ残っていないし、黒く染まっていた髪も元の色に戻っている。
足音に気がついたらしいクロウはソフィアを振り返る。ニヤ、と浮かべた微笑みはいつも通りどこか胡散臭い。
「よっ」
「よく眠れたようね」
「おかげさまで。八年きっかり眠ってたのかと思ったけどそんなに経ってなかったな」
カラカラと笑う彼に暴走していた頃の面影は一切ない。
「……礼を言わせてくれ、ソフィア。色々とありがとう」
「私は特に何もできなかったわ。礼を言われるほどでもない。……体調は?」
「おう。人の心が読み取れなくなった以外には何も。ピンピンしてるよ。お前の心を読み取れなくなったのは残念だな」
「そう。別に読み取らなくて結構よ。個人情報は守られるべきだわ」
「ハハハ」
無言で日なたぼっこをすること数分、ソフィアは問いかけた。
「クロウ、貴方はこれからどうするつもりなの?」
クロウは空を見上げる。あの日見た海も似たような青色だったな、と思い出して目を眇める。ひとときの幻であったとしても、美しい光景を忘れることはない。
「どうしよっかなぁ。情報屋として上手くいくか分からないし、別の仕事でも探すかなぁ? でもまぁ、ひとつだけ決めてることはあるんだ。――俺たちは、海へ行く」
クロウが言う“俺たち”は、十中八九カラスのメンバーである。その彼らと海へ行く。夢はどうやら変わっていないらしい。
「眠っている時にずっと聞いていたんだ。実際は聞いたこともない波の音。潮騒っていうらしんだけど……それと同時にあいつの声が聞こえるんだよ。『先に海で待ってる。お昼寝してる』ってさ。あいつ、ほんと自由だよなぁ」
リコは幻の海に溶けて消えていった。ソフィアはそれを見ていた。
クロウの聞いた声は幻聴なのかもしれないが、リコが残したメッセージなのかもしれない。それには言及せず、ソフィアはただ微笑んだ。
「だからさ、みんなで海まで行ってあいつに会いに行こうと思う。昼寝してるなら起こしてやらないとな――とっても暢気で自由で優しくて、大切な俺たち家族の眠り姫に」
「それが良いと思うわ」
「お前も来いよ。きっと楽しいぜ」
「えぇ。出来たらね」
その夢が叶う日が訪れるのかは分からないけれど。
二人の視界に広がる空には、波の泡のごとく緩やかな白い雲が広がっていた。
久遠のプロメッサ 第二部一章 記憶海の眠り姫 完
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久遠のプロメッサ 第二部二章 誰が為の蛇
リトレの祭祀遺跡、その地上にて。高低差はあまり開いてはいないものの――とはいえ、成人男性五人以上の高さはあるだろう――、崖のように切り立った丘の上から眺める景色は美しい。下にはリトレの街が見え、でこぼことした屋根がぽつぽつと並んでいる。
セラフィとルシオラは二人立って時が過ぎるのを待っていた。なんとなく気まずい雰囲気が二人の間を漂っている。それもそうである。ルシオラはセラフィを含めた家族のために復讐に走り、その結果セラフィの仲間を間接的にとは言え死に追いやった男である。
セラフィも兄の気持ちが理解できないわけではない。だからこそ気まずい雰囲気のまま、ただ立って待っていることしか出来なかった。
彼らが待っているのは可愛らしい妹、シャルロットだ。彼女は青年レイと二人であちこち巡っているらしく、偶然プレジールに寄っていたところをラエティティア女王シエルのお付きであるアルに呼び止められたらしい。かの少年の計らいで、シャルロットは二人の兄が待つリトレへと向かっているとのことだ。プレジールから派遣された調査員がいち早くその情報を持ってきて、先ほど二人に伝えてくれた。
なぜプレジールで会わないのか、というのはルシオラがプレジールにて指名手配になっているせいである。ゆっくり話すには穏やかなリトレの、人もあまり近寄らない祭祀遺跡は絶好の場所であった。
「……ねぇ、兄さん」
沈黙に耐えかねたセラフィが口を開いたその時だった。彼は兄の方を見て、その瞬間驚愕に表情を強張らせた。
「兄さん!!」
弟の叫びにルシオラは首を傾げ――そして揺らぐ視界に疑問を抱く。
ルシオラは悟る。誰かに突き落とされたのだと。
しかし、あの場にセラフィとルシオラ以外の人間はいなかったはずだ。いたとしても、二人の内どちらかは気がついていたはず。それなのに、誰がルシオラを崖から突き落としたのか。
かろうじて視界に捉えた光景の中に、答えが映っていた。
不気味に明滅する“腕”だ。
遺跡の中で目にした瘴気と似た色彩の腕が地面から生えている。関節がないのか、ぐねぐねと気味の悪い動きをしながらルシオラに手のひらを向けている。どうやらそれに突き落とされたらしい。
一瞬しか見えなかった光景だが、ルシオラは腕から発せられる痛いほどの憎悪を確かに感じていた。腕について詳しいことは分からずとも、彼は自分が恨まれる立場にあることを充分理解していた。
自分に向けられる明確な悪意に自嘲しながら、ルシオラは落下する感覚に身を委ねた。
ソフィアが目を伏せたその瞬間、その石はぼうと光り始めた。蔦が踊っているかのように薄赤の細長い光が無数に宙を移動する。どこか幻想的な光景だ。
隣に立っていたセラフィはその様子に目を見張る。
ソフィアを囲むように旋回していた光は、やがて彼女の身体に溶けるようにして消えていった。光が溶けた一瞬、セラフィにはソフィアの髪が深紅に染まったかのように見えた。光が消えた時にはいつもの淡藤の髪が背を流れているだけだったが。
「ソフィア、何が……?」
「分からないわ。でも特に異常は見られない。大丈夫よ」
「ならいいけど」
言ったとおり。ソフィアの身体には特に問題は見られない。少し軽くなったような、なんとなくの違いしかない。
それよりも、だ。
「セラフィ、彼は……」
「あ。そういえばそうだった」
振り返れば、気まずそうな表情を浮かべて腕組みをしている黒髪の男が立っている。何か考え込んでいるらしい男――ルシオラの元へセラフィと共に歩み寄る。
二人が近づいてきたことに気がついた彼は顔をあげ、目を眇めた。
「ひとつだけ言いたいことがあるの」
「……なんだ?」
「リコを守ってくれて、ありがとう」
「……」
リコの能力を利用しようとしていた男だ。とはいえ、暴走したクロウから見捨てず守り、リコの態度を見ても乱雑に扱っていたわけではないらしい。そのことに関しては敬意を表すべきだろう、とソフィアは礼を言う。
ルシオラは無言で肩をすくめた。
次いで口を開いたのは彼の弟であるセラフィだ。
「兄さん。僕からも言いたいことがある。シャルロットもいなくて、彼らが眠っていて、兄さんにも邪魔がいない今だからこそ」
呼吸を整えて語る。
「僕にはもう、時間があまり残っていない……かもしれない」
「……何? どういうことだ?」
「兄さんは知っているだろう? イミタシアは能力を持っているけど、代償もあるって。僕の場合はどうやら身体が弱っているらしくてね。それを伝えておこうと思って」
「……」
愕然とした顔。翡翠の瞳の奥に絶望と憎悪が燃え上がりそうになる。それを見越してか、矢継ぎ早にセラフィは願いを口にする。
「だからね、兄さんには僕とシャルロットと関わる時間を増やして欲しい。精霊に時間を費やさないで欲しい。……僕は家族と過ごす時間が欲しい。彼らを見て、よく思ったよ」
ちら、とセラフィが向けた視線の先には仲良く眠っているカラスの姿。“家族”の愛情を見せつけられて何か思うところがあったらしく、ルシオラは奥歯を噛みしめながら眉間に皺を寄せた。
「……俺は、お前とシャルロットを苦しめた精霊を許せなくて」
「あぁ、分かっている。でもそれは僕には許せないことだ。それも含めて、一旦話し合おう。時間は残っていない、って言っても余裕はあると思うし」
「セラフィ……」
ソフィアは黙って見守っていたが、ルシオラがなんと答えるのかは予想がついた。冷徹な研究者のようでいて、情が深い人物であるようだ。
「……分かった。お前の願いを聞こう」
逡巡のあと発せられた言葉は僅かな不満が入り交じっていたが、それ以上に家族と過ごしたい欲が勝ったのだろう。弟に向き合って深く頷いた彼の顔に研究者としての色は消えていた。
セラフィは満足そうな笑みを浮かべた。
***
数日後。。
クロウが目覚めるのにかけた時間は三日三晩だ。ラエティティア王国の調査隊に協力してもらい、どうにかプレジールの家まで帰ってこられたソフィアは彼が眠っていたはずもベッドがもぬけの殻になっているのを見て肩をすくめた。
店先に出れば天高く昇った太陽の光を浴びる彼の姿がある。セルペンスによって小さな傷ひとつ残っていないし、黒く染まっていた髪も元の色に戻っている。
足音に気がついたらしいクロウはソフィアを振り返る。ニヤ、と浮かべた微笑みはいつも通りどこか胡散臭い。
「よっ」
「よく眠れたようね」
「おかげさまで。八年きっかり眠ってたのかと思ったけどそんなに経ってなかったな」
カラカラと笑う彼に暴走していた頃の面影は一切ない。
「……礼を言わせてくれ、ソフィア。色々とありがとう」
「私は特に何もできなかったわ。礼を言われるほどでもない。……体調は?」
「おう。人の心が読み取れなくなった以外には何も。ピンピンしてるよ。お前の心を読み取れなくなったのは残念だな」
「そう。別に読み取らなくて結構よ。個人情報は守られるべきだわ」
「ハハハ」
無言で日なたぼっこをすること数分、ソフィアは問いかけた。
「クロウ、貴方はこれからどうするつもりなの?」
クロウは空を見上げる。あの日見た海も似たような青色だったな、と思い出して目を眇める。ひとときの幻であったとしても、美しい光景を忘れることはない。
「どうしよっかなぁ。情報屋として上手くいくか分からないし、別の仕事でも探すかなぁ? でもまぁ、ひとつだけ決めてることはあるんだ。――俺たちは、海へ行く」
クロウが言う“俺たち”は、十中八九カラスのメンバーである。その彼らと海へ行く。夢はどうやら変わっていないらしい。
「眠っている時にずっと聞いていたんだ。実際は聞いたこともない波の音。潮騒っていうらしんだけど……それと同時にあいつの声が聞こえるんだよ。『先に海で待ってる。お昼寝してる』ってさ。あいつ、ほんと自由だよなぁ」
リコは幻の海に溶けて消えていった。ソフィアはそれを見ていた。
クロウの聞いた声は幻聴なのかもしれないが、リコが残したメッセージなのかもしれない。それには言及せず、ソフィアはただ微笑んだ。
「だからさ、みんなで海まで行ってあいつに会いに行こうと思う。昼寝してるなら起こしてやらないとな――とっても暢気で自由で優しくて、大切な俺たち家族の眠り姫に」
「それが良いと思うわ」
「お前も来いよ。きっと楽しいぜ」
「えぇ。出来たらね」
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二人の視界に広がる空には、波の泡のごとく緩やかな白い雲が広がっていた。
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セラフィとルシオラは二人立って時が過ぎるのを待っていた。なんとなく気まずい雰囲気が二人の間を漂っている。それもそうである。ルシオラはセラフィを含めた家族のために復讐に走り、その結果セラフィの仲間を間接的にとは言え死に追いやった男である。
セラフィも兄の気持ちが理解できないわけではない。だからこそ気まずい雰囲気のまま、ただ立って待っていることしか出来なかった。
彼らが待っているのは可愛らしい妹、シャルロットだ。彼女は青年レイと二人であちこち巡っているらしく、偶然プレジールに寄っていたところをラエティティア女王シエルのお付きであるアルに呼び止められたらしい。かの少年の計らいで、シャルロットは二人の兄が待つリトレへと向かっているとのことだ。プレジールから派遣された調査員がいち早くその情報を持ってきて、先ほど二人に伝えてくれた。
なぜプレジールで会わないのか、というのはルシオラがプレジールにて指名手配になっているせいである。ゆっくり話すには穏やかなリトレの、人もあまり近寄らない祭祀遺跡は絶好の場所であった。
「……ねぇ、兄さん」
沈黙に耐えかねたセラフィが口を開いたその時だった。彼は兄の方を見て、その瞬間驚愕に表情を強張らせた。
「兄さん!!」
弟の叫びにルシオラは首を傾げ――そして揺らぐ視界に疑問を抱く。
ルシオラは悟る。誰かに突き落とされたのだと。
しかし、あの場にセラフィとルシオラ以外の人間はいなかったはずだ。いたとしても、二人の内どちらかは気がついていたはず。それなのに、誰がルシオラを崖から突き落としたのか。
かろうじて視界に捉えた光景の中に、答えが映っていた。
不気味に明滅する“腕”だ。
遺跡の中で目にした瘴気と似た色彩の腕が地面から生えている。関節がないのか、ぐねぐねと気味の悪い動きをしながらルシオラに手のひらを向けている。どうやらそれに突き落とされたらしい。
一瞬しか見えなかった光景だが、ルシオラは腕から発せられる痛いほどの憎悪を確かに感じていた。腕について詳しいことは分からずとも、彼は自分が恨まれる立場にあることを充分理解していた。
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