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2章 蒼穹の愛し子
8.5 白薔薇エレジー
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『神のゆりかご』から帰還してすぐのこと。時刻は午後の六の鐘を過ぎた辺りだ。
あの大精霊ビエントの協力を取り付けた王様はすぐさま愛する王妃の元へ走り去り、何やら話し込んでいる様子。少し外に出たいと報告しようと思った矢先、何やら王妃側の文句の嵐が扉の外から聞こえてきたため、訪問は諦めることにした。――『誕生祭』という単語が聞こえたので、おそらくその件に関して揉めているのだ。私が割って入る筋合いはないし、話し合いの終わりを待っている時間もない。外出することは誰かに言伝を頼んでおけば良いだろう。もう、誰にも言わずひとりで逃げ出したりする気はないから。
夕食会の準備をしている知人を探し、見つける。そして私は彼女――シェキナに花屋の位置を尋ねた。彼女ならシャーンスのことを私以上に知っているし、答えてくれる確信があったのだ。
シェキナは不思議そうな顔をしながらもまだ空いている店の名前と場所を教えてくれた。軽く礼を言い、まっすぐその場所に向かう。
何度も脚を運んだシャーンスは、いつも通り穏やかで優しい夕暮れを迎えている。
人々は仕事の終わりに向けてせっせと頑張っているし、その日の学校を終えた子供たちは元気に駆け回っている。どこからか香るのは……多分、シチューの匂い。
フェリクスが愛し、守ろうと決めた空間。その彼の意志を尊び、ずっと支えてきたあの人もまた、この景色を愛していたはずだ。
そんなことを考えながら小走りに教えてもらった花屋へ向かう。閉店は午後の七の鐘。あと少し。
大通りを少し外れた位置にあるその花屋は、小さくも温かな雰囲気の漂う場所だった。閉店間際だけあって店主のおじいさんが後片付けをしている。私は急いで近寄って、声をかけた。
「あ、あの!」
「おお、花をお求めで?」
「えぇ。白い薔薇、まだありますか?」
そう尋ねると、おじいさんはにっこりと人好きのする笑顔を浮かべて頷いてくれた。
「ありますよ。ちょうど今日仕入れたばかりでしてね」
「良かった」
「何本必要ですか? 本数が多ければリボンなどおつけしましょうか」
「ええと……十五本。ありますか? あったら、赤いリボンを付けて欲しいです。国の色の」
「白い薔薇を十五本で国の色のリボンですね。分かりました。急いでお包みしましょう。あなた、焦っているみたいだから」
「す、すみません」
「ふふ。若いって良いことですね」
おじいさんは可笑しそうに笑いながら店の奥へと消えていく。
値札を見ながら持ち合わせのお金を計算していると、しばらくしておじいさんが戻ってくる。両手には立派な花束が抱えられていた。純白の美しい花たち。翡翠のような色の紙で包まれ、黄色で縁取られた赤銅色のリボンが揺れていた。
つい、息を詰まらせてしまう。お礼を言って、お金を払わなければならないのに。
おじいさんはニコニコ笑って、そっと花束を私の腕へ渡してくれた。しわくちゃの手が私の肩を叩き、励ますように背を押してくる。
「あ、あの、お金を」
「渡したい人に早く渡してあげなさい。お金は良いから」
「……」
「元気になったらまた花を買いに来てくださいね。その時は笑顔でお願いしますよ。あなたはべっぴんさんだから、その笑顔で誰かを幸せに出来る」
「……」
笑顔。
今は無理でも、いつかはきっと。
「はい。ありがとうございます。いつか、また」
***
シアルワ城では、国に勤めてきた者たちの死を刻む慰霊碑がある。老衰でも精霊に立ち向かった後の惨殺でも、死因は問わず。国に貢献してくれたせめてもの敬意として長き時に渡り続けられてきた風習だ。
場所は本殿の外、騎士たちの本部、さらにその奥だ。騎士の稽古場から続く石畳をしばらく進み、街の喧騒も聞こえない静かな場所にそれはある。
きちんと手入れされているため、静謐ながらも綺麗な空間だ。立派な大理石の四角柱に小さく刻まれた名前たち。
「やっぱりここにいると思った」
「あら、クロウ。力を失ってもプライバシー侵害能力は健在ね」
「すごい名誉毀損なこと言うなよ!? ま、シェキナが『ソフィアが花を買いたいって言ってたよ~』なんて暢気に言ってたから、そこから推測したまでだ」
「さすが情報屋。その通りよ」
私はそっと花束を慰霊碑の側の献花台へ置く。毎日の献花により、台には色とりどりの花が並んでいた。そこへ加える純白は、ほんの少しだけ違和感があった。
けれど、これで良い。
「完全に、立ち直れたわけではないの」
あの日から、セラフィを失ったあの日から自分を責め続ける心は消えていない。
フェリクスの叫びに心打たれ、イミタシアたち全員の心を受け取ってもなお……刻まれた傷は治らない。
けれど、打ちのめされたままではいられないと、そう教えてもらった。
ひとりきりで終焉を待つつもりが、引っ張り上げられてしまった。
「でも。みんなのために、私のために、彼のために……戦うって決めたから。だから、これまでの私と決別をする。それをセラフィに見届けてもらいたくてね」
誰かに守られるだけでなく、大切な誰かを守る力を今度こそ。
胸に生まれた誓いを純白の薔薇たちに込めて。
騎士さながらに、その場に跪く。帯剣していた白銀の剣を引き抜いて、両手に持つ。これまで共に戦ってきた相棒だ。あるときは暴走したセラフィを止めるために使ったこともあったっけ。
あのね、セラフィ。
私、とても幸せ者だ。
これまでは、幸せ者だと言い聞かせて心を保ってきた。心の底ではどこまでも哀れで不幸でどうしようもない娘だと、そう思い込んでいた。
でもそうじゃない。そうじゃなかった。
私は沢山の人に思われて、心配をかけて、好きだと思われていた。
貴方にも強く強く心配されていた。それがすごく、嬉しかった。
私はずっと、貴方に助けられてきた。
そして、恩を返せずにいた。
だから、約束する。
幸せになる。そのために戦うよ。何があっても、もう諦めたりしないよ。
たとえこの世界に平穏が訪れて、みんなおじいさんおばあさんになって、死んでいったとしても。私は呪いが消えるなんて奇跡が起こらない限りは、ずっと生きる道を選ぶと思うのだけど。
永遠の時の中で、貴方の願いを叶え続ける。
心から、笑えるように頑張るよ。
だから。だからね。
***
剣を鞘に戻したソフィアはくるりと振り向いた。その顔に憂いはなく、クロウは小さく微笑んで肩をすくめた。
去り際、彼女は小さく呟いた。
あの日言いそびれてしまった、大切なこと。
今度はちゃんと、言葉にして。
「ありがとう、セラフィ」
あの大精霊ビエントの協力を取り付けた王様はすぐさま愛する王妃の元へ走り去り、何やら話し込んでいる様子。少し外に出たいと報告しようと思った矢先、何やら王妃側の文句の嵐が扉の外から聞こえてきたため、訪問は諦めることにした。――『誕生祭』という単語が聞こえたので、おそらくその件に関して揉めているのだ。私が割って入る筋合いはないし、話し合いの終わりを待っている時間もない。外出することは誰かに言伝を頼んでおけば良いだろう。もう、誰にも言わずひとりで逃げ出したりする気はないから。
夕食会の準備をしている知人を探し、見つける。そして私は彼女――シェキナに花屋の位置を尋ねた。彼女ならシャーンスのことを私以上に知っているし、答えてくれる確信があったのだ。
シェキナは不思議そうな顔をしながらもまだ空いている店の名前と場所を教えてくれた。軽く礼を言い、まっすぐその場所に向かう。
何度も脚を運んだシャーンスは、いつも通り穏やかで優しい夕暮れを迎えている。
人々は仕事の終わりに向けてせっせと頑張っているし、その日の学校を終えた子供たちは元気に駆け回っている。どこからか香るのは……多分、シチューの匂い。
フェリクスが愛し、守ろうと決めた空間。その彼の意志を尊び、ずっと支えてきたあの人もまた、この景色を愛していたはずだ。
そんなことを考えながら小走りに教えてもらった花屋へ向かう。閉店は午後の七の鐘。あと少し。
大通りを少し外れた位置にあるその花屋は、小さくも温かな雰囲気の漂う場所だった。閉店間際だけあって店主のおじいさんが後片付けをしている。私は急いで近寄って、声をかけた。
「あ、あの!」
「おお、花をお求めで?」
「えぇ。白い薔薇、まだありますか?」
そう尋ねると、おじいさんはにっこりと人好きのする笑顔を浮かべて頷いてくれた。
「ありますよ。ちょうど今日仕入れたばかりでしてね」
「良かった」
「何本必要ですか? 本数が多ければリボンなどおつけしましょうか」
「ええと……十五本。ありますか? あったら、赤いリボンを付けて欲しいです。国の色の」
「白い薔薇を十五本で国の色のリボンですね。分かりました。急いでお包みしましょう。あなた、焦っているみたいだから」
「す、すみません」
「ふふ。若いって良いことですね」
おじいさんは可笑しそうに笑いながら店の奥へと消えていく。
値札を見ながら持ち合わせのお金を計算していると、しばらくしておじいさんが戻ってくる。両手には立派な花束が抱えられていた。純白の美しい花たち。翡翠のような色の紙で包まれ、黄色で縁取られた赤銅色のリボンが揺れていた。
つい、息を詰まらせてしまう。お礼を言って、お金を払わなければならないのに。
おじいさんはニコニコ笑って、そっと花束を私の腕へ渡してくれた。しわくちゃの手が私の肩を叩き、励ますように背を押してくる。
「あ、あの、お金を」
「渡したい人に早く渡してあげなさい。お金は良いから」
「……」
「元気になったらまた花を買いに来てくださいね。その時は笑顔でお願いしますよ。あなたはべっぴんさんだから、その笑顔で誰かを幸せに出来る」
「……」
笑顔。
今は無理でも、いつかはきっと。
「はい。ありがとうございます。いつか、また」
***
シアルワ城では、国に勤めてきた者たちの死を刻む慰霊碑がある。老衰でも精霊に立ち向かった後の惨殺でも、死因は問わず。国に貢献してくれたせめてもの敬意として長き時に渡り続けられてきた風習だ。
場所は本殿の外、騎士たちの本部、さらにその奥だ。騎士の稽古場から続く石畳をしばらく進み、街の喧騒も聞こえない静かな場所にそれはある。
きちんと手入れされているため、静謐ながらも綺麗な空間だ。立派な大理石の四角柱に小さく刻まれた名前たち。
「やっぱりここにいると思った」
「あら、クロウ。力を失ってもプライバシー侵害能力は健在ね」
「すごい名誉毀損なこと言うなよ!? ま、シェキナが『ソフィアが花を買いたいって言ってたよ~』なんて暢気に言ってたから、そこから推測したまでだ」
「さすが情報屋。その通りよ」
私はそっと花束を慰霊碑の側の献花台へ置く。毎日の献花により、台には色とりどりの花が並んでいた。そこへ加える純白は、ほんの少しだけ違和感があった。
けれど、これで良い。
「完全に、立ち直れたわけではないの」
あの日から、セラフィを失ったあの日から自分を責め続ける心は消えていない。
フェリクスの叫びに心打たれ、イミタシアたち全員の心を受け取ってもなお……刻まれた傷は治らない。
けれど、打ちのめされたままではいられないと、そう教えてもらった。
ひとりきりで終焉を待つつもりが、引っ張り上げられてしまった。
「でも。みんなのために、私のために、彼のために……戦うって決めたから。だから、これまでの私と決別をする。それをセラフィに見届けてもらいたくてね」
誰かに守られるだけでなく、大切な誰かを守る力を今度こそ。
胸に生まれた誓いを純白の薔薇たちに込めて。
騎士さながらに、その場に跪く。帯剣していた白銀の剣を引き抜いて、両手に持つ。これまで共に戦ってきた相棒だ。あるときは暴走したセラフィを止めるために使ったこともあったっけ。
あのね、セラフィ。
私、とても幸せ者だ。
これまでは、幸せ者だと言い聞かせて心を保ってきた。心の底ではどこまでも哀れで不幸でどうしようもない娘だと、そう思い込んでいた。
でもそうじゃない。そうじゃなかった。
私は沢山の人に思われて、心配をかけて、好きだと思われていた。
貴方にも強く強く心配されていた。それがすごく、嬉しかった。
私はずっと、貴方に助けられてきた。
そして、恩を返せずにいた。
だから、約束する。
幸せになる。そのために戦うよ。何があっても、もう諦めたりしないよ。
たとえこの世界に平穏が訪れて、みんなおじいさんおばあさんになって、死んでいったとしても。私は呪いが消えるなんて奇跡が起こらない限りは、ずっと生きる道を選ぶと思うのだけど。
永遠の時の中で、貴方の願いを叶え続ける。
心から、笑えるように頑張るよ。
だから。だからね。
***
剣を鞘に戻したソフィアはくるりと振り向いた。その顔に憂いはなく、クロウは小さく微笑んで肩をすくめた。
去り際、彼女は小さく呟いた。
あの日言いそびれてしまった、大切なこと。
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