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3章 寂しがり屋のかみさま
8 寂しい君へ
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***
「怒られる? 僕と君が? 一体誰に?」
「そう。俺と君が傷つけてしまった人達に」
「……なら、今まで僕は何のために怒られるようなことをしてきたんだろうね?」
「それは……君にはこれまで自由なんてなかっただろうから。みっちり叱られて償いをした後には自由を捜しに行こう。そのくらいならきっと俺にも協力出来ると思うから」
みんなには罪を許してもらえないとしても、それくらいなら応援してくれると思うから。
レガリアはため息をつく。
揺れる蒼には強さと共に隠しきれない不安が滲み出ている。頬に触れる手も僅かに震え、ひんやりとしている。
怖いのだ。自信がないのだ。
自分の提案に。自分の答えに、不安を抱いている。この生まれてから十にも満たない半身は。
そんな無垢さを、自分はきっと愛玩したいと思っていたのだろう。
「君は優しいね。どれほど傷つけられようと、僕のように堕ちたりはしないんだろう」
今までレイの前で見せていた縋るような響きが消えて、ただただ静かな呟きがこぼれ落ちる。
「……分かった」
頬に添えられた手をそっと引き離し、一歩後退る。
瞬間、絵の具で塗りたくったような空が急激に陰り、その蒼さは黒く濁る。青々とした草原は色をなくし、寂しい世界が出来上がった。
色があるのは二人だけ。
風すらない空間に立ち尽くしたレイを真っ直ぐ見据え、それから指を鳴らす。
刹那、レイの前に黒一色の剣が浮かび上がった。瀟洒な装飾が施された黒い剣を彼が手に取ってくれたことを確認し、レガリアは対となる白い剣を顕現させる。自らはそれを右手で握りしめ、神の笑みを浮かべた。
「僕をその気にさせてみてよ」
レイは一瞬悲しそうに眉を寄せ、そして薄い唇を引き結び頷いた。
「――覚悟して」
***
ここは心象世界で、ここに存在するものは実体を持たないはずなのに。金属同士のぶつかる振動に体が一瞬痺れる。
静かな空間に剣戟の音が響き渡る中、レイはなんだか不思議な気分になった。
ただただ剣の打ち合いをしているだけだ。
はっきり言ってしまえば、レガリアは剣の扱いがそこまで上手くない。レイはそう思う。
これまで傍観者として見てきた争いが激しかったというせいもあるだろうが、きっとレガリアに剣を握った経験がなかったからでもあるのだろう。彼の経緯を聞くに、剣に触れることすら難しかったに違いない。
一方のレイは護身程度とは言え、ソフィアから少しは教わっている。その上、マグナロアでも剣術を見てもらった経験がある。
故に、どう踏み込むべきか分からずにいた。
(君は何を求めているんだろう)
横に一閃される白い剣を受け流し、迷い気味に攻め返すとひらりと避けられる。これの繰り返し。
これではいけない、何かをしないといけないと分かりつつそれが分からない。
レガリアの心を変えるような何かを――。
刹那、視界の隅に金色の何かが煌めいた。
チラリと見やった先、糸のように細いそれは黒い空を駆けて遠くへ消えていく。
同じものがまたひとつ流れた。間髪を入れずにまたひとつ。
それは金色の流れ星だった。炎を纏ったように力強く輝いて黒いキャンバスに線を描いていく。
「シャルロット」
自然と笑みが零れた。
そうだ。一緒に勝つのだと約束したではないか。
勝利の形は何だって良い。とにかく、この状況を打破して彼女の元へ帰るのだ。目の前にいる寂しい神様を引き連れて、隣に立たせて同時に叱られよう。
そう決めた瞬間、レイは攻め込む姿勢を止めて剣を逆手に持ち直した。
「――?」
怪訝に眉をひそめるレガリアの手前、黒い切っ先を地に向けて思い切り突き刺す。
与えられた武器を自ら手放したレイをレガリアは黙って見つめるのみ。真意を測りかねているのか、赤い瞳が僅かに眇められている。
二人の間に開いた距離はたったの数歩分。
レイは瞼を閉じ、一度だけ深呼吸をする。
次に覗いた蒼穹の瞳には、もう不安など浮かんでいなかった。
さく、さく、と草を踏みしめ前へ進む。短い距離をゆっくりと詰め、お互い容易に触れられる位置になるまで近づき――。
レガリアの空いた手を取って、引き寄せる。抵抗もなくふらつく体を両腕でしっかりと抱きしめた。
たっぷりの沈黙を挟んでもなおレガリアは白い剣を手放さない。
抱きしめられて自然と近くなった耳の側、ぽつりと問いかける。
「どういうつもり?」
「俺が嬉しくて泣きたくなったとき、いつも触れて貰っていたなって思い出したんだ」
全く同じ声で答えが返る。
「温かい手で俺の手を握って貰った。鼓舞して貰った」
「……」
「俺だけじゃない。俺が見てきた人たちもこうして手を握って、抱きしめて、触れ合って助け合ってきたように思う。だから……君にもこうして」
あれだけ憎んだ相手をこうして抱きしめるなんて少しばかり――否、とてつもなく複雑な気分であることに間違いはない。可笑しな自分に苦笑しつつ続ける。
「レガリア。俺の半身。今までよく頑張ってきたね。今までよくも傷つけてくれたな」
抱きしめた体は精神体のはずなのに血が通ったように温かい。その生々しい体温に更に複雑な感情がこみ上げる。
憐憫、憎悪。それから妙な親近感。
それらを全部押しつけて、レイは手に力を込める。
「君を可哀想だとも思う。許せないとも思う。でも、少し思うんだ。俺もシャルロットと出会えなかったら、君と同じになっていたのかもしれないって」
「僕が押しつけた運命だとしても?」
「それは後で改めて怒るとして。……とにかく、俺は寂しい君にひとかけらでも救われて欲しい。その上で罰を受けるんだ。さっきも言ったけど、一緒にね」
レガリアは剣を握っていない方の手を持ち上げてレイの肩越しに見やる。
今まで気にしてこなかったが、思っていたよりもほっそりとしていてどこか弱々しい雰囲気すらある。その弱々しい手と同じ形のものが自分の背中に回っていて、それを温かく感じるのだ。
久しぶり。あるいは初めての感覚はひどく心地よくて悪夢のようだった。
多分、自分はこれを求めていたんだろうなと思ってしまうくらいには。
「全く、魔性とはこのことか」
あの女神の子孫が入れ込んでいるのも分かるというものだ。
手から白い剣が滑り落ち、解けて消える。
「何か言った?」
「何も。正直、一度くらいは刺されると思ったから拍子抜けとは思ったけどね。――いいよ、認めてあげる。君との勝負は君の勝ちだ、レイ」
「そう。それは良かった」
「でもあの女の方はまだ決着が付いていないからね」
抱きしめながらも嫌みったらしく言えば、レイは自信たっぷりに言ってのける。
「シャルロットなら大丈夫。ほら、空を見て」
言われるままに黒い空を見上げる。
刹那、通り過ぎる金色の流星。いくつもいくつも流れてまるで雨のよう。
「あれは……」
「怒られる? 僕と君が? 一体誰に?」
「そう。俺と君が傷つけてしまった人達に」
「……なら、今まで僕は何のために怒られるようなことをしてきたんだろうね?」
「それは……君にはこれまで自由なんてなかっただろうから。みっちり叱られて償いをした後には自由を捜しに行こう。そのくらいならきっと俺にも協力出来ると思うから」
みんなには罪を許してもらえないとしても、それくらいなら応援してくれると思うから。
レガリアはため息をつく。
揺れる蒼には強さと共に隠しきれない不安が滲み出ている。頬に触れる手も僅かに震え、ひんやりとしている。
怖いのだ。自信がないのだ。
自分の提案に。自分の答えに、不安を抱いている。この生まれてから十にも満たない半身は。
そんな無垢さを、自分はきっと愛玩したいと思っていたのだろう。
「君は優しいね。どれほど傷つけられようと、僕のように堕ちたりはしないんだろう」
今までレイの前で見せていた縋るような響きが消えて、ただただ静かな呟きがこぼれ落ちる。
「……分かった」
頬に添えられた手をそっと引き離し、一歩後退る。
瞬間、絵の具で塗りたくったような空が急激に陰り、その蒼さは黒く濁る。青々とした草原は色をなくし、寂しい世界が出来上がった。
色があるのは二人だけ。
風すらない空間に立ち尽くしたレイを真っ直ぐ見据え、それから指を鳴らす。
刹那、レイの前に黒一色の剣が浮かび上がった。瀟洒な装飾が施された黒い剣を彼が手に取ってくれたことを確認し、レガリアは対となる白い剣を顕現させる。自らはそれを右手で握りしめ、神の笑みを浮かべた。
「僕をその気にさせてみてよ」
レイは一瞬悲しそうに眉を寄せ、そして薄い唇を引き結び頷いた。
「――覚悟して」
***
ここは心象世界で、ここに存在するものは実体を持たないはずなのに。金属同士のぶつかる振動に体が一瞬痺れる。
静かな空間に剣戟の音が響き渡る中、レイはなんだか不思議な気分になった。
ただただ剣の打ち合いをしているだけだ。
はっきり言ってしまえば、レガリアは剣の扱いがそこまで上手くない。レイはそう思う。
これまで傍観者として見てきた争いが激しかったというせいもあるだろうが、きっとレガリアに剣を握った経験がなかったからでもあるのだろう。彼の経緯を聞くに、剣に触れることすら難しかったに違いない。
一方のレイは護身程度とは言え、ソフィアから少しは教わっている。その上、マグナロアでも剣術を見てもらった経験がある。
故に、どう踏み込むべきか分からずにいた。
(君は何を求めているんだろう)
横に一閃される白い剣を受け流し、迷い気味に攻め返すとひらりと避けられる。これの繰り返し。
これではいけない、何かをしないといけないと分かりつつそれが分からない。
レガリアの心を変えるような何かを――。
刹那、視界の隅に金色の何かが煌めいた。
チラリと見やった先、糸のように細いそれは黒い空を駆けて遠くへ消えていく。
同じものがまたひとつ流れた。間髪を入れずにまたひとつ。
それは金色の流れ星だった。炎を纏ったように力強く輝いて黒いキャンバスに線を描いていく。
「シャルロット」
自然と笑みが零れた。
そうだ。一緒に勝つのだと約束したではないか。
勝利の形は何だって良い。とにかく、この状況を打破して彼女の元へ帰るのだ。目の前にいる寂しい神様を引き連れて、隣に立たせて同時に叱られよう。
そう決めた瞬間、レイは攻め込む姿勢を止めて剣を逆手に持ち直した。
「――?」
怪訝に眉をひそめるレガリアの手前、黒い切っ先を地に向けて思い切り突き刺す。
与えられた武器を自ら手放したレイをレガリアは黙って見つめるのみ。真意を測りかねているのか、赤い瞳が僅かに眇められている。
二人の間に開いた距離はたったの数歩分。
レイは瞼を閉じ、一度だけ深呼吸をする。
次に覗いた蒼穹の瞳には、もう不安など浮かんでいなかった。
さく、さく、と草を踏みしめ前へ進む。短い距離をゆっくりと詰め、お互い容易に触れられる位置になるまで近づき――。
レガリアの空いた手を取って、引き寄せる。抵抗もなくふらつく体を両腕でしっかりと抱きしめた。
たっぷりの沈黙を挟んでもなおレガリアは白い剣を手放さない。
抱きしめられて自然と近くなった耳の側、ぽつりと問いかける。
「どういうつもり?」
「俺が嬉しくて泣きたくなったとき、いつも触れて貰っていたなって思い出したんだ」
全く同じ声で答えが返る。
「温かい手で俺の手を握って貰った。鼓舞して貰った」
「……」
「俺だけじゃない。俺が見てきた人たちもこうして手を握って、抱きしめて、触れ合って助け合ってきたように思う。だから……君にもこうして」
あれだけ憎んだ相手をこうして抱きしめるなんて少しばかり――否、とてつもなく複雑な気分であることに間違いはない。可笑しな自分に苦笑しつつ続ける。
「レガリア。俺の半身。今までよく頑張ってきたね。今までよくも傷つけてくれたな」
抱きしめた体は精神体のはずなのに血が通ったように温かい。その生々しい体温に更に複雑な感情がこみ上げる。
憐憫、憎悪。それから妙な親近感。
それらを全部押しつけて、レイは手に力を込める。
「君を可哀想だとも思う。許せないとも思う。でも、少し思うんだ。俺もシャルロットと出会えなかったら、君と同じになっていたのかもしれないって」
「僕が押しつけた運命だとしても?」
「それは後で改めて怒るとして。……とにかく、俺は寂しい君にひとかけらでも救われて欲しい。その上で罰を受けるんだ。さっきも言ったけど、一緒にね」
レガリアは剣を握っていない方の手を持ち上げてレイの肩越しに見やる。
今まで気にしてこなかったが、思っていたよりもほっそりとしていてどこか弱々しい雰囲気すらある。その弱々しい手と同じ形のものが自分の背中に回っていて、それを温かく感じるのだ。
久しぶり。あるいは初めての感覚はひどく心地よくて悪夢のようだった。
多分、自分はこれを求めていたんだろうなと思ってしまうくらいには。
「全く、魔性とはこのことか」
あの女神の子孫が入れ込んでいるのも分かるというものだ。
手から白い剣が滑り落ち、解けて消える。
「何か言った?」
「何も。正直、一度くらいは刺されると思ったから拍子抜けとは思ったけどね。――いいよ、認めてあげる。君との勝負は君の勝ちだ、レイ」
「そう。それは良かった」
「でもあの女の方はまだ決着が付いていないからね」
抱きしめながらも嫌みったらしく言えば、レイは自信たっぷりに言ってのける。
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