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森谷
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「…この部屋、焦げ臭くない?」「ちょっと失敗した」「料理、練習してるの?頼君が作ってくれるでしょ」「…頼がいなくても困らないようになりたくて」ノゾミ君はそう言って換気扇を回した。
頼がいなくても。どういうことだろう。ノゾミ君の願い通り、頼君がノゾミ君を見限った?そんな馬鹿な。ノゾミ君が頼君を手放す?できるならとっくにしているはずだ。それができるならノゾミ君はこんなふうにならずにすんだ。知り合ったばかりの男に抱かれて、また別の男を探して、僕を誘って。本当に好きな男に嫌われたくて。
「あのさ、俺もっと書く。だから」「…これ以上は無理だ。僕以外の作画家を探してもらおうか?」「森谷さんじゃなきゃ嫌!」即答だ。嬉しい、嬉しいけれど「ノゾミ君」向き直った僕にたじろいだように俯く。「…ここにいたら、頼に迷惑だから」「この家を出たいの?」「頼は、頼は優しいから言わないだけ。俺が嫌いなのに、頼はそれを言わないでくれてるだけだから」
僕は立ち上がって換気扇を止めた。「料理ができるようになりたい、って頼君に言いなさい。頼のいないところに行く、って言えたら」僕は笑ってみせた。「原稿料あげてもらえるように交渉してみようね」
頼がいなくても。どういうことだろう。ノゾミ君の願い通り、頼君がノゾミ君を見限った?そんな馬鹿な。ノゾミ君が頼君を手放す?できるならとっくにしているはずだ。それができるならノゾミ君はこんなふうにならずにすんだ。知り合ったばかりの男に抱かれて、また別の男を探して、僕を誘って。本当に好きな男に嫌われたくて。
「あのさ、俺もっと書く。だから」「…これ以上は無理だ。僕以外の作画家を探してもらおうか?」「森谷さんじゃなきゃ嫌!」即答だ。嬉しい、嬉しいけれど「ノゾミ君」向き直った僕にたじろいだように俯く。「…ここにいたら、頼に迷惑だから」「この家を出たいの?」「頼は、頼は優しいから言わないだけ。俺が嫌いなのに、頼はそれを言わないでくれてるだけだから」
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