夢とリアル

春夏

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夢とリアル

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夢 side I

暗い。怖い。ここどこだろう。大学から帰ってきてご飯食べてお風呂入って…あぁ、夢か。夢だとわかったら怖さが薄れた。何も見えない真っ暗な中をあてもなく歩く。
「池田?」
不意に名前を呼ばれて心臓が跳ねる。恐る恐る振り向くとそこにいたのは…言えないけど絶対に言えないけど、大好きな人。
「木戸くん…なんでここに?」
あー、俺の夢だもんな。好きな人くらい出てきてもおかしくないか。
いきなり抱きしめられた。ウソでしょ。俺どんだけ好きなの。
「こんな暗いとこ、1人で怖かったやろ。俺が一緒におるから安心しい。」もう泣きそう。…いいよね、夢だもんね。思い切って抱きついた。優しく頭をなでてくれる。リアルじゃ考えられないことだよ。
「木戸くん大好き」
抱きしめてくれてる腕に力が入ったような気がしたところで目が覚めた。


夢 side K

暗い。なんやここ。
講義が終わって飲みに誘われて…風呂も入らんとベッドに倒れ込んだな。夢か。
少し歩くと暗い中ぼんやり人影が見える。あれは…見間違えるわけがない、夢に出てくれるなんて最高や!
「池田?」こんな暗いとこに1人にしてもうた。思わず抱きしめる。俺の腕の中にすっぽりおさまって、可愛すぎるわ。
「木戸くん大好き」
ウソやろ、なんていい夢やねん。俺も、と返事を返そうとしたところで池田が消えて…目が覚めた。


リアル side I

体に力が入らない。さっきまで抱きしめられてたんだよ。なんていい夢。だけどリアルでの関係性を思い出して悲しくなる。俺たちはただの先輩後輩。週に1度のゼミで会うだけ。学内メールのアドレスしか知らないような仲。なのにいつのまにか夢に見るほど大好きになってた。優しくてカッコよくて…でも男の俺なんて恋愛のスタートラインにさえ立ててないよね。…今日はゼミの日だ。俺はなんとか立ち上がった。
「隆貴ゼミ行こうぜ」中学からの親友、佐藤和高に声をかけられる。人見知りの俺はいつもカズに頼っちゃう。「今日こそ木戸くんとLINEの交換しろよな」俺が木戸くんのことを好きなこともすぐバレた。「…したいけどさ…無理だよー」なんて話してたら「何が無理なん?ってかはよせな遅刻やで」すぐ後ろから木戸くんの声。うぁー!聞かれてないよね。もう心臓がバクバク。「ほら、はよ」「はい!すみません。タカ、急ごう」俺はまたカズに頼りきり。
今日も木戸くんはカッコいい。「池田はどう思う?」なんて聞かれても緊張して答えられないよ。そんな俺に困ったように微笑んで「じゃあカズは?」あぁ、もう泣きそう。せっかく話しかけてくれたのに。カズが苦笑して俺の頭をなでた。


リアル side K

なんやねん、いいトコやったのに!池田が俺のこと好きだなんて、ホンマ、なんで起きてしもたんやろ!今日はゼミがある。池田ともっと仲良うなりたいわ。
ゼミの教室に向かう途中、池田とカズを見かけた。いつも2人でおんねん。カズになにか言われて真っ赤になった池田。…なんやの。まさかカズと付き合うとるとか…あかん!知らず知らず早歩きになって2人に追いつく。「……無理だよー」何が無理やの?!モヤモヤする気持ちを隠し軽く声をかけて追い抜いた。
ゼミが始まって2ヶ月。ちっとも俺に慣れてくれへん。カズに頭なでられとる…。夢では俺になでさせてくれたのに。ホンマにカズと付き合うとったらどないしよ。
ゼミが終わってカズに話しかけられた。「木戸くん、LINE交換してもらってもいいすか?」なんやねん。余裕か。イラつく気持ちを抑えて、ええよ、と応えると「ほらタカも!」すまん、カズ、おまえいいヤツや!うつむきながら池田がありがとうございます、と言った。赤くなっとる。可愛い。期待してもええんかな…


夢 side I

木戸くんとLINEを交換した。カズありがとー!嬉しい。まだ何も送れてないけど。今日もし夢で会えたら、すごく嬉しいって言わなきゃ。リアルで言えないことも夢なら大丈夫だもんね。
そんなことを考えながら眠りについたせいか、また真っ暗な夢の中。木戸くん、木戸くん、と呼びかける。…今日は出てくれないのかな。涙が出てきた。泣きながら木戸くんを探す。迷子みたいに泣きじゃくってる俺。馬鹿みたいだ。
すごい勢いで近づく足音。「池田!すまん1人にして!こない泣いてかわいそうに」木戸くんが来てくれた。嬉しくて嬉しくてますます泣いてしまう。
「泣いたらあかんよ。可愛い顔がだいなしや」抱きしめて優しく涙を拭いてくれる。
「木戸くん来てくれてありがとう。LINE交換できてすごく嬉しかった。……大好きです」よし、ちゃんと言えた。偉いぞ俺。「…ホンマに俺のこと好き?カズじゃない?」びっくりしすぎて涙がとまる。きちんと伝えなきゃ。カズへのものとは違う木戸くんへの想い。「…大好き」心の中をなんとか絞り出したら「俺もや」木戸くんにキスされた。


夢 sideK

「大好き」もう辛抱できひんかった。1度その唇に触れてしまったら離れられなくなってもうて何度もキスを求める。池田は嫌がるどころかおとなしく受け入れて蕩けた瞳。「…木戸くん…嬉しい」たまらん。口を開けさせて舌をむさぼる。合間から感じ入った声が漏れる。離したない!夢で終わりなんて無理や。伝えなあかん。ちゃんとリアルで池田を抱きしめたい。
「池田…俺のものになってくれへん…?」池田の体がこわばったのを感じる。嫌なんか…?呆然としていると唇に柔らかな感触。「…俺でいいの…?」「お前じゃなきゃあかんねん。ちゃんと伝えるから待っとって」夢の池田を通じてリアルの池田に伝わるよう、祈るように願った。


リアル side I

目が覚めたら泣いてた。夢であんなに泣いたんだもん、しょうがないよね。…でもホントに嬉しかった。木戸くんが「俺のものになって」って言ってくれていっぱいキスしてくれて…夢だからって勇気出して俺からもキスして。ヤバイ。顔が熱い。
でも間違えちゃいけない。あれは俺の夢。俺の願望だ。木戸くんがあんなこと思ってくれるわけないよ。勘違いしちゃいけない。いい夢だったな、それだけだよ。
そんな俺の心を揺さぶるようなLINEの通知音。
  おはようさん
  昨夜、池田の夢見たで
  かわいかったわ
…なにこれ。俺もしかしてまだ夢みてんの?………既読にしちゃったじゃん。返事、返事しなきゃ。どうしよ。嬉しいってこと、伝えていいのかな。
  おはようございます
  俺も木戸くんの夢見ました
  カッコよかったです
これを送信しちゃったらどう思われるんだろう。怖い。震える指をスマホに押し付けた。
もう講義なんか受けられる気がしない。「今日は休む」とカズに連絡してベッドに潜り込んだ。


リアル side K

送信してしもた。かわいかった、なんて、どない思うやろ。こんなんしとったから、とかなんとか、言い訳ばかりが頭をよぎる。…既読になっとるやんけ!引いとるやろか…怖くて返事が読めへん、ってか、返事が来おへん!まさか嫌われた?!ウソやろ………ヘコみにヘコんで20分、通知音にハッと顔をあげる。!!俺の夢見た?カッコよかった!!ヤバい、嬉しい、ホンマ夢ちゃうやろな!
  ありがとう
  嬉しいわ
速攻で送ったLINEには、いつまで待っても既読がつかんかった。
休み時間に池田の姿を探す。今日はゼミがないから探さな会えへん。広い構内、学食もいくつかあるから空振りばかり。ようやく4つめの学食でカズを見つけた。
「おう、カズやんか。…1人か?」「あぁ、こんちは。今日タカ休みなんです。風邪でも引いたかな」「…そか。見舞い行かんでええん?」「俺、今日、久々のデートなんすよ。…もし木戸くんがよければ行ってやってください。大学から近いんで。タカ1人暮らしだからちょっと心配なんです」「…俺なんか行ったら困らへんかな…」「きっと喜びます!あとで住所送りますね」
急展開や。頭がついてこおへん。池田の部屋……、あかん、心臓バクバクしとるわ。講義なんか耳を素通りや。それにしても、カズには相手がおったんかー。ホンマよかった。送られてきた住所を眺めながらなんとか午後をやり過ごした。


夢 side I

ベッドでジタバタしているうちにいつのまにか眠ってしまったようだ。いつもの暗い暗い場所。どんなに待っても木戸くんは現れない。やっぱりあんなの送っちゃったから、夢でも嫌われちゃったのかな…。俺は膝を抱えて途方にくれた。木戸くん、ここは怖いよ。早く来て、大丈夫やって抱きしめて。木戸くん、木戸くん、俺はまた泣いてしまった。
インターホンが鳴って目が覚める。今日休んだからカズが来てくれたのかな。俺こんな、泣きました、って顔してたら余計心配させちゃう。無理やり笑顔を作ってドアを開けたら…そこにいたのは木戸くんだった。


リアル

インターホンを何度か鳴らす。寝とるんかな。帰った方がええやろか。グズグズしとったら「カズ?ごめんね待たせちゃった………」ドアを開けて驚いとる。俺やなんて思うてもみんかったようでポカンと口を開けた。「…木戸くん、なんで…」その顔は明らかに泣き腫らしていて、たまらず抱きしめた。
え…?木戸くん?なんで?!ちょっと待って、俺もしかしてずっと夢見てたの?!………だって木戸くんに抱きしめられてる。「泣いとったんか?大丈夫、俺がおるよ」ほら、やっぱり夢だよ、夢と同じこと言ってるもん。そっか、じゃ俺も言っていいよね。「ありがとう。木戸くん大好き」木戸くんの腕に力がこもる。「夢みたいや。ホンマ夢ちゃうやろか」
!!やっぱり夢じゃないの?!ウソでしょ、俺、夢だと思って、好き、なんて言っちゃったじゃん!でも…木戸くんは俺を離そうとしない。それどころか顔がゆっくり近づいて…「俺も池田が好きや」優しいキスをされた。
何度めかのキスのあと、まだ玄関だったことに気がついて慌てて部屋に招いた。その間も木戸くんは繋いだ手を離さない。本当なんだ、本当に俺のこと好きになってくれたんだ。実感したらまた涙がこぼれてしまって、木戸くんはそんな俺を見てアタフタしながら「泣かんといて。あぁでも泣き顔も可愛い」なんて言うから、嬉しくて愛しくて泣き止むことができなかった。


夢 side K

泣き疲れて俺の腕の中で眠る池田。これは夢やない。池田の頭をなでて俺も目を瞑った。
いつもと違う明るい場所。「木戸くん!」池田が俺に駆け寄る。「いつも真っ暗だったのに」不思議そうに首を傾げる。可愛い。もう離せんわ。「俺のもんになってくれてありがとう」真っ赤になる池田。「…木戸くんのものにしてくれてありがと」どちらからともなくキスを交わした。「あぁー、えっとな、そのー………早う全部俺のもんにしたいわ…」ヤバい。心の叫びが漏れてもた。少し考えてその意味に気づいたらしい。沸騰したように赤くなって、小さな声で「……俺の全部、木戸くんのものにして……」と言うてくれた。


リアル

!!ヤバイやろ!バッチリ起きた。あちこち起きた。あかんあかん、まだ今日両思いになったばかりやんか!ムスコよ鎮まれ……頭の中で念仏を唱えとると、いつのまにか目を覚ました池田が夢と同じような真っ赤な顔で俺を見つめとった。「…どしたん?」「…木戸くんの夢見て…俺…」突然、雷に打たれたように気づく。もしかして俺らはずっと同じ夢を見とったんと違うか?あの暗い場所で会えたんは、俺の心が作った池田やなくて。池田の夢に出たのは俺なんちゃうか?「…俺に全部くれるんやろ」池田も気がついたんかな。ポロポロ涙をこぼしながら「…俺をもらってください」と言った。

2人で風呂につかる。1人暮らしのアパートの風呂は2人で入るには狭すぎやから、背中から池田を抱え込んどる。ムスコが当たっとること気づいてるやろな…首すじにそっとキスを落とす。池田の緊張が伝わってくるわ。俺も緊張しとるな…男相手は初めてや。ツラい思い出にさせたない。やけど理性がもたへん。乳首をいじる指がとめられへん。抑えきれない、という感じで吐息をもらす池田。「…もう我慢できひんよ。ええんか…?」池田は振り向いて俺にキスをした。「…優しくしてね」耐えきれず舌をからめる。深い深いキス。お互いの唾液が混ざり合って糸をひく。狭い湯船でお互いをまさぐりあう。「…のぼせてまうな。ベッド行こか…」立ち上がればお互い張り詰めているのが目に入る。恥ずかしそうに目を背ける池田。あかん、可愛すぎる。おっぱいのない、同じモンついとるこの体が欲しくてたまらん。
池田の体をベッドに沈め、またキスを繰り返す。まったく飽きひん。女の子にもこんなにしたことあらへんのに。風呂でさんざんいじった乳首を舐めまわす。唇を噛んで声を隠してるから「声聞かせて」とねだる。「…あッ、…」思わず漏れた声が恥ずかしいのか、また真っ赤になっとる。「可愛ええ」口に出す何倍も頭の中では可愛ええが渦巻いとる。モノをしゃぶることになんの躊躇もあらへん。「…あッ、だめッ、、やだッ……イッちゃ、、…」「イッてええで」「…やッ、いっしょ、が、い…」そう言いながら俺のモノをしごく。2人のモノを合わせて一緒にこすりあげる。見つめ合ってキスをして、溢れでたものでお互いの腹を汚した。
いつか池田とできたら、といろいろ調べとった。いきなりこんなことになってしもたから、ローションもゴムもない。このまま先に進んだら痛いやろ。1度出したせいか、色気がダダもれや。こんな姿を見られるのは俺だけになったんや。優越感と独占欲。

木戸くんがしゃぶってきたのには驚いた。出ちゃいそうになって焦って木戸くんのモノを探す。俺達こういうことするの、初めてなんだよ。一緒にイキたい。伝わったみたいで一緒に。「ちゃんと準備してヤろな。痛い思いはなるべくさせたないねん」「…痛くてもいいよ……」抱きしめてくれる腕の中が幸せすぎて、俺の思考はそこで途切れた。「これからは夢の中だけやない、ずっと一緒や」


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