僕の幸せは

春夏

文字の大きさ
18 / 18

18

CLOSEDの札がかかった自動ドアは簡単に開いた。震える体を叱咤して店に足を踏み入れる。さぁ、何か言って。僕はただ、洸の言葉を待った。

「…悠…」泣くな、怯むな。前を向いて、しっかり立っていろ。洸が僕に近づく。何か言って、お願い、言って。

洸が僕の頬に触れた。何も言わずに。僕も何も言わずに、ただ洸の顔を見ていた。

「…悠が好きや」
洸が言った。謝罪でも言い訳でもない。“会いたかった”でもない。ただ僕がずっと求めていた、その言葉を。

「…洸…」言いたいことも言わなきゃならないこともたくさんあるはずなのに、言葉が出てこない。ただ洸の名前を呼ぶ僕を、洸が静かに抱きしめた。「悠」ただ僕の名前を呼ぶ洸の温度に、堪えていた涙が溢れた。

次の日、北斗が言った。「やっぱり2つ嵌めてんの、カッコ悪かったよ。あるべきところにあってこその指輪だろ」

僕は笑って応える。「北斗、大好き!2番目だけど」北斗も笑う。「俺だって、すぐに1番見つけてくるし。…悠、今のお前が1番可愛い。今まででイチバン。今だったら一晩中できそう」「…残念だったね」「あー!ちくしょう、もったいねえことしたわー!」

北斗がいたからだよ。洸を失った僕が幸せでいられたのは北斗がいたから。「北斗、ありがと」「ん」僕達はちょっと見つめ合って…そしていつものベッドみたいに大声で笑った。




ーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございました。
北斗エンドと迷ったのですが、こうなりました。
次の話もよろしくお願いします。
長編です。明日から投稿します。
ーーーーーーーーーーーーーーー

感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

komomo03
2026.04.06 komomo03

托卵されたって事は、悠と付き合っていた時から元嫁と関係があったって事でしょ。
別れ話しもキチンとせず。そんな男やだなー。
まぁ結局、悠が「忘れられない、今でも好きだ」って言うなら周りがどうこう言う話しじゃないけど…モヤります。

私も皆さんと一緒で北斗の方が良かったし、北斗に幸せになって欲しいです。

解除
Coco
2026.02.16 Coco

面白かったです。もし攻めが離婚した相手に“幸せになるべき”と言われて別れを選んだのであれば、また同じことを繰り返すのでは…と思ってしまいます。でも好きは理屈ではないので、受けが好きならもうどうしようもないですね。北斗と結ばれると思っていました。

2026.02.26 春夏

Coco様

感想ありがとうございます。
北斗が魅力的すぎて、結末は本当に悩みました。自分の幸せを自分で見つけることのできる人間でいたいと思いますが、なかなか難しいですよね。

解除
にいな
2025.12.15 にいな

とっても面白かったです✨
北斗君推しなので、北斗エンド熱望です!!!
ステキな作品✨ありがとうございましたm(_ _)m

2025.12.25 春夏

にいな様

嬉しいお言葉、ありがとうございます❤
自分で言うのもなんですが、北斗、いいですよねぇ。いつか書けたらいいな、と、思っています。

解除

あなたにおすすめの小説

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

【運命】に捨てられ捨てたΩ

あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」 秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。 「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」 秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。 【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。 なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。 右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。 前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。 ※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。 縦読みを推奨します。

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

お前が結婚した日、俺も結婚した。

jun
BL
十年付き合った慎吾に、「子供が出来た」と告げられた俺は、翌日同棲していたマンションを出た。 新しい引っ越し先を見つける為に入った不動産屋は、やたらとフレンドリー。 年下の直人、中学の同級生で妻となった志帆、そして別れた恋人の慎吾と妻の美咲、絡まりまくった糸を解すことは出来るのか。そして本田 蓮こと俺が最後に選んだのは・・・。 *現代日本のようでも架空の世界のお話しです。気になる箇所が多々あると思いますが、さら〜っと読んで頂けると有り難いです。 *初回2話、本編書き終わるまでは1日1話、10時投稿となります。

僕は今日、謳う

ゆい
BL
紅葉と海を観に行きたいと、僕は彼に我儘を言った。 彼はこのクリスマスに彼女と結婚する。 彼との最後の思い出が欲しかったから。 彼は少し困り顔をしながらも、付き合ってくれた。 本当にありがとう。親友として、男として、一人の人間として、本当に愛しているよ。 終始セリフばかりです。 話中の曲は、globe 『Wanderin' Destiny』です。 名前が出てこない短編part4です。 誤字脱字がないか確認はしておりますが、ありましたら報告をいただけたら嬉しいです。 途中手直しついでに加筆もするかもです。 感想もお待ちしています。 片付けしていたら、昔懐かしの3.5㌅FDが出てきまして。内容を確認したら、若かりし頃の黒歴史が! あらすじ自体は悪くはないと思ったので、大幅に修正して投稿しました。 私の黒歴史供養のために、お付き合いくださいませ。

虐げられた令息の第二の人生はスローライフ

りまり
BL
 僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。  僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。  だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。  救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。  お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。        

花いちもんめ

月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。 ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。 大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。 涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。 「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。