運命の相手 〜 確率は100 if story 〜

2. 縮められない距離

2-2 連絡先

side ヒカリ

「ただいま。遅くなってごめん」「お帰り。最後の路上はどうだった？」「うん、けっこう集まってくれた」「これからもがんばんなさいよ」うん、と返事をしてうがい手洗い。喉を大事にするように社長さんに言われてる。

部屋に戻ってメッセージをうつ。［無事に着きました。今日はありがとうございました］すぐに既読がつく。待っててくれたのかな。やっぱり広瀬さんて優しい。［そか。遅なってもうたし、ゆっくりお休み］俺もおやすみなさいのスタンプを返す。はぁー、緊張したぁ。あんなカッコいい大人の人とご飯食べるなんて。顔は…アキの方がちょっといいかも。でも広瀬さんは全体の雰囲気？オーラ？がカッコいいんだよなぁ…。そだ、アキにも連絡しなきゃ。［今日の歌、終わったよ］いまのうちにお風呂入っちゃお。

お風呂から出てスマホを見ればアキから着信が。かけ直したらすぐに出た。『ヒカ？帰るの遅くね？』『うん、誘われてご飯食べてた』『誘われたって…え？まさかあのサラリーマン？』『アキすごい！なんでわかるの？』『…マジか…』『広瀬さん、っていうんだよ』『…騙されてないよな？』『ちゃんと免許証みせてくれたもん』『やっぱり着いてきゃよかった…まさか次の約束なんかしてないよな』『してないけど』『けど？』『連絡先交換したの。ファンクラブできたら教えてって』『マジかぁ…』『ね、優しいよねぇ。俺の歌、すごくいいって』『家、教えたりしてないよな』『教えてないよぅ。駅前でさよなら、って。俺だってそのくらいのことわかってるんだから』『そうだよ、家バレなんかしたらファンが集まっておばさんたちにも迷惑かかるんだからな』『わかってるってば。エヘヘ、アキ、心配してくれてありがと』『ん。お休み』アキもいつも優しい。俺まわりの人に恵まれてる。いい気分でベッドに入った。