ドールとビルダーの街づくり

1.愛されたドール

2.王国の地図と黒髪

｢エージ殿、よく来てくださった。ストファイ王国をあげてあなたを歓迎いたす｣
｢エージでええよ。俺は神さんにここに連れてきてもろてん。ここでなら幸せになれる、て｣
｢なんとありがたいお言葉でしょう。神に感謝を｣
俺は２人に広間に案内された。

｢ところでエージ、早速だがこれを見てくれるか｣
｢地図か？ん？なんや、ここだけ光っとるやん。なんか特殊な絵の具でも使うとんのかいな｣
｢！言い伝えの通りだ！リンス、リンスの街だ！明日、リンスに向かうぞ！リンスに住む黒髪の者を集めよ！｣

俺はそこに居るだけやったけれど、２人のオトンのやることをずっと見とったからな。地図も絵の具ももちろん知っとる。オトン達が教えてくれたこと、ちゃんと知っとる。それを伝えたかった、そう言うたら神さんが俺に命をくれてここへ連れてきてくれたんよ。

｢リンス？に何かあんのかいな｣
｢おっと、これはすまなかった。この王国の言い伝えでな。招かれ人のパートナーがそこにいるはずなのだ｣
｢パートナー？｣
｢ここでエージが幸せになるために欠かせない人のことです。この地図には何の加工もありません。招かれ人にだけ光って見えるところ、そこにパートナーがいるのです｣
｢招かれ人、それこそが神が連れてきてくださったエージのことだ。食事をしながらゆっくり話そう｣
よく似た２人のオッサンの方、つまり王様がそう言うと、広間のテーブルに次々と料理が運ばれた。