ガルシア戦記

千山一

文字の大きさ
128 / 198
第4巻 新世界へ

第5章 番外編No.1

しおりを挟む
ーーーバロン城

「なに!?アジカ大陸から帰ってきただと!!」

俺は思わず声を出して叫んでしまった。
“ハッ!”と我に返って、アレサンドル3世の方へ見る。アレサンドル3世は
“おまえの口出すべきではない。黙って静観せい”という顔をしていたため黙って従う。
アレサンドル3世は黙っていることを確認すると、再びバロン兵の伝達係と向き合う。

「さて、伝達係よ。そなたが見つけた船は“バロン船で間違いないか?」

“バロン船は他の船と違って先端が鋭く、大きな特徴の船である。なので、他の船と間違える訳ではないのだ”とヴァレリー王子はそう感じ、アレサンドル3世の失敗が嬉しかった。何故ならアレサンドル3世は長く居すぎてしまったのだ。

「恐れながら、バロン船に間違いありません!ですが……」
「えええい!まどろこしい!すぐに言え!」

そう発言したのは“ヴァレリー王子”である。正直な話、ヴァレリー王子はあまり評価が悪い…短気だし、あまり物事を考えない節が見受けられた。

「おまえは黙っとれ!」

アレサンドル3世はヴァレリー王子に嗜めるかのように“ギロリ”と睨んだ。だが、ヴァレリー王子はここぞとばかりに口を出す。

「いいえ!黙りません。おい!おまえ、伝達係だったよな?」
「……え、、、あっはい!」

ヴァレリー王子は“ニヤリ”とこの世とは思えない不敵な笑みで口にする。

「よし!今から、そのバロン兵を沈めてこい!もともと、生き延びて帰ったものは容赦な無く海に沈めているからなぁ!」

“あぁ、この国はダメだ…”
たとえ、どんな最強の国でも人間関係になれば必ず衰退してしまう。口では“はっ”と答えても頭の中では国外亡命を考えていた。

「そりゃ、聞き捨てならんのう…」

聞き覚えない声が背後から聞こえてきた。
“何故、命令も無しに誰も来なかったのか?”
その疑問はすぐに答えを見つけてしまう。

「キサマ!何処から入ってきた!」

よく見たら“物体?人間?”みたいなものは“シルバードラゴンだ!”
シルバードラゴンはヴァレリー王子の方へ向いながらゆっくりと“パタパタ”とこちらの方へ近づいていた。

「どうでもええじゃろう?ワシはトップと話がある……それとも、おぬしがトップか?」
「な、なにを!!!」

冷ややかな目で見るシルバードラゴンに対して、ヴァレリー王子は“ワナワナ”と全身の体が震えていた。
そして次の瞬間、ヴァレリー王子が伝達係の兵の腰に剣を素早く奪い取り、シルバードラゴンに剣を振り下ろそうとしたのだが……。

「ギャーーーー!!!」

と、城中に響き渡る……もちろん、ヴァレリー王子の声の方だ。
ヴァレリー王子は相当、痛いのか?恥のことを知らずに叫んでいる。
それもそのはず、ヴァレリー王子は剣を振り下ろそうとした瞬間、片手が真っ二つに切断したのだ。

「レッド、遅かったのう」
「申し訳ございません。抵抗するバロン船が多かったもので……ところで、この物は切断しても良かったのですか?」

“ゾクゾク”
ヴァレリー王子は長年、王のナンバー2として執り行っていたから分かっていたのだ。
シルバードラゴンはともかく、レッドと呼ばれる秘書みたいな男性には逆らってはいけないことを。

「構わん、構わん、所詮、人間じゃ」
「そうですね。失礼しました」

レッドはシルバードラゴンに対して深々と頭を下げる。そして、ヴァレリー王子に対してレッドの方へゆっくり近づき、淡々と且つ冷静な口調で話し出す。

「おい、虫ケラ共、まずお前に命令しておく…面倒くさいから簡潔に話すぞ……」

話の内容はこうだ。
・切断した片手が痛いからといって叫ぶな。もし、叫ぶ要素があったら◯す。
・抵抗したバロン城兵は全員◯した。後から処理はしとけ。
など、信じられないようだが“もしかしたら本当にやってしまわないかもしれない”と感じてしまったのだ。

「シルバードラゴンどの……いや、様!もし、可能であれば切断した片手をひっつけて頂けないでしょうか?親バカで本当に申し訳ない」

いつの間にか同等の肩を並べて、しかも土下座をしている“アレサンドル3世王”に対し、シルバードラゴンがレッドの肩に背負っている…まさに逆転現象なのだ。

「よかろう。ただし、ワシの願いではなく命令じゃ。よいな?」

アレサンドル3世王は黙って首を大きく立てを振る。それを確認をしたシルバードラゴンは、レッドに対して無言で合図を送る。
レッドもお辞儀をしながら、切断したヴァレリー王子を拾い上げて元にあった位置に魔法をかけている。

「よし、完了じゃ。ところでヴァレリー王子といったかのう?どうじゃ?痛いか?もし、痛かったら、すぐにレッドにいうがよい。楽して死に方があるからのう」

“コイツはマジだ…”
バロン帝国、ナンバー2に対して警告が訴えている。思えば死ぬほど経験を体験をしていたが、これほどまで“死”を身近に体験したことがない。

「で、バロン帝国の長よ。改めて命令するが聞くがよい。それは…」

内容はこうだ。
・アジカ大陸には2度侵略はしない。国家があっても同じである。
・クリスティーナの親族、すべて免除すること。あと、アジカ大陸の兵士も同等に扱うこと(すべて免除)
シルバードラゴンが話終えると、面倒くさそうにコレを渡す。

「……なんですか?コレ?」
「もし、お主がちょっとの下心を持った場合、警告するシステムじゃ。ただし、他の国が侵略した時に守ってくれる代物じゃ」

“ははは……”とアレサンドル3世王は頭を下げた。
“なんて自分は愚かなことをしたんだ…”
自分の愚かさと侵略をやめることにした。後にアレサンドル3世王は英雄と呼ばれるようになっていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。 一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。 やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。 蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。 ……けれど、蘭珠は知っていた。 夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。 どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。 嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。 ※ゆるゆる設定です ※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

処刑から始まる私の新しい人生~乙女ゲームのアフターストーリー~

キョウキョウ
恋愛
 前世の記憶を保持したまま新たな世界に生まれ変わった私は、とあるゲームのシナリオについて思い出していた。  そのゲームの内容と、今の自分が置かれている状況が驚くほどに一致している。そして私は思った。そのままゲームのシナリオと同じような人生を送れば、16年ほどで生涯を終えることになるかもしれない。  そう思った私は、シナリオ通りに進む人生を回避することを目的に必死で生きた。けれど、運命からは逃れられずに身に覚えのない罪を被せられて拘束されてしまう。下された判決は、死刑。  最後の手段として用意していた方法を使って、処刑される日に死を偽装した。それから、私は生まれ育った国に別れを告げて逃げた。新しい人生を送るために。 ※カクヨムにも投稿しています。

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

【完結短編】真実の愛を見つけたとして雑な離婚を強行した国王の末路は?

ジャン・幸田
恋愛
真実の愛を見つけたとして政略結婚をした新妻を追い出した国王の末路は、本人以外はハッピーになったかもしれない。

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...