ガルシア戦記

千山一

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第2巻 親友との誓い

第2章 海上の侵入者 No.6

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「勘弁してくれよ……」

俺(ガルシア)はため息をついた。
“せっかく、ダマスア王国に着いたのに検問、検問って……親善大使って、フリーパスじゃなかったのかよ”

「まぁ、気にすんな……ちょっと特殊で親善大使といえば、フリーパスが当たり前なんだが、ウチじゃ、親善大使といえどもキッチリ調べるからなぁ…」

ガストンは“本当に申し訳ない”という気持ちで、謝った。

「本当、勘弁しくれよ…ガストン、どうにかならんのか?」

俺は放心状態になり“もう、検問は嫌だ!”とガストンに対して目で訴えた。

「本当にすまん!もう一回検問があるから…これで最後だから!」

ガストンは両手で合唱しながら、謝った…いや、謝りし倒した。それぐらい、悪く思ったのだろう…。

「フーーっ、分かったよ。これで最後だからな。もう一回、最後って言ってきたら、ちゃぶ台蹴っ飛ばしてグレてやるからなぁ!」
「……ちゃぶ台って、何??」

ガストンは目が点になり、首を傾げた。

「いやいや、それはないでしょう!?ちゃぶ台だよ。ちゃぶ台!!世間が知らなくても、お天様が知ってるんだよ?」

俺は“信じられない”というような気持ちでジェスチャーをした。

「……ゴメン、知らんわ」
「ノーーー!」

俺は頭を抱えてしまった!
“なんで、ちゃぶ台を知らないのだろうか!?これも文化の違い!!カルチャーショック!!”

「よく分からないけど、ゴメン…」

俺は2秒間フリーズしたけど、どうにか持ちこなして耐えてみせた。

「いや、良いよ。文化の違いもあるし……ん?」

“いや、まさか文化の違いには驚かされた。結局、世間の常識は他の文化の非常識なんだよなぁ……いや!待てよ!まさか…そんな事ありえないけど、聞いてみるしかないよなぁ”

「なぁ、検問ってあるだろう?これって……王様持ちだよな」
「……誰の?(ゴクリッ)」

俺は“ドキドキ”してきたので、真剣に向き合ってガストンの方に向いた。ちなみにガストンも真剣である。

「ダマスア王国持ちの」
「……違う」
「ノーーー!!」

俺は当然、頭を抱えてしまった。そして、それと同時に怒りが込み上げて暴れて回った。


ーーー数分後

正装に整った鎧は、思いっきり乱れ急いで元の位置に戻ったのは約数十分の後であった。遅れれば、当然こちらの印象は悪くなる……まぁ、バチバチにお互い睨み合った中なら、当然だが少しでも良くしたいのは本音である。

「先に言っておく。ゴメン」

ガストンは誰に言っているかが、分からなかったが一様、聞いておく。

「ゴメンって、誰に言ったんだ…」

この部屋は大人数対一人。
異様な雰囲気で緊張感を増していた。ガストンは緊張からか“ゴクリッ”と乾いた音鳴らす。

「ダマスア王国の王に…」

それを聞いたガストンは一瞬で剣を抜き、喉仏が切れるような仕草で静止した。
この二人の雰囲気は緊張感MAXに達していた。

「これ以上、何も言わず黙って欲しい。それだったら、これまでも粗相があったが、全て水に流す。なんなら、お金なら払うから黙って欲しい」

ガストンは真剣な眼差で“もう勘弁してくれ!”と訴えきた。

「お金が目的じゃねーんだよ」

俺は段々、腹が立ってきた。
“王族と騎士の差は大きいと聞くが、これ程まで不公平があってたまるか!”

「何言っても聞いてくれないんだな…それじゃ!」

次の瞬間、
俺は信じられない光景を目の当たりしてしまった。
それは…土下座である!

この業界の騎士がもっとも嫌いというか、プライドがズタズタに引き裂かれてしまうのが“土下座”で、どんな拷問だろうと、どんなお金を積もうと出来ないのが土下座であった。
このガストンが命を守っても死守したいのが、土下座であり、ダマスア王国の国民そのものだった。

「…分かったよ。本当、ガストンさんには敵わないわ…」

俺は“降参”という意味で手を挙げて、一息をついた。

「だったら、問題ごとを起こさないんだな?」
「あぁ、大人しくしている。なんなら、全面的に協力してやるよ」

ガストンは“パァッ”と顔が明るくなった。それを見た俺もなんだか、嬉しくなってしまった。

「じゃ、ある程度自由にしていたが、徹底的に要求を飲んでもらうからな」
「………」

ガストンは“ニコニコ”しながら、エグい要求を言ってきた。
“本当、前言撤回になろうかなぁ…”と俺は真剣に考え始めてしまった。
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