ガルシア戦記

千山一

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第3巻 最強龍の帰還

第2章 新たな旅立ちNo.12

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ーチュンチュンチュン……

俺は朝早く門の前に仁王立ちをしていた。いや、正確には深夜から門の前で居たのだ。
“はよう、帰ってこい!!”と勝手に俺は思ったが思い返してみれば
“そんな約束なんてしていない”と思い直し自分が恥ずかしくなったが、
“俺の物は俺の物。お前の物は俺の物”と類似して“俺の常識は俺の常識。お前の常識は俺の常識”というドラ◯もんばりの考え方が持っていた。

「……朝だよ…いい加減にせーよ」

“ぐーーッ”不意に俺のお腹がなってしまった。
“そういえば、夜から何も食っていないよなぁ…”俺はお腹が減っていることに気づき、食堂のあるホールに歩いていた。
食堂に近づくと何やら香ばしい香りと、食パンの焼けた何とも言えない匂いが俺の空腹を唸らせる。
“おっ、これはコーヒーだな。誰か知らんが気の利いた人が朝食の準備をしている。本当にサイコー!!”と俺は上機嫌で食堂のドアを開き、目の前の光景が広がるのを目にした。
それは、豪華な食パン、コーヒー、スクランブルエッグなど…ではなく見慣れたシルバードラゴンはカンポイがメイド代わりに立っていた。

「………」

俺は一瞬、固まってしまったが気を取り直しして、足早にシルバードラゴンの元に行き、首根っこに掴んでシルバードラゴンを上に持ち上げた。

「テメーなんで家にいるんだよ!?」
「く、苦しい……ほれ、レッドやメイドさんがおるんじゃ?とにかく離せ」

シルバードラゴンは宙に浮いた状態から“バタバタ”と抵抗した。それを見た周囲から邪悪な殺気のオーラを感じてしまったため、すぐに手を離した。

「あと数秒、そのままにいたらこのお皿でど突きましたのに…」
「いえ、私はあと1秒遅れたら世界が崩壊でしたよ」
「こわっ!!!」

俺は周囲の人の顔を見た。
“あっ、コイツはマジだ……”
俺は怒りを押し殺し感情のコントロールに徹した。

「ゲホ、ゲホ……なんじゃ?いきなり首を絞めて…ワシはちゃんと寝たぞ?」
「じゃ、なんで門は通らなかったんだよ。朝まで待ってたんだぞ!!」

俺は“ドカッ”とテーブルに向いて座り、勝手に皿の食パンを頬張った。それを見たカンポイは恨めしそうに俺を睨む。

「ん?あぁ、家の奥の上がホールになっておろう?そこを結界として転移したのじゃ。いやー転移というものはカンタンよのう」
「なっ……」

“俺も知らなかった…この世に“転移”というものがあったなんて…”

「帰ってみれば、お前の部屋におらんし仕方がないから寝たのじゃ!!」
「………」

返す言葉も見つからなくて他の話題を探る。
“ヤバイ、このままでは立場が逆転してしまう”

「だったら、この女はどうなんだ?」

俺はメイドの化したケンペスを指を刺した。ケンペスも“イラッ”としたのだろう。俺の頭を思いっきりど突いた。

「誰がこの女よ!」
「イッターーー!」

“この女”というワードは気に障ったのだろう。ケンペスは憤慨して食ってかかる。

「そもそも、ガルシア王の契約はガストン城を帰還してから終わってんの!だから、ドラゴン教としてシルバードラゴンに仕えるようにしたの!何が悪い!」
「はい!すいません!」

“俺はあまりにもビックリしたものだから、素直に謝った。やっぱり素直が大事だよな”

「まぁまぁ、良いではないか?喧嘩両成敗ということで」

シルバードラゴンは二人の言い争いを気にせずにスクランブルエッグを頬張る。

「…ところで、お前何しにレッドの元へ行ったの?火山は遠いでしょう?」

それ聞くとシルバードラゴンは平然と言い放った。さすが、悪魔である。悪魔は息を吸うようにウソをつく。

「ん?あぁ、人混みが多くなると無性にレッドに会いたくなってなぁ…それでレッドの元へ行ったんじゃ」

シルバードラゴンは“サラーッ”衝撃的な発言を口にした。
“ホンマや!?あまりにもレッドがいるものだから、遠い地なんて気づかなかった!!”

「ということは、レッドも転移した訳?」
「まさにその通りじゃ」

シルバードラゴンは得意げに“フンフン”鼻歌を歌った。レッドも“パチパチ”ヨイショした。
“どこの会社だよ!!”とツッコミを入れたが、レッドが怖いのでここは黙る。

「じゃ、朝一番でフランコが消えたと耳に入ったんだけど、お前じゃねーよな?」

“ここが1番大事なポイント”
俺は一瞬でも疑いの目をしたくないから、シルバードラゴンの姿を注意深く観察した。だが、シルバードラゴンにはそんな素振りもなかった。

「これで一安心だな」

俺は内心ドキドキしたのだが、シルバードラゴンの目を見て一安心することができた。
だが、俺が忘れてはいけないのことがもう一つあった。それは、シルバードラゴンも悪魔なのだ。
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