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第31章 終わりなき深淵
しおりを挟むすべては考えていた通りになった。
風の刃は凍らなかった。私の他の呪文たちがそうだったように。それは杖の先から清潔に、速く、致命的に飛び出した。冷気はそれを捕らえられなかった。捕らえる時間がなかったからだ。「形成」もなく、「準備」もなかった。ただ存在しただけだ。
風の刃を使うことを思いつけたのは、以前使ったことがあったからだ。鉄歯のウサギたちに対して。もしあの経験がなければ、思いつかなかったかもしれない。あるいは思いついたかもしれない。それは分からない。しかし現実は、その絶望の瞬間に、私の三歳の脳は、似たような状況で唯一うまくいったものを思い出したのだ。
もし思い出せなかったら…
まあ、それは考えない方がいい。
なぜならもしそうなら、もしかしたら、ほんの少しだけ、雪の中でも無事に出てきて、これらの傲慢な冬狼たちに立ち向かえる風の呪文が存在することに気づいた時には、もう手遅れになっていたかもしれないから。
しかしうまくいった。それが唯一重要なことだった。
とはいえ、よく考えてみると、うまくいくかどうかさえ分かっていなかった。ウサギには効いたということだけを知っていた。しかしウサギは小さかった。彼らの魔法は、もし何かあったとしても、これらの狼たちがそうしたほど容易く私の攻撃を凍らせることはできなかっただろう。
冬狼は違った。彼らは冷気そのものが形になったものだった。彼らは足と牙を持った冬だった。
しかしそれでも…
待てよ と呼吸が落ち着くにつれて思った。これは前に経験したことがある。
七匹の業炎の猪と戦った時だ。彼らに風の呪文を放った。狼に使ったのと似たようなものを。しかし彼らを傷つける代わりに、彼らの炎を燃え上がらせた。火はより強力に、より貪欲になった。距離があったにもかかわらず、私の肌を焼いた。
もしあの時、風の刃を使っていたら…
もしかしたら結果は違っていたかもしれない。もしかしたら自分の攻撃の反動であの木にぶつかることはなかったかもしれない。もしかしたら気を失うこともなかったかもしれない。
もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら…
しかしそれらはすべて過去のことだ。
そして過去は、祖父が言うように、忘れなければならない。重要ではないからではなく、変えられないからだ。ただ学ぶことだけができる。
そして私は学んだ。
今、私の前には二匹の冬狼がいた。私を生きたまま食い尽くすのを待ちきれない二匹の獣。
しかし彼らには同情する。
最初の遭遇の時、私が雪の中で気を失い、抵抗もせずに食べられたかもしれない時に、彼らが何もしなかったのなら…今、私が「蘇り」、私の心臓があの神秘的な炎で燃え、私の考えがかつてなく明確になっている今…
彼らが私を倒す可能性は事実上ゼロだった。
だから、彼らに一つだけ願う:最善を尽くしてくれ。
そうすれば後で、私に負けた後で、後悔しなくて済むから。
なぜなら私はサマエルだから。
デザート喰らい。
ふう…
「やった」と私は呟いた。空気が肺から通常より大きな湯気の雲になって逃げていくのを感じながら。
胸は激しく上下していた。心臓は速く、とても速く鼓動していた。しかしそれは恐怖ではなかった。
「うまくいって良かった」と息を整えながら言った。「でもこんなにうまくいくとは思わなかった」
足元の真っ二つに切れた狼の死体を見た。血が雪を赤く染め、寒さの中で湯気を立てていた。
「でもうまくいった。それが唯一重要なことだ。『もしうまくいかなかったら』なんて、どうでもいい」
なぜなら戦いの中に、「もしうまくいかなかったら」は存在しないから。存在するのは、起こったことだけだ。存在するのは結果だけだ。
そしてその結果は、私がまだ生きていて、狼がそうでないということだった。
---
二匹目の狼が私の左側面から回り込んできていた。
それが最初に祖父が私に向かって投げた狼の一匹なのか、別の狼なのかは分からなかった。正直、どうでも良かった。もし最初の連中なら良し。もし別の連中なら、なお良し。
なぜなら、もし祖父に触れられていない狼を倒すことができれば、勝利はより満足のいくものになるから。
狼が跳んだ。
その顎が開き、牙が見えた。白く。凍って。今まで見たどんなナイフよりも鋭く。しかし何かがおかしかった。それらは細すぎた。牙というより針のように見えた。
なぜ折れないんだ? と思った。あんなに細いなら、どんな衝撃でも折れるはずだ。
そしてその時、閃光を見た。
銀色の輝きが彼の牙を走った。
待て!
まさかこれが彼らの特殊技術なのか?攻撃を放つつもりか?どこから?
答えはすぐに来た。
彼の顎が凍り始めた。いや、そうではなかった。むしろ…どう説明すればいいだろう?雪が彼の口から出始めた。しかしそれは私が踏んでいる白い雪ではなかった。これは違っていた。
それは青かった。
水を遠くから見た時の色。最も深い氷の色。死の色。
私たちの間の距離はそれほどなかった。しかし攻撃が放たれる前に、私の手は新しい冷たさを感じ始めた。以前よりも強烈に。より深く。
そしてその時、攻撃が放たれた。
その音は言葉にできなかった。何千ものガラスが同時に割れるかのよう。巨人に押しつぶされる無数の雪片の軍隊のよう。凍った軋み音が、無数に、同時に。
氷の攻撃が私に向かって飛んできた。
どの攻撃を使うべきだ?
「さあ、脳みそ、考えろ!」と自分に言い聞かせた。「小さくてもいい、考えろ!さあ!」
土の壁?ダメだ。具現化するのに永遠に時間がかかる。準備ができる頃には、私は骨の髄まで凍っているだろう。
心臓の炎?それはそうじゃない。盾じゃない。ただの内なる熱だ。それを使う前に、攻撃が届くだろう。
別の風の呪文?
ダメだ。絶対にダメだ。もしあの氷の攻撃に向かって風を放てば、冷気がそれを再び私に逆手に取るだろう。前のように。猛風よの時のように。
そして怪物の攻撃で死ぬ方が、自分の呪文で死ぬよりはましだ。
ならば残るは一つだけ。
火。
「[火の球]」
球体が杖の先に形成され始めた。前回よりも時間がかからなかった。ルビーが強く輝き、冷気に挑んだ。球は成長し、大きく、威圧的になった。
しかし私はそれを攻撃として使うつもりはなかった。
いや、そうではなかった。
前に何が起こったかを思い出した。私の火の球は凍ったが、私は傷つかなかった。氷は火を閉じ込めたが、それを貫通しなかった。
もし火を盾として使ったらどうだ?
アイデアは単純だった。火の球は凍るだろう、確かに。しかし氷はそれを貫通しないだろう。それは狼の攻撃を止める氷の壁となるだろう。
そして球が十分に大きければ、私を完全に覆うことができるだろう。
問題は、杖を使っていることで、私の杖ではないことだった。杖の火の球はより小さかった。だからこそ冷気がそれほど簡単に凍らせることができたのかもしれない。もし杖を持ってきていたら、結果は違っていたかもしれない。
しかし持ってきていなかった。そして今、それを変えることはできなかった。
火の球は凍った。
予想通りに。
狼の攻撃がそれに激突した。氷が氷にぶつかった。その音は耳をつんざくものだった。
私はその瞬間を利用して後退した。足は雪に沈み、一歩一歩を困難にしたが、私は動いた。距離が必要だった。空間が必要だった。
狼たちがそれを許さないことは分かっていた。彼らが私についてくることは分かっていた。しかし彼らが私に向かって動いている間、私は後退し続けた。稼いだ一秒一秒が有利だった。
もう一匹の狼――まだ攻撃していない方――が奇妙なことを始めた。
小さく跳ねていた。あちこちに跳ね回っていた。まるで見えない障害物を避けているかのように。
なぜそんなことをするんだ? と思った。私を混乱させるためか?
それが彼の戦略なら、無駄だった。私は呪文を準備していなかった。狙う必要もなかった。彼の動きは私に全く影響を与えなかった。
しかしそれでも…
なぜだ?
何かが私の胸の中で起こっていた。
心臓が加速していた。強く鼓動していた。以前よりも強く。それは恐怖ではなかった。それは分かっていた。恐怖は知っている。感じたことがある。克服したことがある。これは違った。
そしてその時、理由もなく…
カハハハハ。
私は笑った。
何だって?
戦いの最中に笑った。私を食い尽くそうとする二匹の獣と向き合いながら。冷気が肌を刺す中で。死が一歩ごとに待ち受ける中で。
なぜ笑っているんだ?
小さな子供で、危険が理解できていないからか?
違う。そうじゃなかった。私は危険を完璧に理解していた。ついさっき自分自身に説教したばかりだ。あらゆるリスク、あらゆる変数を自覚していた。
では、なぜ?
何かが胸の中で育っていた。何か新しいもの。今まで感じたことのないもの。
祖父との訓練でも。
鋼鉄の牙の虎でも。
鉄歯のウサギでも。
七匹の業炎の猪でも。
これは違った。
新しい種類の感情なのだろうか?
さっき感じたあのものなのだろうか?祖父に興奮しているかと聞かれた時に?
これは…興奮なのか?
理解できなかった。理解できるはずがなかった。それは大きすぎて、強烈すぎた。
そして解読しようとすればするほど、それは燃え上がった。
より成長した。
より笑った。
---
戦場の向こう側で。
「ハハ、まったく馬鹿げている」とサマエルの祖父は言い、首を振った。「本当に馬鹿げている」
彼は遠くから孫を観察していた。彼が笑うのを見ていた。彼が戦うのを見ていた。彼が生きるのを見ていた。
「本当にこんな状況であんなに興奮しているのか?」
首を振ったが、笑みが彼の口元に浮かんでいた。
「この子は本当に気が触れているな。彼の祖父である私でさえ、それを認められる」
彼は後方に跳び、自分を狙う狼たちとの距離を広げた。考えている間に邪魔されたくなかった。
「私の孫は魔術師というより戦士に見える」と彼は呟き、手で顎鬚を撫でた。「私が知っている魔術師たちとは全く似ていない」
もう少しの間、サマエルを観察した。
私が森で育てたからだろうか?
それがステレオタイプを変えたのか?
彼はゆっくりとうなずいた。
「そうだ、それが理由に違いない」
そしてその後、誰にというより自分自身に向かって:
「そして私はそれが好きだ。彼がそうであることがとても好きだ。そうすれば誰も私の孫を過小評価できない」
彼は微笑んだ。
「ふん…」
「さて、この状況でお前がどうするか見せてもらおう」
残りの冬狼たちが彼に向かって進んでいた。速く。致命的に。氷の牙を見せて。
サマエルの祖父は孫を観察するのをやめた。
彼らを横目で見た。
ただ横目で。
しかしその目つきは…
目つきではなかった。それは宣告だった。
狼たちは急停止した。一斉に後退した。まるで彼らの前に深淵が開いたかのように。底さえ見えないほどの深い虚無が。
そしてその時、祖父は微笑んだ。
その笑みは目つきよりも恐ろしかった。
「まったく」と一匹の狼が震える声で言った。「今日は妻と一緒にいるべきだった。何も考えずに眠るべきだった。狩りに出るんじゃなかった」
「少なくともお前には妻がいる」と別の狼が答えた。「私にはいない」
「あなたたち、本当にこんな時にそんな話をする時間があるの?」と三匹目の、より分別のある狼が介入した。「私たちがどこにいるか見てごらん!」
彼は間を置き、状況を評価した。
「言うのは辛いけど…私たちはここから逃げ出さなければならない。すぐに」
「正気か?」と別の狼が抗議した。「私は敵から逃げたりしない!」
「好きにしろ」と分別のある狼が答えた。「お前が残りたいなら止める者はいない。お前の命はお前のものだ。しかし私は行く」
「私も」と別の狼が言った。
「私も」と三匹目が加わった。
「臆病者どもめ!」と勇敢な狼が叫んだ。「お前たちなしでもやれる!」
「本当に残るつもりか?」と別の狼が尋ねた。
「もちろん!」と彼は誇らしげに答えた。「お前たちほど臆病じゃない」
「では、好きにしろ、友よ」
そして彼らは背を向けた。
歩き始めた。
振り返らずに。
まるで、経験したことを思い出したくないかのように。
しかしその時…
ジャジャジャジャ!
祖父の笑い声が空気を満たした。
「#$%&’()=~|`{}*+?〉_」と彼は言った。「君たち、どこに行くんだ?誰が行っていいと言った?ん?教えてくれ。さあ、聞いてやるから」
彼はゆっくりと彼らに向かって歩いていた。そして彼の頭上では、赤い雲の中の暗いシルエットたち――彼の殺意の本能――が成長していた。より大きくなっていた。黒く鋭い牙を見せていた。まるで空を喰い尽くそうとするかのように広がっていた。
「わ、わかっていた」と一匹の狼が吃りながら言った。「逃げ出そうとするのが悪手だって分かっていた」
「でもそれが唯一の選択肢だった」と別の狼が言った。
「これは全部お前のせいだ!」と三匹目が分別のある狼を指差して文句を言った。「逃げ出そうなんて言うから!」
「まるで逃げなくても死なないみたいに言うんだな」と分別のある狼は、感じていない平静さで答えた。
「£$¢€¥₩#&*()?〉《》%」と祖父は近づきながら言った。「なぜまだ何も言わないんだ?ん?君たち、急げ。話せ」
「私たちは終わった、諸君」
---
サマエルと共に。
「またあの音だ」と私は言い、うんざりしながら。
何千ものガラスが同時に割れる音が空気を満たしていた。
「今度は別の狼を殺さなければ。何があっても」
跳ね回っていた狼が予想外のことをした。
より高く跳んだ。
そして空中で、私の上に浮かんで、彼の顎が輝き始めた。
もう一匹と同じだ。氷の攻撃が形成されていた。
しかしこれは違った。
より大きかった。
より広かった。
より致命的だった。
もし前のものが私の祖父の小屋のドアほどの大きさなら、これはその二倍の大きさだった。
攻撃が放たれる前に、冷気が私を襲った。骨が縮んだ。肌が結晶化し始めた。口は震え、歯は制御不能にガチガチと鳴った。
小さく感じる と思った。実際よりも小さく。
しかし恐怖は感じなかった。
胸の中のあの感情は…広がっていた。成長していた。私を完全に満たしていた。
これは何だ?
攻撃が放たれた。
その音は耳をつんざくものだった。
前の凍結を生き延びたのだから、これも生き延びられるはずだ、違うか?
しかしこれはより大きかった。より強かった。より冷たかった。
この攻撃は多分、約四秒で私を完全に凍らせるだろう。
四秒。
冷気が迫っていた。
三秒。
ガラスの音は耐え難かった。
二秒。
四秒はないな。いや、ないだろう。
一秒。
「[強化風の刃]」
シュウィイイイイイイイイ!
以前のものより大きく、より密度が高く、より致命的な風の刃が、私の杖から飛び出した。
形成されなかった。時間はかからなかった。ただ存在した。
それは氷の攻撃を貫いた。
ガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャン!
その音は、千の刃が千の氷を割る音だった。風の刃は狼の攻撃を完璧な二つの半身に分断した。
しかし攻撃は続いた。
二つの半身は私の両側を通り過ぎた。一つは左に、一つは右に。
私はその真ん中に。
冷気が私に届いた。私の防寒着の獣皮は即座に凍った。私の顔のごく一部――爪の大きさほど――もまた。
しかし私は笑い続けていた。
振り返った。
もう一匹の狼、凍った私の火の球をかわした奴は、雪の中に横たわっていた。彼の攻撃は彼を救わなかった。
しかし彼に猶予は与えない。
私の心臓の炎は弱まっていた。感じていた。熱はゆっくりと消えつつあった。どれだけ残っているか分からなかった。
しかし十分だ。
「[多重強化風の刃]」
数十の刃。数十の風の刃。全方向に放たれた。
狼はかわそうとした。跳び、回転し、動いた。しかし多すぎた。
バシュッバシュッバシュッバシュッ!
刃が彼を貫いた。彼の体は雪の上に倒れ、白い雲を上げた。
そして私は息を切らしていた。
しかし私はそれを成し遂げた。
事実上、私の墓場であるような環境の中で。確実な死刑宣告であるべき場所の中で。
私は生き延びた。
そう、それは文字通り死にかけた後のことだった。そう、それは蘇った後のことだった。そう、私は祖父の助けを受けていた。
しかし前に言ったように、言い訳はない。
私は生き延びた。
それが重要なことだった。
私は目的を果たした。三匹の冬狼を自分一人で倒した。祖父に言った通りに。
あとはあの村に着くだけだ。
そしてデザートを喰らう。
道中で他の怪物に出会いませんように と思った。
しかしもし出会ったとしても…
破壊されるのは奴らの方だ。
なぜなら誰にも、誰にも、私のデザート征服への道を阻ませはしないから。
誰にも。
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