無償の愛を知ったから3

ぴぴみ

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悶え

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「──いい加減にしてくれ」

 絞り出すような声で、エラルドが言う。
私はきょとんとして小首を傾げた。

「どうしたの?」
「─どうしたもこうしたもない…!」
「…」
「嬢ちゃん、何度言ったら分かる?」

 そう言って話し始めたのは、距離が近すぎるだの、危機感がないだの、私─マリアナへの苦言に他ならない。
 
 しかし、分かっていないのは彼の方だと強く思う。あれだけ露骨にアピールしているというのに、ずっと子供扱い。一体いつになったら気づいてくれるのか…。

 想いを告げてから大分時が経ってしまっている。今生では、教会所属の聖女としてではなく、ただの癒し手として独り立ちした。教会で暮らすことになる間、彼と少しでも離れるのが嫌だったのだ。

 無理を言い、家に置いてもらいもした。生活費は払うと言ったのだが、聞き入れてくれなかった。取っておけ、独り立ちした時に役に立つと。

 どう見ても訳ありな私に、何も言わず、
あれこれ世話を焼いてくれるのは嬉しいが…もっと私を…一人の女として意識してほしい…。

 前は、あれだけ簡単に告げられた好意の言葉が、今は喉に何かが詰まったように、出てこない。

 共に生活し、想いは膨らんだ。今、彼に拒絶されたら…。そう考えると何も言えなくなってしまう。その分、行動で示した。全く相手にされなかったが…。

 本気なのだと、どうやったら伝わるだろう…。

 考えても、いいアイディアは浮かばない。誰かから助言を得ようか。彼の同僚のマティアスはどうだろう。口説き文句をすらすらと言えるような、女たらしだが、悪い男でないことは、短い付き合いながらもよく分かっている。

 次、会ったとき、聞いてみようか…。
そう決めると、睡魔が襲ってきた。

 今日はもう寝よう。きっと、なんとかなる─...。

*****

 幸せそうな寝顔を見て思う。

 信頼してくれているのは分かるが、いくらなんでも気を許しすぎじゃないか…。

 他の奴には、シャーッと毛を逆立てた猫のように警戒を露にする彼女が、俺にだけ甘えてきたりするのを見ると、勘違いしそうになる。

 俺に好きだと言った少女はもう年頃の美しい女で、狙ってる奴なんか周りにごまんといる。

 そういった輩を認識する度、腸が煮えくり返りそうになる。どす黒い気持ちが沸き上がる。

 これは…自分にだけ、なついている猫を盗られたくないという独占欲だろうか?

─そうであってほしい。

 俺のことを信じてくれている彼女を、傷つけるような真似はしたくない。

 だから、胸を押し付けてきたり、上目遣いで見上げたりしないでほしい。彼女は自分の魅力をもっと知るべきだ。

 そもそも、俺も男だって分かってるか?

 すやすやと気持ち良さそうに、寝入っている彼女を見て思う。

「くそっ…俺の気持ちも知らねぇで…」

 
  
 
 
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