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馬鹿な騒ぎを国王として収拾させなくては…。
そう自分に言い聞かせながら、私は彼らの言い分を聞く。
「そちらのエリザベス嬢が、私を階段から突き落としたのです…。」
涙ながらにヒロインらしき女が訴える。
蜂蜜色の髪はふわふわしていて、うるうるとした瞳は小動物のよう…。
怪我をしたらしく、腕を覆う真っ白な包帯が痛々しい。庇護欲を嫌でも掻き立てられる。
でも残念ながら私は元女なんです。簡単には騙されませんよ?
周りの男たちが口々に言う。
「彼女に謝れ!」
「人としてどうかしている!」
「醜い心根が顔にも現れているぞ…!」
えっとただの苛めですね…。大の男が一人の女相手にみっともない。
私は威厳を全面に押し出して、重々しく言った。
「…証拠はあるのか?」
「畏れながら陛下!ローズマリー嬢が嘘をつくなど考えられないことです!」
「なぜそう言える?」
「彼女の顔を見れば分かります!嘘などついていない瞳をしている!」
瞳ときましたか…。チョロい坊っちゃんですこと。この王子、育て方間違えたな。
ま、私は育ててないけど…。
悪どい女もいるってこと教えてあげたいです。
「誰かおらぬか?…この娘が突き落とされた現場を見たものは?」
皆黙っていた。しーんと広間が静まり返る。しかしそんな中、恐る恐る手を挙げた者がいた。
「…わたくし偶然拝見しました。」
「続けろ。」
「あれは…そう三日前学園内でのことでした…。ローズマリー様が階段に立っていらっしゃるのが見えて…わたくし声をかけようとしたのです。」
「ふむ。なるほど。そなたとローズマリー嬢は親しかったのか?」
「いえただの学友でございます。用事があり彼女を探していたところでした。」
「そうか…。それで?」
「はい。近づくにつれ彼女の声が聞こえてきました。誰かと話しているようだと思い、引き返そうとも思ったのですがわたくし見てしまったのです!彼女は……
ぶつぶつ独り言を言っていました。」
「だ、そうだが?ローズマリー嬢、鬱憤でもたまっていたのかね?」
「っそんな…違います!」
私はそんな彼女を無視して、再び問うた。
「で、何と言っていたのだ?」
「…ここでは口に出しにくいのですが……その王子殿下やここにいらっしゃる側近の方達について悪し様に…。将来禿げる家系だの…お…尻にみっともない黒子がついているだの…。」
そこで令嬢が顔を赤らめた。
側近の中には青ざめる者もいた。心当たりがあるのだろう。
「無理をさせてすまない。いくら他人の言葉とはいえ繰り返すのも恥ずかしいものだな…。」
「お待ちください父上!彼女はそんなことを言う人間ではありません!」
まだそんなことを言う。
盲目な馬鹿に何を言っても無駄かと、私は面倒くさくなった。
その時凛とした声が響いた。誰であろうヒロインちゃんだった。
「私はそのようなこと言っておりません。…陛下お時間いただけないでしょうか?ここではない個室で証明したく思います。」
私は王は忙しい…何を馬鹿なことをと言い出した大臣を止め了承した。どう証明するのか興味もあったし…ね。
そして今、彼女に襲われようとしています。
「陛下!…私ずっと陛下のことが…。
その凛々しいお顔…年を積み重ねたからこその溢れる魅力。お会いする度胸をときめかせておりました。…
愛人としてどうかどうかお側に…。」
そう言って脱ぎ出すヒロインちゃん。
わーお!積極的。ぷるんとしたお胸が見えておりますよ。ちょっと、いえ、かなり…
ドン引きです。ナイスミドルな今の外見を褒められても嬉しくない…です。
「…落ち着け。そなたの考えは分かった。悪いようにはせぬ。一度戻るぞ。」
嬉しそうに微笑んでいるので、自分の思い通りだと内心ほくそ笑んでいるのでしょう。
「皆の者待たせたな。ローズマリー嬢と話してよくわかった。彼女は……
重い病を患っておる。
頭がおかしくなってしまっているのだ……
この年で不憫と言う他ない。
私の前で服を脱ぎ出し、側に置いてほしいと懇願しおった…。一度休ませるべきと思う。
今日は愚息が迷惑をかけた。後継者についても考え直す必要があるかもしれぬ。
夜はまだ長い。夜会を楽しみ、今夜のことは笑い話にしてくれ。では乾杯!」
後に残るは死屍累々。
彼らは今宵の良い道化になってくれた。
─もうどうせなら好きに生きてやる…。
私はそう決意したのだった。
そう自分に言い聞かせながら、私は彼らの言い分を聞く。
「そちらのエリザベス嬢が、私を階段から突き落としたのです…。」
涙ながらにヒロインらしき女が訴える。
蜂蜜色の髪はふわふわしていて、うるうるとした瞳は小動物のよう…。
怪我をしたらしく、腕を覆う真っ白な包帯が痛々しい。庇護欲を嫌でも掻き立てられる。
でも残念ながら私は元女なんです。簡単には騙されませんよ?
周りの男たちが口々に言う。
「彼女に謝れ!」
「人としてどうかしている!」
「醜い心根が顔にも現れているぞ…!」
えっとただの苛めですね…。大の男が一人の女相手にみっともない。
私は威厳を全面に押し出して、重々しく言った。
「…証拠はあるのか?」
「畏れながら陛下!ローズマリー嬢が嘘をつくなど考えられないことです!」
「なぜそう言える?」
「彼女の顔を見れば分かります!嘘などついていない瞳をしている!」
瞳ときましたか…。チョロい坊っちゃんですこと。この王子、育て方間違えたな。
ま、私は育ててないけど…。
悪どい女もいるってこと教えてあげたいです。
「誰かおらぬか?…この娘が突き落とされた現場を見たものは?」
皆黙っていた。しーんと広間が静まり返る。しかしそんな中、恐る恐る手を挙げた者がいた。
「…わたくし偶然拝見しました。」
「続けろ。」
「あれは…そう三日前学園内でのことでした…。ローズマリー様が階段に立っていらっしゃるのが見えて…わたくし声をかけようとしたのです。」
「ふむ。なるほど。そなたとローズマリー嬢は親しかったのか?」
「いえただの学友でございます。用事があり彼女を探していたところでした。」
「そうか…。それで?」
「はい。近づくにつれ彼女の声が聞こえてきました。誰かと話しているようだと思い、引き返そうとも思ったのですがわたくし見てしまったのです!彼女は……
ぶつぶつ独り言を言っていました。」
「だ、そうだが?ローズマリー嬢、鬱憤でもたまっていたのかね?」
「っそんな…違います!」
私はそんな彼女を無視して、再び問うた。
「で、何と言っていたのだ?」
「…ここでは口に出しにくいのですが……その王子殿下やここにいらっしゃる側近の方達について悪し様に…。将来禿げる家系だの…お…尻にみっともない黒子がついているだの…。」
そこで令嬢が顔を赤らめた。
側近の中には青ざめる者もいた。心当たりがあるのだろう。
「無理をさせてすまない。いくら他人の言葉とはいえ繰り返すのも恥ずかしいものだな…。」
「お待ちください父上!彼女はそんなことを言う人間ではありません!」
まだそんなことを言う。
盲目な馬鹿に何を言っても無駄かと、私は面倒くさくなった。
その時凛とした声が響いた。誰であろうヒロインちゃんだった。
「私はそのようなこと言っておりません。…陛下お時間いただけないでしょうか?ここではない個室で証明したく思います。」
私は王は忙しい…何を馬鹿なことをと言い出した大臣を止め了承した。どう証明するのか興味もあったし…ね。
そして今、彼女に襲われようとしています。
「陛下!…私ずっと陛下のことが…。
その凛々しいお顔…年を積み重ねたからこその溢れる魅力。お会いする度胸をときめかせておりました。…
愛人としてどうかどうかお側に…。」
そう言って脱ぎ出すヒロインちゃん。
わーお!積極的。ぷるんとしたお胸が見えておりますよ。ちょっと、いえ、かなり…
ドン引きです。ナイスミドルな今の外見を褒められても嬉しくない…です。
「…落ち着け。そなたの考えは分かった。悪いようにはせぬ。一度戻るぞ。」
嬉しそうに微笑んでいるので、自分の思い通りだと内心ほくそ笑んでいるのでしょう。
「皆の者待たせたな。ローズマリー嬢と話してよくわかった。彼女は……
重い病を患っておる。
頭がおかしくなってしまっているのだ……
この年で不憫と言う他ない。
私の前で服を脱ぎ出し、側に置いてほしいと懇願しおった…。一度休ませるべきと思う。
今日は愚息が迷惑をかけた。後継者についても考え直す必要があるかもしれぬ。
夜はまだ長い。夜会を楽しみ、今夜のことは笑い話にしてくれ。では乾杯!」
後に残るは死屍累々。
彼らは今宵の良い道化になってくれた。
─もうどうせなら好きに生きてやる…。
私はそう決意したのだった。
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