氷姫のひとりごと

ぴぴみ

文字の大きさ
1 / 3

しおりを挟む
─恋とは一体どんなものかしら…?


もしかしたら、世の中には、そんな風に恋に期待と不安を抱きながら、その訪れを今か今かと待っている娘が、いるのかもしれません。


しかし、私、エリスとは無縁の話。
幼き頃より決められたレールに沿って生きてきて、結婚相手も決まっている私とは…。


そんな我が身を嘆いたことはありましたが、
いつしか諦め、淡々と、何に心を動かされることなく、生きてまいりました。


それが、間違いだったとは思いません。
私自身には何の価値もないのだと思っていたからです。


正しく振る舞うことだけが、望まれて、
不器用さは恥ずべきもの。


私は元から器用ではなかったので、血の滲むような努力をしてきました。しかし、それを周りに悟らせてはいけません。


私は、由緒正しいクラレンス公爵家の一人娘で、手本となるべき存在で、皆から決して、なめられるような落ち度をつくってはいけないのです。


そうやって生きてきたので、あの方と初めてお会いしたときには、そのあまりの違いに衝撃を受けてしまいました。


男爵家のご令嬢リリィ様。
彼女はいつもコロコロと楽しげに笑い、できないことがあっても隠したりなどしません。


また、人前で異性と触れあうことに抵抗がありません。私が、はしたないことだと、してはいけないことだと教わってきたことを、いとも簡単にされるのです。


彼女が、周りから愛されるのは分かります。
ですが、私はどうしたらよかったのでしょうか?


婚約破棄を言い渡され、張り詰めていた糸がぷつんと切れてしまいました。


そして、私はこの世から退場することにしたのです。
氷姫と呼ばれた私の死を悲しむ者など、きっといらっしゃらないのでしょうね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

この先の未來

詩織
恋愛
本当は止めてはダメだった。 でもそれても私は…

侯爵様の懺悔

宇野 肇
恋愛
 女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。  そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。  侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。  その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。  おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。  ――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。

貴方の幸せの為ならば

缶詰め精霊王
恋愛
主人公たちは幸せだった……あんなことが起きるまでは。 いつも通りに待ち合わせ場所にしていた所に行かなければ……彼を迎えに行ってれば。 後悔しても遅い。だって、もう過ぎたこと……

もう一度貴方と

麻実
恋愛
大学時代に付き合った男と別れて結婚した舞子。だけども結婚生活は味気なかった。そして・・。

【完結】おしどり夫婦と呼ばれる二人

通木遼平
恋愛
 アルディモア王国国王の孫娘、隣国の王女でもあるアルティナはアルディモアの騎士で公爵子息であるギディオンと結婚した。政略結婚の多いアルディモアで、二人は仲睦まじく、おしどり夫婦と呼ばれている。  が、二人の心の内はそうでもなく……。 ※他サイトでも掲載しています

一途な恋

凛子
恋愛
貴方だけ見つめてる……

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

処理中です...