氷姫のひとりごと

ぴぴみ

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─なぜ、私は生きているのでしょう?


先ほど、身を投げたはずです。
それなのに、どういうわけか、意識ははっきりしています。どこも痛くありません。


今まで体験したことは、全て夢だったのでしょうか?


いえ、そんなはずありません。
この胸の痛みが、実際にあったことだと教えてくれます。


これからは、どうやって生きていきましょうか?
男爵家のご令嬢のように、感情を素直に表に出して、生き生きと?


無理です。
だてに、長いこと、氷姫と呼ばれていません。私の表情筋は死滅しているのです。
ぴくりとも動きません。


うだうだと迷っていましたが、あるとき悟りました。
なるようにしか、ならないと。


…それが、結果的に良かったのかもしれません。


人生の幕を閉じようとした日、
一生分の不幸も流れ落ちたようなのです。


人の運の総量が、決まっているというのは
あながち間違ってはいないのかもしれない。


身に余るほどの幸運が舞い込んできたのですから。


私は、なぜか若返りました。
といっても、一年だけ。
外見の変化は特にありません。
しかし、周りを見る余裕が生まれました。


そして、彼と、出会えました。


運命だったのでしょう。
私が行くところには、いつも彼がいて。
あらゆるところで、遭遇してしまうのです。


彼の身分は、それほど高くはありません。
ですが、私は、たとえ許されなくても、どんな手を使ってでも彼と生涯を共にする覚悟です。


私たちの間には、誰も入り込めません。


リリィ様も、もうお分かりでしょう?
彼と私の関係を知って…私が、とても幸福そうに笑うのが許せなかったのかしら?


彼にちょっかいをかけていたようですけれど、私たちの仲が盛り上がっただけでしたわ。


ご自分に自信を、実は、お持ちではないの、分かっていました。
可哀想な方…。


自ら破滅の道を歩かなくてもよろしいのに。
全ての男性が、あなたに良い態度をとらなくても、あなたには、あなたの魅力がありますよ。


まあ、教えませんけど。



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