6 / 67
1.婚約者に冷めました
⑥
しおりを挟む
私が首を傾げていると、ジェラール様は怒鳴るように言った。
「ふざけているのか!? そんな勝手な言い分を飲めるわけがないだろう!!」
「何をそんなに反対しますの。ジェラール様、私の婚約者でいるのがお嫌だったのではないですか?」
「ああ、うんざりしていたよ。君の傲慢さには呆れていた。しかし、突然そんなことを言われても困る」
ジェラール様は苛立たしげにそう言った。
私は頬に手を当てて考え込んだ。
こんなに激高されるとは思わなかった。
もしかすると、私から婚約解消を申し出てきたことにプライドが傷ついたとかだろうか。
この人はプライドが高そうだしあり得そうだ。
「それでは、しばらく考えていただいて構いませんわ。婚約解消する気になりましたら改めてお呼びくださいませ。ごきげんよう」
「あっ、おい! リリアーヌ!!」
後ろでジェラール様が呼び止める声がする。
私はその声に構わず、教室を後にした。
***
学園からお屋敷に帰ると、私はお父様とお母様に婚約解消の件を報告することにした。
二人は驚くだろうけれど、何しろリリアーヌに甘い二人だ。
説得すれば許してくれる気がする。
お母様は残念がるかもしれないけれど、お父様の方は今までもとても王妃としての器があるように見えない私を心配している節があったし。
漫画の通りにいったらリリアーヌのせいで家が取り潰される恐れがあるので、少々無理にでも婚約解消を押し通したほうがいいだろう。
自室で両親に何から説明しようか考えていると、扉を叩く音がした。
返事をすると、侍女のシルヴィが入ってくる。
「お嬢様、病み上がりで学園に行って大丈夫でしたか?」
「シルヴィ。ええ、何も問題はなかったわ」
私が答えると、シルヴィはほっとしたように息を吐いた。
シルヴィは、私が公園で倒れたときに一緒にいた侍女だ。
責任を感じていたようで、私が寝込んでいる間、しょっちゅうベッドのそばに来てはぐすぐす泣いていた。
私が目覚めると、号泣しながら申し訳ありませんでしたと抱き着いてきた。
美しいもの好きのリリアーヌが選んだ侍女だけあって、シルヴィはとても美人だ。
プラチナブロンドの髪に青い目をして、貴族のお嬢様と言っても差し支えのないくらい高貴な姿をしている。
けれど、シルヴィは貴族ではなく商家生まれの平民だ。
公爵家の侍女ともなると貴族出身なのが一般的だけれど、リリアーヌがお店を訪れた際に気に入って連れてきたのだ。
「よかったですわ。お嬢様、これでまたジェラール様とも毎日会えるようになりますね」
「そのことなんだけど、私、ジェラール様とは婚約解消しようと思って」
「え?」
シルヴィは目をぱちくりする。
両親より先にシルヴィに伝えることになってしまったが、彼女にも伝えておいたほうがいいだろう。
「ふざけているのか!? そんな勝手な言い分を飲めるわけがないだろう!!」
「何をそんなに反対しますの。ジェラール様、私の婚約者でいるのがお嫌だったのではないですか?」
「ああ、うんざりしていたよ。君の傲慢さには呆れていた。しかし、突然そんなことを言われても困る」
ジェラール様は苛立たしげにそう言った。
私は頬に手を当てて考え込んだ。
こんなに激高されるとは思わなかった。
もしかすると、私から婚約解消を申し出てきたことにプライドが傷ついたとかだろうか。
この人はプライドが高そうだしあり得そうだ。
「それでは、しばらく考えていただいて構いませんわ。婚約解消する気になりましたら改めてお呼びくださいませ。ごきげんよう」
「あっ、おい! リリアーヌ!!」
後ろでジェラール様が呼び止める声がする。
私はその声に構わず、教室を後にした。
***
学園からお屋敷に帰ると、私はお父様とお母様に婚約解消の件を報告することにした。
二人は驚くだろうけれど、何しろリリアーヌに甘い二人だ。
説得すれば許してくれる気がする。
お母様は残念がるかもしれないけれど、お父様の方は今までもとても王妃としての器があるように見えない私を心配している節があったし。
漫画の通りにいったらリリアーヌのせいで家が取り潰される恐れがあるので、少々無理にでも婚約解消を押し通したほうがいいだろう。
自室で両親に何から説明しようか考えていると、扉を叩く音がした。
返事をすると、侍女のシルヴィが入ってくる。
「お嬢様、病み上がりで学園に行って大丈夫でしたか?」
「シルヴィ。ええ、何も問題はなかったわ」
私が答えると、シルヴィはほっとしたように息を吐いた。
シルヴィは、私が公園で倒れたときに一緒にいた侍女だ。
責任を感じていたようで、私が寝込んでいる間、しょっちゅうベッドのそばに来てはぐすぐす泣いていた。
私が目覚めると、号泣しながら申し訳ありませんでしたと抱き着いてきた。
美しいもの好きのリリアーヌが選んだ侍女だけあって、シルヴィはとても美人だ。
プラチナブロンドの髪に青い目をして、貴族のお嬢様と言っても差し支えのないくらい高貴な姿をしている。
けれど、シルヴィは貴族ではなく商家生まれの平民だ。
公爵家の侍女ともなると貴族出身なのが一般的だけれど、リリアーヌがお店を訪れた際に気に入って連れてきたのだ。
「よかったですわ。お嬢様、これでまたジェラール様とも毎日会えるようになりますね」
「そのことなんだけど、私、ジェラール様とは婚約解消しようと思って」
「え?」
シルヴィは目をぱちくりする。
両親より先にシルヴィに伝えることになってしまったが、彼女にも伝えておいたほうがいいだろう。
2,094
あなたにおすすめの小説
冷遇夫がお探しの私は、隣にいます
終日ひもの干す紐
恋愛
愛人がいるなら、さっさと言ってくれればいいのに!
妻に駆け落ちされた、傷心の辺境伯ロシェのもとへ嫁いでほしい。
シャノンが王命を受け、嫁いでから一年……とんでもない場面に立ち会ってしまう。
「サフィール……またそんなふうに僕を見つめて、かわいいね」
シャノンには冷たいの夫の、甘ったるい囁き。
扉の向こうの、不貞行為。
これまでの我慢も苦労も全て無駄になり、沸々と湧き上がる怒りを、ロシェの愛猫『アンブル』に愚痴った。
まさかそれが、こんなことになるなんて!
目が覚めると『アンブル』になっていたシャノン。
猫の姿に向けられる夫からの愛情。
夫ロシェの“本当の姿”を垣間見たシャノンは……?
* * *
他のサイトにも投稿しています。
さよなら初恋。私をふったあなたが、後悔するまで
ミカン♬
恋愛
2025.10.11ホットランキング1位になりました。夢のようでとても嬉しいです!
読んでくださって、本当にありがとうございました😊
前世の記憶を持つオーレリアは可愛いものが大好き。
婚約者(内定)のメルキオは子供の頃結婚を約束した相手。彼は可愛い男の子でオーレリアの初恋の人だった。
一方メルキオの初恋の相手はオーレリアの従姉妹であるティオラ。ずっとオーレリアを悩ませる種だったのだが1年前に侯爵家の令息と婚約を果たし、オーレリアは安心していたのだが……
ティオラは婚約を解消されて、再びオーレリア達の仲に割り込んできた。
★補足:ティオラは王都の学園に通うため、祖父が預かっている孫。養子ではありません。
★補足:全ての嫡出子が爵位を受け継ぎ、次男でも爵位を名乗れる、緩い世界です。
2万字程度。なろう様にも投稿しています。
オーレリア・マイケント 伯爵令嬢(ヒロイン)
レイン・ダーナン 男爵令嬢(親友)
ティオラ (ヒロインの従姉妹)
メルキオ・サーカズ 伯爵令息(ヒロインの恋人)
マーキス・ガルシオ 侯爵令息(ティオラの元婚約者)
ジークス・ガルシオ 侯爵令息(マーキスの兄)
もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~
桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜
★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました!
10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。
現在コミカライズも進行中です。
「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」
コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。
しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。
愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。
だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。
どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。
もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。
※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!)
独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。
※誤字脱字報告もありがとうございます!
こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる