上 下
25 / 41
私をこの世界に堕としたのは、だぁれ?

囚われの身のアリス⑫

しおりを挟む
庇ってくれた父様の下敷きになった私は、何度も父様を呼んだ。その間にも父様を切った族が私に血塗られた剣先を向けてくる。私は泣き叫び、悲鳴をあげる。
族の剣が振り上げられた、その瞬間、族の後ろで少し離れた処に母様がいるのが見えた。
切られた父様を目を見開き、涙を流しながら族に腕を掴まれて立ち尽くしている。両手で口元を隠しているけれど少しだけ、口元が見えた気がした………。
…私は、自分の意識が遠退くのを感じた。


…リス………アリス!!
「アリス!!一体どうしたの!?」
ミッシェルさんが泣き出しそうな顔で私を呼んでいる?
そうか、私は気絶してしまったんだわ。
「ミッシェルさん…私は大丈夫です。少し、眠っていただけですから」私はニコリと微笑んだ。けれどミッシェルさんは「何言ってるの!!」と半分怒った口調になっていた。
「どう見ても椅子から転げ落ちて、気絶しているようにしか見えなかったわ!それにこんなに体が冷えて…死んでしまったらどうするのよ?!」ミッシェルさんは私を力強く抱きしめてくれた。
その温もりが今の私にはとても心地良くて、残酷なモノに思えた。
しおりを挟む

処理中です...