(完結)いつのまにか懐かれました。懐かれたからには私が守ります。

水無月あん

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13歳になりました

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騎士団長様から預かって来たお手紙を読んだお母様。
翌日、猛烈な勢いでお城にのりこんでいった。

そして、帰って来たあと、あきらめたような顔で私に言った。

「はあー、もう、だからマチルダには黙ってたのに……。私がミラベル様と友人だってこと。あんな魅力的な女性騎士に会ったら、もう騎士になるのを止められないじゃない」

「すまん、ローズ……」

大きな体を縮こませて、力ない声で謝るお父様。

「マチルダ。本当に騎士になる覚悟はあるの? 騎士は危険がつきもの。特に、女性にとったら、厳しい世界よ。それでもなりたいの?」

お母様が真剣な眼差しで聞いてきた。

私は、迷いもなく答えた。

「なりたい! なります!」

「わかったわ……。もう、好きなようになさい。お母様はとめないわ。刺繍はしなくていいけれど、今以上に勉強はがんばりなさい。そして、ケガをしないくらい強くなりなさい。ミラベル様みたいに、おごることなく、弱い人や困った人を助ける素敵な騎士におなりなさい」

「ありがとう、お母様! 私、がんばる。絶対にケガしないように強くなる! 騎士団長様みたいに、素敵な騎士になるから見ててね!」

私は胸をはって、お母様に宣言した。


 ◇ ◇ ◇


あれから3年。私は13歳になった。

その間に、私はドレスを着なくなった。
体を動かしやすいようにトラウザーズをはく。

それは学園でも同じ。
ドレスじゃないので、空いた時間を見つけては、体が鍛えられるから都合がいい。

最初こそ、周りの人たちには驚かれたり、笑われたり、からかわれたりしていたけれど、今は、何も言われない。
すっかり見慣れてしまったよう。
きっと、今なら、ドレスを着た時のほうが驚かれると思う。

それと、大変嬉しい変化もあった。
なんと、あの憧れの騎士団長様に月に1回、お城によばれ、稽古をつけていただいている。

しかも、私にばれたことで、ふっきれたのか、お城へはお母様も同行している。
お母様にとって懐かしい場所のお城で、騎士団長様と話しをするお母様は、時折、少女のような顔をみせて、とっても楽しそう。

騎士団長様曰く、私はお母様に似ているよう。
目標を決めたら、ものすごい努力をするところがそっくりなんだって。

森をかけまわるほどお転婆だったお母様。
でも、辺境騎士団で騎士として働いていたお父様とこのお城で出会い、恋に落ちた。

そこから、お母様は立派な子爵夫人になれるように、努力しはじめたのだそう。

なかでも、手先が不器用だったお母様が一番苦労したのは刺繍。
騎士団長様が笑いながら、こっそり教えてくれたのは、お母様が初めて刺繍したハンカチは血染めだったそう。

今では、お母様の刺繍をしたハンカチは、教会のバザーですごい人気なんだけどね。

そして、お父様の訓練は、どんどん厳しくなってきた。
アール兄様は、去年、辺境騎士団に入団したけれど、時間がある時は、私と一緒にお父様の稽古を受けている。
子爵家で働いている護衛の皆も一緒に訓練をする時がある。

お父様もアール兄様も護衛の人たちも、みんな背が高く大きい。
が、私はお母様に似て、背はあまり高くなく、鍛えているけれど細い。

でも、体格で劣るぶん、最近は、すばしっこさを生かすことも覚えてきた。

そんなある日、屋敷の庭で剣の素振りをしていたら、かすかに、人が泣くような声が聞こえてきた。
どうやら、塀の向こう側、つまり道路のほうからだ。

私はあわてて、裏口から外にでて、声の聞こえたほうへと向かう。

すると、塀のところに、うずくまる赤い髪の毛の子ども。
そして、その前で見下ろしている、体格のいい少年。
さっきの泣き声は、赤い髪の子どものようだ。

困っている人を助けるのは、騎士の役目よ!

私は練習用の剣をにぎりしめると、つっこんでいった。
そして、うずくまる男の子の前にかばうようにして立つ。

「小さな子どもを泣かせて何をしているの!?」

少年は、一瞬驚いたように固まったものの、私の顔を見たとたん、馬鹿にしたように笑った。
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