(完結)いつのまにか懐かれました。懐かれたからには私が守ります。

水無月あん

文字の大きさ
32 / 32

誓い(最終話)

しおりを挟む
パーティーから1か月がたち、ついに、明日、騎士団に入団する。

とはいえ、お父様とアール兄様と同様、私も屋敷から通う。
だから、特別な準備はいらない。
持っていく物は、やる気だけ! もちろん、それも準備万端!

で、私は今、屋敷の外の道に呼び出されている。

ここは、ルドとロイスと初めて会った場所。
呼び出したルドが、私を見て、うれしそうに微笑んだ。

「マチルダ様、来てくださってありがとうございます」

「ここで、初めて会ったよね。ほら、そこにルドがうずくまってて…。荒れた雰囲気のロイスが立ってたよね。まさか、その時は、2人とずっと一緒にいることになるとは思わなかったよ!」

「いえ、ぼくは、一目見て、マチルダ様を離したらいけないと思いました。澄みきって、まぶしいほど光ってましたから」

「前もそう言ってくれてたね。今は、どう? 汚れてない?」

ルドは、私を上から下までじっと見て、まぶしそうに目を細めた。

「今も、気持ちがいいほど澄んでいます。それに、前よりもっと光って見えます!」

「ほんと? 良かった!」

嬉しくなって、思わず微笑む。

ルドが真面目な顔になった。

「マチルダ様」

「何?」

「ぼく、明日、王都へ行きます。そして、王宮の文官になります」

「え、そうなのっ? しかも明日? 急だね……」

ルドがいなくなると思ったら、胸にズキンと痛みがはしった。
気に寂しさが襲ってくる。

「はい。マチルダ様が騎士団に入団される同じ日に、ぼくも、新たに出発したいと思いまして……」

そっか……。でも、ルドにとったら、おめでたいこと。
私は、できるだけ明るい声で言った。

「寂しくなるけど、ルドにとったら良いことだもんね。その頭脳を生かさないと、もったいないし。今まで、従者として、いっぱいいっぱい助けてくれて、本当にありがとう! 王都へ行ってもがんばって」

「あ、いえ、マチルダ様の従者はやめません! マチルダ様の最高の従者として、一生そばにいるために、王宮の文官になります!」

ん? それ、ちょっと、意味がわからない……。
首をかしげる私。
ルドは大きな瞳に強い光をともし、すがるように私を見つめてきた。

「ぼくは休日はこちらに戻ってきます。なので、従者のままでいさせてください」

「いや、王都からここまで遠いから。無理しないほうが……」

「大丈夫です!」

「うーん、そうかな……? まあ、でも、これからもルドと会えるとわかったら、ほっとした!」

私の言葉に、ルドが嬉しそうに微笑んだ。

ルドは、いつも身につけている黒いバッグから、リボンのかかった細長い箱をとりだした。

「マチルダ様。どうか、これをもらってください」

そう言うと、私に向かって、両手で箱を差し出しだしてくる。

「え、私にプレゼント? うわあ、ありがとう! 開けていい!?」

ルドはにっこり笑って、うなずいた。

早速、リボンをほどいて、ふたをあけた。
小さくて丸くて赤い石のついたネックレスが入っている。
ルドの髪の色と同じ、きれいな赤い石。

「これ、前に、ここで、ルドにあげた魔石のネックレスみたい……」

「はい! 似た色の魔石を探して、同じように加工をしました。ほら、ぼくがいただいた魔石とそっくりでしょう?」

そう言いながら、服の中から、ネックレスをとりだすルド。

見比べてみる。
魔石の色も形も、うりふたつだ。

「マチルダ様から離れている時間も、ぼくの心は、いつもマチルダ様のそばにありますから……」

ルドはそう言うと、私の首にネックレスをかけてくれた。

赤い魔石のあたるところが、ほっこりとあたたかくなる。
ほんと、ルドがそばにいる時みたいだ。

「ありがとう、ルド! 大事にする!」

ルドがうなずき、まっすぐに私を見つめてきた。

「マチルダ様。これからも、ずっと、ずっと、そばにいさせてください」

「うん! ルドがいてくれたら心強い! こちらこそ、一緒にいてね!」

そのとたん、ルドの目から、ポロポロと涙がこぼれはじめた。

「え? ちょっと、泣かないで!」

「でも、うれしくて。ぼくは、一生、マチルダ様をお支えする従者となります」

「ありがとう! なら、私は、一生、ルドを守る騎士になる!」

結局、ルドにつられて私も泣きだし、2人で号泣した。


 ◇ ◇ ◇


あれから2年がたった。

私は辺境の騎士団で働き、ルドは文官として王都で働いている。
ルドは宣言どおり、休日になると必ず辺境に帰ってくる。
たった一日のお休みで、少しの時間しか滞在できなくても帰ってくるから心配なんだよね。

そして、ここで大きな変化が!
なんと、私とルドは婚約しました!

というのも、昇進したルドに婚約を申し込まれたから。
驚いたけれど、私は、すぐに承諾した。

恋とか愛とかは、わからないけれど、ルドのいない人生は、もう、考えられないから。
ルドは、私の体の一部みたいな感じに思えるんだよね。

ルドは、私の従者兼婚約者となった。
そして、私は、ルドの騎士兼婚約者だ。

婚約式では、ルドの作ってくれた魔石の指輪を交換し、私は剣で騎士の誓いをルドに捧げた。

婚約後も、私は辺境、ルドは王都で、お互い忙しいけれど、ルドは休日ごとに辺境に帰ってくる。
そして、今まで通り、楽しそうに従者としてお世話をしてくれる。

が、前と違うこともある。

それは、私に向けるルドの顔が、とろけそうな感じに甘くなったこと。
そして、その表情を見ると、私の心臓が変にドキドキしてしまうんだよね……。

ということで、私、マチルダ・ターナーは、ルドと出会えて、本当に、本当に幸せです!



  (了)




※ 本編の番外編でのルドは、王太子やウルスに狙われ不憫な感じですが、実は幸せ者です。
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
お気に入り登録、感想、エールもありがとうございました。大変、励みになりました。
本編の番外編ものんびり更新中ですので、もしよろしかったら、そちらもよろしくお願いいたします。
  
しおりを挟む
感想 6

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(6件)

まるkomaり
2023.05.24 まるkomaり

完結、おめでとうございます🎉(*ノ´∀`*)ノ

ルドったら幸せ者だったんですね( *´艸)
しっかりマチルダさんを射止めて、おめでとう!

フィリップを悪魔(のよう)…と評したマチルダさん、
脳筋の勘は侮れない!
脳筋脳筋と母上をバカにしている王太子殿下は、
いつか痛い目に遭わないといいですねww

面白いお話をありがとうございました!
本編も、続きをのんびり楽しみにお待ちしていますm(_ _)m

2023.05.24 水無月あん

まるkomaり様、あたたかいお言葉をありがとうございます!

いつも感想をいただき、励みにさせていただきながら、書き終えることができました! 
感謝でいっぱいです! ありがとうございました!m(__)m

ルドにもお祝いの言葉をありがとうございます!
そうなんです。ただただ弱そうなルドですが、しっかり、マチルダは手にいれています(笑)

マチルダ命のルド。そういうところは、ルイスや王太子と似てる…(-_-;)

ご指摘どおり、脳筋を侮るなかれです!
確かに、王太子は、いつか、脳筋に痛い目にあうかもしれません…。
というか、あわせるかも!(*´艸`)

本編も楽しみに待ってくださるということで、やる気になります!
本当に、あたたかいご感想をありがとうございました!

解除
まるkomaり
2023.05.19 まるkomaり

待ってました!
フィリップ劇場の開幕ですね♪

やりたい放題の王太子殿下、
ここでも主役を食っちゃうのでしょうか??(←ちょっと期待(ФωФ)キラン ww)

野生の勘?でフィリップの本質を見抜いたマチルダさん、凄いです!

(蛇足ですが、
彼女のような人って、結構ウルスとお似合いでは?なんて思っちゃいましたww

それにしても、ウルスのくたびれ具合が…
…もう既に胃がキリキリと痛んでるのではないですか?気の毒に…)

2023.05.19 水無月あん

いつも感想をありがとうございます!

フィリップ劇場…(笑)! 
まるkomaり様のご指摘どおり、主役を食いそうな気配がプンプンしております(^_^;)

一応、今回は、王太子は脇役も脇役なので、作者としてはおさえて書こうとしているのですが、何故か主張してきます…(;'∀')

おっしゃるとおり、マチルダは野生の勘で、フィリップの本性を見抜いてます!
考えるのではなく、感じる派です。

ウルスにマチルダみたいな人…、なるほど、合うかも!(*´艸`) 
お互い、ないところを補えあえそうです!

今後、ウルスの幸せのため、お相手を思案しているのですが、難航しておりまして…(-_-;)
参考にさせていただきます!

そう、ウルスは、この時から、すでに疲労してます…。
ご心配のとおり、胃にもきてるかも…( ;∀;)
早く楽にしあげなければ…(-_-;)

いつも読んでくださって、感想もいただけて、励みにさせていただいています!
本当にありがとうございます!!

解除
まるkomaり
2023.05.14 まるkomaり

マチルダさん、見間違イデハアリマセン。
ソレデ正解デス…

(さすがフィリップ王太子殿下、ぶれませんねww)

2023.05.14 水無月あん

感想をありがとうございます!

まさに、おっしゃるとおりです(^_^;)

本編を読んでくださって、王太子をご存じの方には、すぐに正解だとわかってしまいますね…(;^_^A
番外編なので、王太子には、あまり暴走させないようにしたいとは思っているのですが…。

いつもよんでくださって、感想もいただき、本当に励みになります!ありがとうございます!

解除

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。 2/26 番外編を投稿しました。 読んでいただけると嬉しいです。 思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。 とてもとてもありがとうございます!!   

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

<完結>溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。 本編完結済み。 続きのお話を、掲載中です。 続きのお話も、完結しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。