60 / 135
番外編
円徳寺 ラナ 14
しおりを挟む
私を見るなり、駆け寄ってきたリュウ。
「ラナ、大変だったね! 大丈夫?!」
と、心配そうな顔で、リュウが聞いてきた。
そんなにルリが心配だったのね…。
ほんの少し、チクリと心が痛んだけれど、私はその気持ちを隠して、微笑んだ。
「心配かけたけれど、ルリは大丈夫だよ。でも、記憶がまだ戻ってないから、家族以外の面会は断っているの。リュウもルリに会いたいだろうけれど、本人の希望だから、ごめんね」
ルリから、記憶がなくて失礼なことを言ったら申し訳ないから、家族以外に会いたくない。だから、お見舞いは断ってほしいと言われた。
それを聞いた時、正直、耳を疑った。
だって、ルリが、そんな気遣いができるとは思えない。
逆に、「なんでこないのよ!」くらい言いそうなのよね…。
でも、今のところ、ルリへのお見舞いは誰一人、来ていない。
取り巻きみたいな友達がいたはずだけれど、まあ、突き落とされた理由が理由だし、関わりたくないのかも…。
「ルリに会いたいとかじゃなくて、ぼくはラナが心配で会いに来たんだ…。ラナ、無理してるんじゃない?」
「は…、私…?」
「そう、ラナだよ! ぼくは、ラナが心配なんだ。大丈夫?!」
と、つらそうな顔をするリュウ。
どういうこと…? リュウはルリじゃなくて、私を心配しているの…?
意味がわからない。
「私は大丈夫だけど…。なんで、私のことを心配するの…?」
「ラナはぼくの婚約者なんだから、心配するのは当たり前だろう?!」
と、リュウが不満げに言った。
「当たり前? そうかな…? だって、リュウは、ルリが好きでしょう? だから、婚約者の私のことなんて、どうでもいいのかと思ってたけど…」
ぼそっと、本音がこぼれた。
「は? …あ、…いや…、ルリとは、そんなんじゃない! ほら、ルリは将来、義妹になるから、仲良くしていただけなんだ! それに、ルリは男関係で突き落とされたんだろう? ころっとだまされてたけど、結構遊んでたんだな…。ぼくが、そんな軽い子を好きになるわけがない。ぼくは、ラナみたいに真面目で…」
「やめて! ルリを悪く言わないで!」
とっさに、リュウの言葉を強い口調でさえぎった。
というのも、私の頭には、病室で、図鑑を楽しそうに見ているルリの顔が浮かんでいたから。
以前のルリだと、ラナとしての義務で守っていたけれど、今のルリなら、妹だから守りたい、自然とそう思えた。
だから、リュウの言葉に腹が立ったんだと思う。
「あ…、ごめん…」
リュウが気まずそうに謝った。
「…ううん。こっちこそ、大きな声をだしてごめん。ちょっと、疲れてたみたい…」
と、とってつけたような言い訳をした。
どうしよう、気まずい…。
わざわざ来てくれているんだから、いつもみたいにあがってもらって、お茶でもだすべきなんだろうけれど、…なんか嫌だな。
今日は、誰もいないし、なにより、今はリュウと話したくない。
そう思った時、リュウが私に向かって、やけに優しく微笑んだ。
「じゃあ、ぼくは帰るよ。ラナの顔を見にきただけだから。会えて良かった。…じゃあ、ラナ。体に気をつけて」
そう言って、リュウはさらっと帰って行った。
後ろ姿を見ながら、ちょっと罪悪感がわいた。
せっかく、心配してきてくれたのにね…。
それにしても、リュウ、一体どうしたんだろう?
あんなにルリにべったりだったのに、リュウの考えていることがわからない。
まあ、謝るのは、次に会った時にしよう。
でも、しばらく来ないかもね…。
そう思ったのに、翌日、ルリのところから帰った私を待っていたのは、応接室でお父様と談笑するリュウだった。
「ラナ、大変だったね! 大丈夫?!」
と、心配そうな顔で、リュウが聞いてきた。
そんなにルリが心配だったのね…。
ほんの少し、チクリと心が痛んだけれど、私はその気持ちを隠して、微笑んだ。
「心配かけたけれど、ルリは大丈夫だよ。でも、記憶がまだ戻ってないから、家族以外の面会は断っているの。リュウもルリに会いたいだろうけれど、本人の希望だから、ごめんね」
ルリから、記憶がなくて失礼なことを言ったら申し訳ないから、家族以外に会いたくない。だから、お見舞いは断ってほしいと言われた。
それを聞いた時、正直、耳を疑った。
だって、ルリが、そんな気遣いができるとは思えない。
逆に、「なんでこないのよ!」くらい言いそうなのよね…。
でも、今のところ、ルリへのお見舞いは誰一人、来ていない。
取り巻きみたいな友達がいたはずだけれど、まあ、突き落とされた理由が理由だし、関わりたくないのかも…。
「ルリに会いたいとかじゃなくて、ぼくはラナが心配で会いに来たんだ…。ラナ、無理してるんじゃない?」
「は…、私…?」
「そう、ラナだよ! ぼくは、ラナが心配なんだ。大丈夫?!」
と、つらそうな顔をするリュウ。
どういうこと…? リュウはルリじゃなくて、私を心配しているの…?
意味がわからない。
「私は大丈夫だけど…。なんで、私のことを心配するの…?」
「ラナはぼくの婚約者なんだから、心配するのは当たり前だろう?!」
と、リュウが不満げに言った。
「当たり前? そうかな…? だって、リュウは、ルリが好きでしょう? だから、婚約者の私のことなんて、どうでもいいのかと思ってたけど…」
ぼそっと、本音がこぼれた。
「は? …あ、…いや…、ルリとは、そんなんじゃない! ほら、ルリは将来、義妹になるから、仲良くしていただけなんだ! それに、ルリは男関係で突き落とされたんだろう? ころっとだまされてたけど、結構遊んでたんだな…。ぼくが、そんな軽い子を好きになるわけがない。ぼくは、ラナみたいに真面目で…」
「やめて! ルリを悪く言わないで!」
とっさに、リュウの言葉を強い口調でさえぎった。
というのも、私の頭には、病室で、図鑑を楽しそうに見ているルリの顔が浮かんでいたから。
以前のルリだと、ラナとしての義務で守っていたけれど、今のルリなら、妹だから守りたい、自然とそう思えた。
だから、リュウの言葉に腹が立ったんだと思う。
「あ…、ごめん…」
リュウが気まずそうに謝った。
「…ううん。こっちこそ、大きな声をだしてごめん。ちょっと、疲れてたみたい…」
と、とってつけたような言い訳をした。
どうしよう、気まずい…。
わざわざ来てくれているんだから、いつもみたいにあがってもらって、お茶でもだすべきなんだろうけれど、…なんか嫌だな。
今日は、誰もいないし、なにより、今はリュウと話したくない。
そう思った時、リュウが私に向かって、やけに優しく微笑んだ。
「じゃあ、ぼくは帰るよ。ラナの顔を見にきただけだから。会えて良かった。…じゃあ、ラナ。体に気をつけて」
そう言って、リュウはさらっと帰って行った。
後ろ姿を見ながら、ちょっと罪悪感がわいた。
せっかく、心配してきてくれたのにね…。
それにしても、リュウ、一体どうしたんだろう?
あんなにルリにべったりだったのに、リュウの考えていることがわからない。
まあ、謝るのは、次に会った時にしよう。
でも、しばらく来ないかもね…。
そう思ったのに、翌日、ルリのところから帰った私を待っていたのは、応接室でお父様と談笑するリュウだった。
145
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします
ほーみ
恋愛
その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。
そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。
冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。
誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。
それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。
だが、彼の言葉は、決定的だった。
「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」
〖完結〗旦那様が私を殺そうとしました。
藍川みいな
恋愛
私は今、この世でたった一人の愛する旦那様に殺されそうになっている。いや……もう私は殺されるだろう。
どうして、こんなことになってしまったんだろう……。
私はただ、旦那様を愛していただけなのに……。
そして私は旦那様の手で、首を絞められ意識を手放した……
はずだった。
目を覚ますと、何故か15歳の姿に戻っていた。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全11話で完結になります。
『選ばれなかった令嬢は、世界の外で静かに微笑む』
ふわふわ
恋愛
婚約者エステランス・ショウシユウに一方的な婚約破棄を告げられ、
偽ヒロイン・エア・ソフィアの引き立て役として切り捨てられた令嬢
シャウ・エッセン。
「君はもう必要ない」
そう言われた瞬間、彼女は絶望しなかった。
――なぜなら、その言葉は“自由”の始まりだったから。
王宮の表舞台から退き、誰にも選ばれない立場を自ら選んだシャウ。
だが皮肉なことに、彼女が去った後の世界は、少しずつ歪みを正し始める。
奇跡に頼らず、誰かを神格化せず、
一人に負担を押し付けない仕組みへ――
それは、彼女がかつて静かに築き、手放した「考え方」そのものだった。
元婚約者はようやく理解し、
偽ヒロインは役割を降り、
世界は「彼女がいなくても回る場所」へと変わっていく。
復讐も断罪もない。
あるのは、物語の中心から降りるという、最も静かな“ざまぁ”。
これは、
選ばれなかった令嬢が、
誰の期待にも縛られず、
名もなき日々を生きることを選ぶ物語。
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる