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ノーラン様のしたこと
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「それで、私の真後ろにはりつき、ノーラン様は、一体、どのようなお手伝いをしてくださったのですか?!」
冷静になったつもりだけれど、怒りの残骸が残っていたのか、口調がきつくなる。
「ウフ…。ルシェったら、全然、かわってなーい! 子どもの時も、魔力カーテンで驚かすと、いつもそんな風に怒るのをがまんしてたよね。聖女はおこっちゃいけない、とか思ってるんでしょ? でも、ことばがプンプンしたまんまなの。我慢なんてしなくていいのにね?」
はあ?! だれのせいで我慢してると思っているの?!
が、ここで怒っては、偽エルフの思うツボ。
ルビーさんの前で、聖女らしからぬところをお見せするわけにはいかない。
あきれられたら、好感度が更に下がってしまうものね…。
「我慢なんてしてませんよ? 私、ちっとも、怒ってませんから! それより、ノーラン様がどんなことをして、ありえないほどの速さで、私の守護の力がこめられたのか教えてください」
「簡単なことだよ。ルシェの後ろに立ち、ルシェの視線をチェックして、ルシェの守護の力がでる範囲に魔力で壁を作っただけ」
「壁…?」
「うん、そう! ルシェは結界の魔石に守護を込める時、魔石の中へ力を入れるように、魔石ばっかり集中して見てるよね。でも、やっぱり、少しずつ、魔石の外へもれてるの」
「もれてるって…?」
「…あっ、なるほど…! いつも、ルシェル様が魔石に力をこめていただいたあとは、この部屋全体が、ルシェル様のお力の色である、薄い紫色の霧で満たされます! なのに、今日は、それがないですっ!」
と、驚いた声をあげたミケランさん。
確かに、そうね…。部屋が私の色になるということは、魔石以外に力がもれているということ。
「そうそう、いつもは、部屋全体が、ルシェ色でそまって、ルシェがいーっぱいいるみたいで、楽しくなるよね!」
は…? またもや、偽エルフがおかしなことをいいだしたわ…。
ほら、ルビーさんが、気持ちが悪そうに、私とノーラン様を見ている。
変なことを言って、私をまきこむのはやめて!
…と言う気持ちを込めて、ノーラン様をにらむ。
が、何故か、艶やかに微笑み返された。
「ルシェはね、いつも、視線を使って、力をだす先を設定してるの。だから、魔石の中に守護の力を込める時は、魔石だけを集中して見ているんだよね。でも、どうしても、魔石の周囲も見えているから、その分、力がもれる。だから、ルシェの後ろにたって、ルシェが魔石に焦点を合わせた時の、視線の端っこを見極めて、そこに壁を作ったわけ。そうすると、魔石に入らなかった守護の力は、その壁にあたって跳ね返る。すると、あら不思議。はねかえった力は、ぜーんぶ、ルシェの視線の中心である魔石に戻るんだよ。そうなるように、ぼくが、ルシェの後ろに立って術式を組んだの。とっても便利な壁でしょ? ミケランも、今度やってみれば?」
ミケランさんが飛び上がって、ぶるぶると首を横にふった。
「…え、いや、無理です! 無理です! 私にはできません! もれた力をはねかえすだけじゃなくて、ルシェル様の視線の中心に力を集める壁だなんて、難しすぎて、私にはできません…。しかも、そんな、すごい術式の設定を、無詠唱で即座にできるなんて…。さすが、この国始まって以来の天才魔術師、ノーラン様です!」
まあ、確かにすごい。それは認める。
さすが、魔王なみの魔力を持つ偽エルフよね。
でもね、ミケランさん。そこは、感動している場合じゃないですよ?!
ミケランさんこそ怒るべきです!
いつもミケランさんの苦労を見ながら、遊んでたんですよ?!
ということで、私は、ミケランさんに変わって、びしっと言った。
「なら、いつもそうしてくれれば、早く終わるわよね?! 何故、やらないの?!」
「だって、ルシェといられる時間が短くなるもん。だから、やらなーい。でも、今日は、ぼくがルシェのお手伝いをするから、ついつい、張り切っちゃった。フフ」
そう言って、きれいな笑みをうかべるノーラン様。
ふーん…。聞いても全く共感できないわね…。
なんだか、一気に脱力した。守護の力をこめた後の疲れも相まって、どうでもよくなってくる。
「…なら、これにて終了ということで、さっさとお帰りください…」
私は、ぞんざいに言った。
すると、ノーラン様が高らかに声をあげた。
「まだ、帰りませーん! 早く終わったので、これから、ちょっと余興をしようと思います!」
余興…? 仕事なのに、余興…?
この偽エルフは、一体、なにを言ってるのかしら?
冷静になったつもりだけれど、怒りの残骸が残っていたのか、口調がきつくなる。
「ウフ…。ルシェったら、全然、かわってなーい! 子どもの時も、魔力カーテンで驚かすと、いつもそんな風に怒るのをがまんしてたよね。聖女はおこっちゃいけない、とか思ってるんでしょ? でも、ことばがプンプンしたまんまなの。我慢なんてしなくていいのにね?」
はあ?! だれのせいで我慢してると思っているの?!
が、ここで怒っては、偽エルフの思うツボ。
ルビーさんの前で、聖女らしからぬところをお見せするわけにはいかない。
あきれられたら、好感度が更に下がってしまうものね…。
「我慢なんてしてませんよ? 私、ちっとも、怒ってませんから! それより、ノーラン様がどんなことをして、ありえないほどの速さで、私の守護の力がこめられたのか教えてください」
「簡単なことだよ。ルシェの後ろに立ち、ルシェの視線をチェックして、ルシェの守護の力がでる範囲に魔力で壁を作っただけ」
「壁…?」
「うん、そう! ルシェは結界の魔石に守護を込める時、魔石の中へ力を入れるように、魔石ばっかり集中して見てるよね。でも、やっぱり、少しずつ、魔石の外へもれてるの」
「もれてるって…?」
「…あっ、なるほど…! いつも、ルシェル様が魔石に力をこめていただいたあとは、この部屋全体が、ルシェル様のお力の色である、薄い紫色の霧で満たされます! なのに、今日は、それがないですっ!」
と、驚いた声をあげたミケランさん。
確かに、そうね…。部屋が私の色になるということは、魔石以外に力がもれているということ。
「そうそう、いつもは、部屋全体が、ルシェ色でそまって、ルシェがいーっぱいいるみたいで、楽しくなるよね!」
は…? またもや、偽エルフがおかしなことをいいだしたわ…。
ほら、ルビーさんが、気持ちが悪そうに、私とノーラン様を見ている。
変なことを言って、私をまきこむのはやめて!
…と言う気持ちを込めて、ノーラン様をにらむ。
が、何故か、艶やかに微笑み返された。
「ルシェはね、いつも、視線を使って、力をだす先を設定してるの。だから、魔石の中に守護の力を込める時は、魔石だけを集中して見ているんだよね。でも、どうしても、魔石の周囲も見えているから、その分、力がもれる。だから、ルシェの後ろにたって、ルシェが魔石に焦点を合わせた時の、視線の端っこを見極めて、そこに壁を作ったわけ。そうすると、魔石に入らなかった守護の力は、その壁にあたって跳ね返る。すると、あら不思議。はねかえった力は、ぜーんぶ、ルシェの視線の中心である魔石に戻るんだよ。そうなるように、ぼくが、ルシェの後ろに立って術式を組んだの。とっても便利な壁でしょ? ミケランも、今度やってみれば?」
ミケランさんが飛び上がって、ぶるぶると首を横にふった。
「…え、いや、無理です! 無理です! 私にはできません! もれた力をはねかえすだけじゃなくて、ルシェル様の視線の中心に力を集める壁だなんて、難しすぎて、私にはできません…。しかも、そんな、すごい術式の設定を、無詠唱で即座にできるなんて…。さすが、この国始まって以来の天才魔術師、ノーラン様です!」
まあ、確かにすごい。それは認める。
さすが、魔王なみの魔力を持つ偽エルフよね。
でもね、ミケランさん。そこは、感動している場合じゃないですよ?!
ミケランさんこそ怒るべきです!
いつもミケランさんの苦労を見ながら、遊んでたんですよ?!
ということで、私は、ミケランさんに変わって、びしっと言った。
「なら、いつもそうしてくれれば、早く終わるわよね?! 何故、やらないの?!」
「だって、ルシェといられる時間が短くなるもん。だから、やらなーい。でも、今日は、ぼくがルシェのお手伝いをするから、ついつい、張り切っちゃった。フフ」
そう言って、きれいな笑みをうかべるノーラン様。
ふーん…。聞いても全く共感できないわね…。
なんだか、一気に脱力した。守護の力をこめた後の疲れも相まって、どうでもよくなってくる。
「…なら、これにて終了ということで、さっさとお帰りください…」
私は、ぞんざいに言った。
すると、ノーラン様が高らかに声をあげた。
「まだ、帰りませーん! 早く終わったので、これから、ちょっと余興をしようと思います!」
余興…? 仕事なのに、余興…?
この偽エルフは、一体、なにを言ってるのかしら?
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