オハギとオモチ ~夏編~

水無月あん

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オモチ

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追い出されたオモチが、めんどくさそうに、のっさり、のっそり歩いていると、子どものハリネズミがいた。

下をむいて、同じところを、いったり、きたり。
何か、探しているみたい。

「どうしたんだい?」
のんびりした声で、オモチは声をかけた。

「とっても、だいじなものを、落としちゃったんだ…」
消えそうな声でそう言って、ハリネズミがオモチを見た。

小さな小さな目が、悲しそうにくもっている。
オモチの心が、キューっとなった。

めんどくさいのは、いやだけど。でも…。

「ぼくも探すよ」

「ほんと?」

不安そうなハリネズミに、オモチは力強くうなずいた。

「うん。ぼく、魔女のりっぱな助手だから」

「まじょのりっぱなじょしゅ? それだと、落とし物をみつけられるの?」

「うん、できるよ。魔女のオハギが見落とした呪文もひろえるように、ぼくは、目がいいからね。りっぱな助手って、そうなんだ。だから、安心して。絶対、見つけてあげる」

ハリネズミは、ほっとしたように、うなずいた。

「それで、君のおとした大事なものって、どんなもの?」

「うすっぺらくて、きらきらひかるもの」
ハリネズミは、小さな声で答えた。

うすっぺらいって…、あ、オハギの作るパン。
きらきら光るって…、あ、ぼくの自慢のまっしろな毛。

じゃあ、うすっぺらくて、きらきら光るものになると、いったい、なんだろう?

オモチは地面に顔をひっつけるようにして、探し始めた。


その時、おひさまの光がさしてきて、そこらへんが明るくなった。

あ! なにか、ひかった?!
葉っぱの下だ。

「ハリネズミくん、こっちへきて!」
オモチの声に、あわてて、ハリネズミが走って来た。

「ほら、あそこ! 葉っぱの下で、なにかひかってるよ」
オモチが指差したところに、ハリネズミが、とんでいった。

そして、葉っぱの下から、何かをひろいあげた。

「おおん、おおん」
いきなり大きな声で泣き始めたハリネズミ。

小さな体からでているとは思えない、大きな声だ。

「どうしたの?! ちがってた?」
びっくりして、オモチが聞く。

「うおおおおおん、うおおおおおん!」
ハリネズミは、もっと大きな声で泣きだしてしまった。

オモチは、あわてて近寄ると、オハギに持たされたハンカチで、ハリネズミの顔をふいてあげる。

ぺったんこだったハンカチが、ほんわりふわりとふくらんだ頃、ハリネズミは、ようやく泣きやんだ。

そして、ハリネズミは、恥ずかしそうに微笑んだ。
「見つかったから、すごく、うれしくて、涙がとまらなくなっちゃった…。見つけてくれて、本当にありがとう、シロネコさん!」
ハリネズミは、ひろったものをしっかりかかえて、体をおりたたむようにして、オモチにむかって、おじぎをした。
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