オハギとオモチ ~夏編~

水無月あん

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お礼

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「「こんにちは」」
あけっぱなしの玄関から、小さな声が、聞こえてきた。

見ると、子ウサギと子リスがならんで、ちょこんとたっていた。

オハギが、ドアまでかけよった。
「いったい、どうしたの?」

「まじょさんに、この前のお礼を言いに来たの」
空色の羽をつけた、しっぽをゆらしながら、子リスが言った。

「ぼくも同じ。まじょさんにお礼が言いたくて、子リスちゃんと一緒に会いに来たんだ」
と、子ウサギ。

「え?! わざわざ、私に会いに来てくれたの?!」

子リスと子ウサギが、こくりとうなずいた。

「私に会いに来てくれた、お客さん、はじめてだわ…」
そう思ったら、オハギは、そわそわして、踊りだしたくなってきた。
大魔女のおばあちゃんみたいに、落ち着いた立派な魔女なら、しないだろうけれど。

「ねえ、オハギ。ふたりにも、一緒にケーキを食べてもらったら?」

はじめてのお客さんを前に、落ち着きのない様子のオハギを見て、オモチが声をかけた。

「あ、そうね! ふたりとも、私が焼いた木の実のケーキがあるの。もし良かったら、一緒に食べない…?」
オハギが、子リスと子ウサギに、はずかしそうに聞いた。

「やったー! 食べる!」
子ウサギが、とびはねて、よろこんだ。

「わたしも食べたい!」
子リスが、しっぽをふって、よろこんだ。

そんなふたりを見て、オハギもうれしそう。

「オハギ、顔がゆるゆる。ほら、はやく、入ってもらったら?」

オモチの言葉に、あわてて、オハギが言った。
「ふたりとも、どうぞ!」

「「おじゃましまーす!」」

声をそろえて、家に入った子ウサギと子リス。

すると、子ウサギが背中から荷物をおろして、オハギにさしだした。

「この前のお礼に、子リスちゃんと一緒に作ってきたんだ。どうぞ」

「えっ、私に?! ありがとう。…でも、なにかしら、これ?」

長ぼそい葉っぱと、青い色の鳥の羽を交互にならべ、根元をくくっている、ひらべったいもの。

「これね、こうやって使うんだよ」
そう言うと、子ウサギは、くくったほうを自分で持ち、オハギにむかって、上下にぱたぱたとあおぎはじめた。

「うわっ、涼しいっ!」
オハギが、驚いた声をあげた。

「旅ばかりしている物知りの渡り鳥に教えてもらったんだ。ウチワっていって、ふると、風がおきて、涼しいんだって。形を聞いて、森であるもので作ってみたんだけど…。ほら、まじょさん、まっくろいワンピースが暑そうだから」

子ウサギの言葉に、オハギが、こくこくとうなずいた。

「ほんとに、暑いの。このまっくろいワンピース!」

「鳥の羽は、私が集めてきたんだよ。川の水みたいな色だから、見てるだけでも、涼しくなりそうでしょ?」
子リスの言葉に、オハギが、また、こくこくとうなずいた。

「ほんとに、涼しそうな色ね! それに、とってもきれい! 暑いのが苦手だから、すごくうれしいわ! ふたりとも、ありがとう!」
オハギの言葉に、今度は、子ウサギと子リスが、うれしそうにうなずいた。
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