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「こんにちは!」
あけっぱなしの玄関から、今度は大きな声が、聞こえてきた。
子グマが、のっそりと立っている。肩の上には、青い小鳥をのせて。
オハギが、ドアまでかけよった。
「もしかして、君も私に会いにきたの?」
「うん。まじょさんに、この前のお礼を言いに来たんだ。ぼくの友達といっしょにね」
肩にのった、青い小鳥が、ピーコロロロロンと、きれいな声でさえずった。
「私に会いに、こんなにお客さんが来たのは、はじめてだわ…」
そう思ったら、オハギは、わくわくして、気がついたら、くるくるまわって、踊ってた。
立派な魔女ならしないだろうけれど、楽しいからいいわ!
「ねえ、オハギ。踊るのはあとにして、みんなで一緒に、ケーキを食べようよ!」
オモチの声に、はっとしたオハギ。
「あ、そうね! 子グマくんも小鳥ちゃんも、私が焼いた木の実のケーキがあるの。一緒に食べましょう」
「わーい、食べたい!」
子グマが、楽しそうに足をふみならす。
「ピーコロコロコロ」
小鳥は、子グマの肩から飛び立って、一足先に家の中へ入ってきた。
「子グマくんも、さあ、どうぞ!」
オハギの言葉に、うなずく子グマ。
「おじゃましまーす!」
家に入った子グマは、背中から荷物をおろして、オハギにさしだした。
「この前のお礼に持ってきた。もらったものだけど、どうぞ」
「えっ、私に?! ありがとう。…でも、なにかしら、これ?」
大きくて、まんまる。緑色に黒いシマ模様。表面はつるっとしていて、ずしりと重い。
「これはね、スイカっていう果物なんだって。甘くて、美味しくて、体をひやして、暑いときにぴったりの食べ物なんだって」
「へえ! 美味しい上に、体をひやしてくれるの? すごいわね!」
暑さが苦手なオハギの目が輝いた。
「でも、その果物、一体、だれにもらったの? 珍しいよね?」
オモチが、不思議そうに聞くと、ハリネズミも子リスも子ウサギも、うなずいた。
みんな、見たことがないみたい。
子グマは言った。
「ぼくね、前は、となりの山に住んでたの。そこに、魔法使いが住んでるんだ。いろんな野菜や果物を作ってて、ぼく、畑仕事を手伝ってたんだ。おもしろいから、今でも、たまにお手伝いに行く。そしたら、収穫したものをわけてくれるの。このスイカも、魔法使いが育てたものなんだよ」
「えええっ?! となりの山に魔法使いが住んでるの?!」
おどろいた声をあげるオハギに、子グマはこくりとうなずいた。
「まさか、同じ仕事の人が近くにいるなんて?! その人、どんな魔法使いなのっ?!」
「うーん、そうだね…。魔女さんと同じくらいの年にみえる、やさしい男の子だよ。名前は、アズキくん。助手の黒い猫は、ノリちゃん。今度、連れてきてもいい?」
一瞬、だまったあと、叫んだオハギとオモチ。
「「連れてきて!」」
明るい声が重なった。
はじめてのお客さんたちに、オハギは大忙し。
まずは、お湯をわかして、木の実のケーキを人数分に切って…。
それから、子グマにもらったスイカも切らないと。
その前に、オハギは自分の部屋にいき、着替えてきた。
まっしろで、半袖、ひざがまるみえの、涼しそうなワンピースだ。
「オハギ、どうしたの? まっくろな魔女ワンピース、着なくていいの?」
オモチが聞いた。
「着たくなったら、また、着るかも。でも、今はいい。私に似合ってないし、なにより暑いしね」
さっぱりした顔で話す、オハギ。
「立派な魔女じゃなくていいの?」
オモチが、目をまんまるくして、聞いた。
「うん、いい。私は、立派な魔女より、楽しい魔女になりたいって思ったから。みんなのおかげでね。だって、お客さんがきてくれるのが、こんなに、うれしいって知ったもの。だれとも仲良くしないのは、寂しいってこともね。
だから、オモチ。これからは、どんどん、みんなと仲良くなっていくわよ! まずは、今日のおもてなし。ケーキを切るから、オモチも手伝って!」
「めんどくさい…ってことないね。ぼくも手伝う!」
「ありがと。それと、オモチ。…夏は暑いけど、楽しいね!」
オハギの言葉に、オモチもおもいっきりうなずいた。
(おわり)
あけっぱなしの玄関から、今度は大きな声が、聞こえてきた。
子グマが、のっそりと立っている。肩の上には、青い小鳥をのせて。
オハギが、ドアまでかけよった。
「もしかして、君も私に会いにきたの?」
「うん。まじょさんに、この前のお礼を言いに来たんだ。ぼくの友達といっしょにね」
肩にのった、青い小鳥が、ピーコロロロロンと、きれいな声でさえずった。
「私に会いに、こんなにお客さんが来たのは、はじめてだわ…」
そう思ったら、オハギは、わくわくして、気がついたら、くるくるまわって、踊ってた。
立派な魔女ならしないだろうけれど、楽しいからいいわ!
「ねえ、オハギ。踊るのはあとにして、みんなで一緒に、ケーキを食べようよ!」
オモチの声に、はっとしたオハギ。
「あ、そうね! 子グマくんも小鳥ちゃんも、私が焼いた木の実のケーキがあるの。一緒に食べましょう」
「わーい、食べたい!」
子グマが、楽しそうに足をふみならす。
「ピーコロコロコロ」
小鳥は、子グマの肩から飛び立って、一足先に家の中へ入ってきた。
「子グマくんも、さあ、どうぞ!」
オハギの言葉に、うなずく子グマ。
「おじゃましまーす!」
家に入った子グマは、背中から荷物をおろして、オハギにさしだした。
「この前のお礼に持ってきた。もらったものだけど、どうぞ」
「えっ、私に?! ありがとう。…でも、なにかしら、これ?」
大きくて、まんまる。緑色に黒いシマ模様。表面はつるっとしていて、ずしりと重い。
「これはね、スイカっていう果物なんだって。甘くて、美味しくて、体をひやして、暑いときにぴったりの食べ物なんだって」
「へえ! 美味しい上に、体をひやしてくれるの? すごいわね!」
暑さが苦手なオハギの目が輝いた。
「でも、その果物、一体、だれにもらったの? 珍しいよね?」
オモチが、不思議そうに聞くと、ハリネズミも子リスも子ウサギも、うなずいた。
みんな、見たことがないみたい。
子グマは言った。
「ぼくね、前は、となりの山に住んでたの。そこに、魔法使いが住んでるんだ。いろんな野菜や果物を作ってて、ぼく、畑仕事を手伝ってたんだ。おもしろいから、今でも、たまにお手伝いに行く。そしたら、収穫したものをわけてくれるの。このスイカも、魔法使いが育てたものなんだよ」
「えええっ?! となりの山に魔法使いが住んでるの?!」
おどろいた声をあげるオハギに、子グマはこくりとうなずいた。
「まさか、同じ仕事の人が近くにいるなんて?! その人、どんな魔法使いなのっ?!」
「うーん、そうだね…。魔女さんと同じくらいの年にみえる、やさしい男の子だよ。名前は、アズキくん。助手の黒い猫は、ノリちゃん。今度、連れてきてもいい?」
一瞬、だまったあと、叫んだオハギとオモチ。
「「連れてきて!」」
明るい声が重なった。
はじめてのお客さんたちに、オハギは大忙し。
まずは、お湯をわかして、木の実のケーキを人数分に切って…。
それから、子グマにもらったスイカも切らないと。
その前に、オハギは自分の部屋にいき、着替えてきた。
まっしろで、半袖、ひざがまるみえの、涼しそうなワンピースだ。
「オハギ、どうしたの? まっくろな魔女ワンピース、着なくていいの?」
オモチが聞いた。
「着たくなったら、また、着るかも。でも、今はいい。私に似合ってないし、なにより暑いしね」
さっぱりした顔で話す、オハギ。
「立派な魔女じゃなくていいの?」
オモチが、目をまんまるくして、聞いた。
「うん、いい。私は、立派な魔女より、楽しい魔女になりたいって思ったから。みんなのおかげでね。だって、お客さんがきてくれるのが、こんなに、うれしいって知ったもの。だれとも仲良くしないのは、寂しいってこともね。
だから、オモチ。これからは、どんどん、みんなと仲良くなっていくわよ! まずは、今日のおもてなし。ケーキを切るから、オモチも手伝って!」
「めんどくさい…ってことないね。ぼくも手伝う!」
「ありがと。それと、オモチ。…夏は暑いけど、楽しいね!」
オハギの言葉に、オモチもおもいっきりうなずいた。
(おわり)
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