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もうすぐ私のもの (メアリー視点)
ふたりの秘密ができ、このまま一気にアーノルド様と親しくなれると思っていたのにすすまない……。
私は18歳になり、あせりはじめた。
というのも、卒業まで、あと1年しかないから。
このまま卒業してしまったら、アーノルド様と会えなくなってしまう。
アーノルド様は生徒会長、私は書記になり、生徒会室で話すことも増えた。
相思相愛だという学園での噂もひろまっているのに、私とアーノルド様の距離は一向に変わっていない。
いまだに、アーノルド様が私に話すことといえば婚約者のアンジェリンのことばかり。
相変わらず、体の弱さでアーノルド様を縛り付けるアンジェリンのせいで、私になびいてこないアーノルド様。
計画では、生徒会で会う機会が増えた私たちは、お互いアンジェリンを心配して話をする間に、気がつけば、ひかれあっていた。
妹のようなアンジェリンではなく、私との真実の愛にめざめたアーノルド様は悩みながらも、自分の心に嘘はつけないと婚約解消を申し出る。
私は泣きながら、アーノルド様を愛してしまったことをアンジェリンに謝る。
アンジェリンは、大好きなメアリー姉さまならと身をひき、お人よしのあの子は私たちを祝福する。
これが私の考えた筋書だけれど、全然上手くいかない。
チャンスは学園にいる間だけなのに……。
そんな時、学園祭で生徒会が催しものを取り仕切ることが決まった。
司会はアーノルド様。
私は勝負にでることにした。
アンジェリンを学園に招く。
心配症なアーノルド様はアンジェリンが学園に来ることを反対するだろうし、もし来たら、司会は放棄してアンジェリンに付き添うことは容易に想像できる。
でも、それだと意味がないのよね。
だから、こっそりとアンジェリンを招待することにした。
噂好きの女子たちに囲まれた特等席を用意して。
学園でひろまった噂を聞けば、鈍いアンジェリンも自分がアーノルド様にとって、ただの政略でしかない婚約者だと思い知るだろう。
そうすれば、あの子の性格なら身をひくはずだから。
ああ、そうだわ。
帽子をかぶってくるように言わないと。
だって、アンジェリンのあの銀色の髪は目立つから、アーノルド様が気づくかもしれない。
アンジェリの銀色の髪を思い浮かべると、嫌な思いがよみがえってきた。
アーノルド様の気をひくため、アンジェリンの髪色を私がほめたときだった。
「アンジェのあの銀色の髪、月の色みたいできれいで、何度見てもはっとするんだ」
アーノルド様が恥ずかしそうに、そう言った。
悔しかった。
だから、私はアンジェリンにさりげなく提案したのよね。
大人っぽくなりたいと言ったアンジェリンに髪の毛をきっちりまとめることを。
だって、アーノルド様がはっとするような髪なんて目障りだもの。
体の弱さだけじゃなく、この国にない髪色で、アーノルド様の気を引くアンジェリンが本当にうとましいと思ったわ。
真綿にくるまれて育ったアンジェリンは馬鹿みたいに素直だ。
私の提案を信じて、それから、アーノルド様に会う時は、必ず、銀色の髪をきっちりまとめるようにしたみたい。
そして、学園祭の日。
ステージ上から、私の招待した席に、帽子をかぶったアンジェリンが来ているのがわかった。
アーノルド様は全く気付いていない。
私はタイミングを見計らって勝負にでた。
それは、アーノルド様に思いっきり近づいて、言葉をかけるだけのこと。
いつもは、アーノルド様に警戒されないよう距離をとっているけれど、今回は、仲睦まじく見せるために接近した。
これで、あの噂好きの女子たちは、いい感じにアンジェリンの耳に噂を流してくれるだろう。
突然、私が近づいたことに、少し驚いた様子のアーノルド様。
すぐに、一定の距離を保つため後ろにさがろうとした。
でも、そうはさせない。
今、私たちを見ているだろうアンジェリンに、私たちが親密な関係だと匂わせないといけない。
私はアーノルド様が私から離れる前に、アーノルド様の気をひく言葉をささやいた。
このことを聞けば、アーノルド様は気をとられて動けなくなるはずだから。
「秘密にするようお願いされていましたが、今日はアンジェリンさんが見にきています。アーノルド様の司会をされる様子が見たいのですって」
アーノルド様は、アンジェリンが来たことに一瞬困ったような顔をしたけれど、自分を見に来たと知ったせいか嬉しそうに微笑んだ。
気持ちがあふれだしたような笑顔が自分に向いていないことが悔しくて、黒いものが体中でかけめぐる。
「アンジェはどこにいるんだ?」
小声で、アーノルド様が聞いてきた。
アーノルド様は今にもステージをおりる勢いで、会場中をきょろきょろと目で探しはじめる。
「わかりません。でも、アンジェリンさんはアーノルド様の司会する姿を見にきたのですから、しっかり終わらせましょう。催しがおわったら、すぐに会えますよ」
と答えながら、私が用意した席に座るアンジェリンの様子を私はしっかりと見ていた。
帽子をかぶったアンジェリンは今は顔をふせている。
親し気な私たちの様子を見て、聞きたくもない噂を耳にしてショックをうけているんだろう。
すると、思ったとおり、いつもアンジェリンにはりついている侍女に支えられながら、アンジェリンが会場を後にするのが見えた。
計画は成功。
あとは、アンジェリンが身をひいたという知らせを待つだけ。
「アーノルド様、もう少しですからね」
私たちがいっしょになれる日は……。
私の言葉に、アーノルド様は納得したようにうなずいた。
「確かに、もう少しだ。あとふたり、だしものが終われば休憩にはいる。その間にアンジェを探しに行こう。アンジェが見てるなら、がんばらないとな。教えてくれてありがとう、メアリー嬢」
そう言って、アーノルド様が微笑み返してきた。
いつ見ても美しい笑顔に心がときめく。
もうすぐ、この笑顔も全部私のものになる。
そう思ったら、思わず、笑みがこぼれた。
※ 読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、いいね、エールもとても嬉しく、励まされております!!
一旦、闇深いメアリー視点のお話から、アーノルド視点のお話に移ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
私は18歳になり、あせりはじめた。
というのも、卒業まで、あと1年しかないから。
このまま卒業してしまったら、アーノルド様と会えなくなってしまう。
アーノルド様は生徒会長、私は書記になり、生徒会室で話すことも増えた。
相思相愛だという学園での噂もひろまっているのに、私とアーノルド様の距離は一向に変わっていない。
いまだに、アーノルド様が私に話すことといえば婚約者のアンジェリンのことばかり。
相変わらず、体の弱さでアーノルド様を縛り付けるアンジェリンのせいで、私になびいてこないアーノルド様。
計画では、生徒会で会う機会が増えた私たちは、お互いアンジェリンを心配して話をする間に、気がつけば、ひかれあっていた。
妹のようなアンジェリンではなく、私との真実の愛にめざめたアーノルド様は悩みながらも、自分の心に嘘はつけないと婚約解消を申し出る。
私は泣きながら、アーノルド様を愛してしまったことをアンジェリンに謝る。
アンジェリンは、大好きなメアリー姉さまならと身をひき、お人よしのあの子は私たちを祝福する。
これが私の考えた筋書だけれど、全然上手くいかない。
チャンスは学園にいる間だけなのに……。
そんな時、学園祭で生徒会が催しものを取り仕切ることが決まった。
司会はアーノルド様。
私は勝負にでることにした。
アンジェリンを学園に招く。
心配症なアーノルド様はアンジェリンが学園に来ることを反対するだろうし、もし来たら、司会は放棄してアンジェリンに付き添うことは容易に想像できる。
でも、それだと意味がないのよね。
だから、こっそりとアンジェリンを招待することにした。
噂好きの女子たちに囲まれた特等席を用意して。
学園でひろまった噂を聞けば、鈍いアンジェリンも自分がアーノルド様にとって、ただの政略でしかない婚約者だと思い知るだろう。
そうすれば、あの子の性格なら身をひくはずだから。
ああ、そうだわ。
帽子をかぶってくるように言わないと。
だって、アンジェリンのあの銀色の髪は目立つから、アーノルド様が気づくかもしれない。
アンジェリの銀色の髪を思い浮かべると、嫌な思いがよみがえってきた。
アーノルド様の気をひくため、アンジェリンの髪色を私がほめたときだった。
「アンジェのあの銀色の髪、月の色みたいできれいで、何度見てもはっとするんだ」
アーノルド様が恥ずかしそうに、そう言った。
悔しかった。
だから、私はアンジェリンにさりげなく提案したのよね。
大人っぽくなりたいと言ったアンジェリンに髪の毛をきっちりまとめることを。
だって、アーノルド様がはっとするような髪なんて目障りだもの。
体の弱さだけじゃなく、この国にない髪色で、アーノルド様の気を引くアンジェリンが本当にうとましいと思ったわ。
真綿にくるまれて育ったアンジェリンは馬鹿みたいに素直だ。
私の提案を信じて、それから、アーノルド様に会う時は、必ず、銀色の髪をきっちりまとめるようにしたみたい。
そして、学園祭の日。
ステージ上から、私の招待した席に、帽子をかぶったアンジェリンが来ているのがわかった。
アーノルド様は全く気付いていない。
私はタイミングを見計らって勝負にでた。
それは、アーノルド様に思いっきり近づいて、言葉をかけるだけのこと。
いつもは、アーノルド様に警戒されないよう距離をとっているけれど、今回は、仲睦まじく見せるために接近した。
これで、あの噂好きの女子たちは、いい感じにアンジェリンの耳に噂を流してくれるだろう。
突然、私が近づいたことに、少し驚いた様子のアーノルド様。
すぐに、一定の距離を保つため後ろにさがろうとした。
でも、そうはさせない。
今、私たちを見ているだろうアンジェリンに、私たちが親密な関係だと匂わせないといけない。
私はアーノルド様が私から離れる前に、アーノルド様の気をひく言葉をささやいた。
このことを聞けば、アーノルド様は気をとられて動けなくなるはずだから。
「秘密にするようお願いされていましたが、今日はアンジェリンさんが見にきています。アーノルド様の司会をされる様子が見たいのですって」
アーノルド様は、アンジェリンが来たことに一瞬困ったような顔をしたけれど、自分を見に来たと知ったせいか嬉しそうに微笑んだ。
気持ちがあふれだしたような笑顔が自分に向いていないことが悔しくて、黒いものが体中でかけめぐる。
「アンジェはどこにいるんだ?」
小声で、アーノルド様が聞いてきた。
アーノルド様は今にもステージをおりる勢いで、会場中をきょろきょろと目で探しはじめる。
「わかりません。でも、アンジェリンさんはアーノルド様の司会する姿を見にきたのですから、しっかり終わらせましょう。催しがおわったら、すぐに会えますよ」
と答えながら、私が用意した席に座るアンジェリンの様子を私はしっかりと見ていた。
帽子をかぶったアンジェリンは今は顔をふせている。
親し気な私たちの様子を見て、聞きたくもない噂を耳にしてショックをうけているんだろう。
すると、思ったとおり、いつもアンジェリンにはりついている侍女に支えられながら、アンジェリンが会場を後にするのが見えた。
計画は成功。
あとは、アンジェリンが身をひいたという知らせを待つだけ。
「アーノルド様、もう少しですからね」
私たちがいっしょになれる日は……。
私の言葉に、アーノルド様は納得したようにうなずいた。
「確かに、もう少しだ。あとふたり、だしものが終われば休憩にはいる。その間にアンジェを探しに行こう。アンジェが見てるなら、がんばらないとな。教えてくれてありがとう、メアリー嬢」
そう言って、アーノルド様が微笑み返してきた。
いつ見ても美しい笑顔に心がときめく。
もうすぐ、この笑顔も全部私のものになる。
そう思ったら、思わず、笑みがこぼれた。
※ 読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
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どうぞよろしくお願いいたします。
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