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最高の未来が消えないように (メアリー視点)
驚いて顔をあげると、キングス公爵夫人が笑みを浮かべたまま、鋭い視線で射抜くように私を見ていた。
「メアリーさんったら、想像どおりのことをおっしゃるからおかしくって」
「想像どおり……?」
「ええ、そうよ。どうせなら、もっとひねってほしかったわ。それと、その泣きまね。お上手だけれど、おおげさね。もう少しおさえたほうが真実味があってよ?」
泣きまね? おおげさ?
もしかして、キングス公爵夫人は私を馬鹿にしているの……!?
怒りでかっとなったが、必死でおさえこむ。
私は美しく見える泣き顔で、悲しそうな声をしぼりだした。
「泣きまねだなんて心外です……。私はアンジェリンさんのことが本当に大事なんです! だから、アンジェリンさんの婚約者のアーノルド様とひかれあってしまったことが申し訳なくて……、苦しくて……」
「アンジェちゃんのことが本当に大事……? なんだか、あなたが言うと、とても軽々しく聞こえるわね。本当なのかしら?」
キングス公爵夫人がぞっとするほど美しい笑みを浮かべた。
怖すぎて、びくっとするが、ここでのまれたら負けだ。
私は悲壮感いっぱいの顔を作る。
「そんな……、私のアンジェリンさんへの気持ちが疑われるなんて、とても悲しいですわ……! 姉妹のいない私にとったら、アンジェリンさんは妹みたいで、とてもかわいくて、大切に思ってるんです!」
「でも、そんな妹みたいに大事なアンジェちゃんを悲しませる嘘をあなたはついたんでしょう? 噂が本当なんて、全くの嘘。……そうよね?」
キングス公爵夫人の口調が、私をおいつめるように一気に鋭くなった。
さっきから、なんなの!?
私が嘘をついていると決めつけて!
きっと、私がアンジェリンより爵位が低い家の娘だから、アーノルド様の相手として気に入らないのね!?
でも、ここでキングス公爵夫人に怒って言い返すわけにはいかない。
今、ここを我慢して切り抜ければ、私は晴れてアーノルド様と一緒になれる。
この機会、絶対に逃せない!
キングス公爵夫人への怒りを必死でおさえこみ、涙をながしながら言った。
「私は嘘なんてついていません……。信じてください! 噂は本当です。私とアーノルド様は思いあっております!」
「あら、おかしいわね? アーノルドは噂は本当じゃないと言っていたわよ」
「それは……アーノルド様が誠実な方だから……。アンジェリンさんが婚約者でいるときに、私にひかれたなんて言えなかったんだと思います。アーノルド様はお優しくて、アンジェリンさんの体をいつも心配していましたから。傷つけてしまえば、更に体が悪くなるかもしれないのに、本当の気持ちを簡単に口にだせるわけがありませんわ……。しかし、言葉にしなくても、私にはアーノルド様のお気持ちが痛いほど伝わってきました。私たちが思いあっていることに間違いありません!」
「……そう、わかったわ。あくまで、メアリーさんは噂は本当だと言い張るのね」
キングス公爵夫人は私に向かってそう言うと、くるりと向きをかえて、本棚に近づいていった。
「聞こえていたでしょう? 今度はあなたの番よ。出てきて、はっきりさせなさい」
誰もいない本棚の方向に向かって、何故か声をかけたキングス公爵夫人。
ギギギーっという音と共に、大きな本棚が回転しはじめた。
そして、現れたのは、顔色をなくしたアーノルド様。
「え……、アーノルド様!? 体調が悪くて今日はいらっしゃらないって、ドルトン公爵様がおっしゃってたのに……、なぜ……!? あ、いつからそこに……!?」
「メアリーさん。アーノルドは、ずっとあの隠し部屋で、今、あなたが話していたことを聞いていたのよ」
「は……? 隠し部屋……!? そんな、嘘でしょ? あ、もしかして……、最初から私をだましていたんですかっ!?」
気がつくと、仮面をかなぐりすてて、キングス公爵夫人にむかって叫んでいた。
キングス公爵夫人が艶やかに微笑んだ。
「ええ、そうね。あなたをだましたわ。卑怯な手段をとってごめんなさいね。私も、バカ息子が騙されただけなら、どうなろうが自業自得で放っておくところだったけれど、あろうことか天使みたいなアンジェちゃんを傷つけて、泣かせたでしょう? それは、いくらなんでも許せないわよね。だから、アーノルドにあなたが隠していたものを見せて、いかに自分が隙だらけで、人を見る目がなかったかをわからせたかったの。自分の愚かさに気づけば、アーノルドは底まで沈むでしょうけれど、それくらい反省してもらわないと。アンジェちゃんが許しても私は許せないの。……それで、アーノルド、あなたの言い分は?」
「メアリー嬢……。何故、噂が本当だと嘘をついた……? 君は言ってくれただろう? アンジェを守るために、アンジェに敵意が向かないために、噂をそのままにしておこうと……。それなのに、アンジェを心配する気持ちも全部嘘だったのか!?」
アーノルド様が怒りに満ちた声で聞いてきた。
「違います、アーノルド様! 私はアンジェリンさんが心配で、アンジェリンさんに敵意がむかないよう、噂をそのままにしておきましょうと言ったんです! 全部、アンジェリンさんのためなんです! 信じて、アーノルド様!」
「アンジェのため……!? それなら、その噂が本当だと、何故、嘘をついたっ!?」
「それは嘘じゃありません! だって、これから本当になることだから! アーノルド様だって、私のことを憎からず思ってくださってるはずです! だって、他の女子生徒たちとは距離を置くのに、私にだけは優しく接してくださっているもの!」
私は必死で言葉を重ねる。
なんとしても、今、アーノルド様を説得しないと。
もう少しでつかみかけていた最高の未来が消えてしまう!
※ 沢山の方に読んでいただき、とても嬉しく、感激しております!
本当にありがとうございます!
お気に入り登録、いいね、エールも本当にありがとうございます! 感謝でいっぱいです!
完結まであと数話になりました。どうぞよろしくお願いいたします!
「メアリーさんったら、想像どおりのことをおっしゃるからおかしくって」
「想像どおり……?」
「ええ、そうよ。どうせなら、もっとひねってほしかったわ。それと、その泣きまね。お上手だけれど、おおげさね。もう少しおさえたほうが真実味があってよ?」
泣きまね? おおげさ?
もしかして、キングス公爵夫人は私を馬鹿にしているの……!?
怒りでかっとなったが、必死でおさえこむ。
私は美しく見える泣き顔で、悲しそうな声をしぼりだした。
「泣きまねだなんて心外です……。私はアンジェリンさんのことが本当に大事なんです! だから、アンジェリンさんの婚約者のアーノルド様とひかれあってしまったことが申し訳なくて……、苦しくて……」
「アンジェちゃんのことが本当に大事……? なんだか、あなたが言うと、とても軽々しく聞こえるわね。本当なのかしら?」
キングス公爵夫人がぞっとするほど美しい笑みを浮かべた。
怖すぎて、びくっとするが、ここでのまれたら負けだ。
私は悲壮感いっぱいの顔を作る。
「そんな……、私のアンジェリンさんへの気持ちが疑われるなんて、とても悲しいですわ……! 姉妹のいない私にとったら、アンジェリンさんは妹みたいで、とてもかわいくて、大切に思ってるんです!」
「でも、そんな妹みたいに大事なアンジェちゃんを悲しませる嘘をあなたはついたんでしょう? 噂が本当なんて、全くの嘘。……そうよね?」
キングス公爵夫人の口調が、私をおいつめるように一気に鋭くなった。
さっきから、なんなの!?
私が嘘をついていると決めつけて!
きっと、私がアンジェリンより爵位が低い家の娘だから、アーノルド様の相手として気に入らないのね!?
でも、ここでキングス公爵夫人に怒って言い返すわけにはいかない。
今、ここを我慢して切り抜ければ、私は晴れてアーノルド様と一緒になれる。
この機会、絶対に逃せない!
キングス公爵夫人への怒りを必死でおさえこみ、涙をながしながら言った。
「私は嘘なんてついていません……。信じてください! 噂は本当です。私とアーノルド様は思いあっております!」
「あら、おかしいわね? アーノルドは噂は本当じゃないと言っていたわよ」
「それは……アーノルド様が誠実な方だから……。アンジェリンさんが婚約者でいるときに、私にひかれたなんて言えなかったんだと思います。アーノルド様はお優しくて、アンジェリンさんの体をいつも心配していましたから。傷つけてしまえば、更に体が悪くなるかもしれないのに、本当の気持ちを簡単に口にだせるわけがありませんわ……。しかし、言葉にしなくても、私にはアーノルド様のお気持ちが痛いほど伝わってきました。私たちが思いあっていることに間違いありません!」
「……そう、わかったわ。あくまで、メアリーさんは噂は本当だと言い張るのね」
キングス公爵夫人は私に向かってそう言うと、くるりと向きをかえて、本棚に近づいていった。
「聞こえていたでしょう? 今度はあなたの番よ。出てきて、はっきりさせなさい」
誰もいない本棚の方向に向かって、何故か声をかけたキングス公爵夫人。
ギギギーっという音と共に、大きな本棚が回転しはじめた。
そして、現れたのは、顔色をなくしたアーノルド様。
「え……、アーノルド様!? 体調が悪くて今日はいらっしゃらないって、ドルトン公爵様がおっしゃってたのに……、なぜ……!? あ、いつからそこに……!?」
「メアリーさん。アーノルドは、ずっとあの隠し部屋で、今、あなたが話していたことを聞いていたのよ」
「は……? 隠し部屋……!? そんな、嘘でしょ? あ、もしかして……、最初から私をだましていたんですかっ!?」
気がつくと、仮面をかなぐりすてて、キングス公爵夫人にむかって叫んでいた。
キングス公爵夫人が艶やかに微笑んだ。
「ええ、そうね。あなたをだましたわ。卑怯な手段をとってごめんなさいね。私も、バカ息子が騙されただけなら、どうなろうが自業自得で放っておくところだったけれど、あろうことか天使みたいなアンジェちゃんを傷つけて、泣かせたでしょう? それは、いくらなんでも許せないわよね。だから、アーノルドにあなたが隠していたものを見せて、いかに自分が隙だらけで、人を見る目がなかったかをわからせたかったの。自分の愚かさに気づけば、アーノルドは底まで沈むでしょうけれど、それくらい反省してもらわないと。アンジェちゃんが許しても私は許せないの。……それで、アーノルド、あなたの言い分は?」
「メアリー嬢……。何故、噂が本当だと嘘をついた……? 君は言ってくれただろう? アンジェを守るために、アンジェに敵意が向かないために、噂をそのままにしておこうと……。それなのに、アンジェを心配する気持ちも全部嘘だったのか!?」
アーノルド様が怒りに満ちた声で聞いてきた。
「違います、アーノルド様! 私はアンジェリンさんが心配で、アンジェリンさんに敵意がむかないよう、噂をそのままにしておきましょうと言ったんです! 全部、アンジェリンさんのためなんです! 信じて、アーノルド様!」
「アンジェのため……!? それなら、その噂が本当だと、何故、嘘をついたっ!?」
「それは嘘じゃありません! だって、これから本当になることだから! アーノルド様だって、私のことを憎からず思ってくださってるはずです! だって、他の女子生徒たちとは距離を置くのに、私にだけは優しく接してくださっているもの!」
私は必死で言葉を重ねる。
なんとしても、今、アーノルド様を説得しないと。
もう少しでつかみかけていた最高の未来が消えてしまう!
※ 沢山の方に読んでいただき、とても嬉しく、感激しております!
本当にありがとうございます!
お気に入り登録、いいね、エールも本当にありがとうございます! 感謝でいっぱいです!
完結まであと数話になりました。どうぞよろしくお願いいたします!
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