(本編完結)大好きな人たちのために私ができること

水無月あん

文字の大きさ
21 / 46

3年後

ベイリ国にきて3年がたち、私はロベルタ学園を卒業した。

本当にあっという間の3年間だった。
魔力について一生懸命勉強したけれど、魔力は人それぞれ違うし、学べば学ぶほど奥が深くて、もっともっと知りたくなってしまった。

だから、卒業後もレベッカ先生の研究所で手伝いながら、学ばせてもらうことにした私。
魔道具作りの名人に弟子入りすることになったラナは、私がベイリ国に残ることをものすごく喜んでくれた。

でも、その前に、一度インダル国に戻り、しばらく、ゆっくり過ごすつもり。
というのも、なんと元気になったお母様が一緒に帰れることになったから!

私が一緒に住みはじめてから、お母様の体調はすぐに安定してきた。
その変化に最初レベッカ先生は、「やっぱり、娘がそばにいると違うわね」と、気持ちの変化が体調に影響していると思っていたよう。

でも、お母様の体調が安定した日がずっと続くと、レベッカ先生の目の色が変わった。

「魔力病がこれほどおさまるなんて、さすがに、気のもちようとかでは説明がつかないわね。アンジェ、もしかして、何か特別なことでもした?」

目をきらきらさせて真剣に聞かれたけれど、特別なことなんて何もしていない。

あ、でも、ひとつだけあった。
私の魔力がこもった緑色に変化した魔石を、お母様のお部屋の花瓶のそばに置いたこと。

「なるほど……。親子だけあって、魔力の相性がいいのかもしれないわ。アンジェ、よかったら、うちの研究所でアンジェの魔力を調べてみてもいい?」

「是非、お願いします! もし、私の魔力がお母様の役にたてるなら嬉しいです!」

私はレベッカ先生の研究所に通い、レベッカ先生や助手の方々に調べてもらった。

そして、わかったのは、私とお母様の魔力の相性は抜群によく、一緒のお部屋にいるだけでもいい影響があるということ。
でも、それだけじゃなかった。

お母様の部屋に飾っていたお花は、魔力の暴走を抑える効果のある薬草ジュスカの花。
その花瓶のそばに私の魔力がこもった魔石をおいたことで、花の力を強めたみたい。

レベッカ先生は私に試してもらいたいことがあると言った。

お母様はずっと、魔力病の症状をおさえるためにいくつかの薬草を煎じて飲んでいる。
その薬草のそばに、しばらくの間、私の魔力がこもった魔石をおいてから、お母様に煎じて飲ませるようにすることだった。

早速ためしてみたら、効果は抜群で、寝込んでいたお母様が起き上がって生活できるようになっていった。

こうして、今やすっかり元気を取り戻したお母様。
元気になった途端、お父様のところに戻りたいと言い出し、いつもは冷静なお父様が感激して泣き出したのよね。

レベッカ先生のOKもでて、私はお母様と一緒にドルトン家の屋敷に戻ってきた。
出迎えてくれた屋敷中のみんながお母様の帰還に泣いている。

ひとりひとりに、嬉しそうに声をかけるお母様。
そんなお母様をまぶしそうに見ながら、ぴったりとはりついているお父様。

幸せな時に胸がいっぱいになる。
でも、同時に、寂しさがおそってきた。

この屋敷にはアーノルドとの思い出がいっぱいつまってるから。


留学中、いろんなことがあった。
大変だったことも、驚いたことも、嬉しいことも、楽しいことも山のようにあった。

そのたびに、私はアーノルドに話したいと思った。

3年間ずっと……。

でも、自分から手をはなしたんだから、会いたいなんて勝手なことを言えない。

それにもう、アーノルドは好きな人を見つけて、一緒にいるかもしれない。
そう思ったら、胸がずきずきと痛んだ。

3年たっても忘れられないなんて……。
私は自分の気持ちをもてあまし、小さく、ため息をついた。


 ◇ ◇ ◇


翌日、お母様が魔力病から回復した話を詳しく聞きたいからと、私の主治医をしてくれていたミルナ先生から連絡があった。

3年ぶりにミルナ先生に会えるのも嬉しくて、

「いつでも、どうぞ」
と答えたら、すぐにミルナ先生がやってきた。


「今日は助手もついてきているんだけれど、よかったら、一緒に話を聞いてもいいかしら?」
と、ミルナ先生。

「助手の方がいらっしゃるんですか?」

「ええ。魔力の病についても診られる私のもとで学ばせてほしいと3年前におしかけてきたの。私は患者さんを診ることで精一杯だから教えられないと何度も断ったのに、あきらめなくてね。結局、私のほうが根負けして、まずは、雑用を手伝ってもらいはじめたの。でも、彼は勉強熱心で、あっという間に私の仕事を見て覚えていくものだから、今では頼りになる助手よ」

ミルナ先生がそこまでほめる助手さんに興味をひかれた。

「是非、入ってもらってください」

私の言葉に、ミルナ先生が席をたち、外で待っているらしい助手さんを連れて戻ってきた。
部屋に入ってきたその人を見て、私は息をのんだ。



あなたにおすすめの小説

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】 エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。 私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~

矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。 隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。 周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。 ※設定はゆるいです。

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。 ※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡