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番外編
ある子息の初恋 8
夜会に間に合うよう、馬車でジリアン伯爵家までメアリーをむかえに行った。
ジリアン伯爵夫人に付き添われてでてきたメアリー。
夜会用に華やかに装った美しい姿に、目が釘付けになった。
「ジョイス様。娘をくれぐれもよろしくお願いしますね」
ジリアン伯爵夫人にそう言われたのだが、僕はメアリーを見つめたまま、目が離せない。
「ジョイス……? どうしたの?」
メアリーに声をかけられて、やっと我にかえった。
「ああ、ごめん……。メアリーがあまりにもきれいだったから……」
「まあ、嬉しいわ! 褒めてくれてありがとう。ジョイス、あなたもとても素敵よ」
そう言いながら艶やかに微笑むメアリーに、僕はまた見とれてしまった。
メアリーが夜会に行くことを反対していたジリアン伯爵夫人は心配そうな表情で、馬車に乗る僕たちを見送ってくれている。
そして、今日もまた、ジリアン伯爵を見ることはなかった。
この半年、ジリアン伯爵家には何度も来ている。
その都度、顔をだしてくれるのは、ジリアン伯爵夫人だけ。
ジリアン伯爵とは婚約が決まった時以降、会ってはいない。
メアリーは何も言わないが、僕と婚約したあとも、ジリアン伯爵はメアリーに冷たい態度のままなんだろう。
そんな父親のそばでいるのは、どれだけ苦しいだろう。
それなのに、愚痴もいわず、健気なメアリーを思うと胸がしめつけられる。
あと半年だ。
半年たてば、メアリーと結婚できる。
ジリアン伯爵のもとから、メアリーを連れ出せるんだ。
そう思いながら、ジリアン伯爵家をあとにした。
◇ ◇ ◇
到着した先は、とても大きく立派なお屋敷だった。
ロワルダ伯爵家だ。
最初、夜会に行きたいと言った僕に、父がすすめてくれたのが、この夜会だ。
主催のロワルダ伯爵は父の学生時代からの友人で仲がいい。
結局、メアリーの希望で、全部の夜会に出席することにしたが、この夜会の開催が一番早かった。
最初がこの夜会だということは、僕たちにとって運が良かったと思う。
僕自身もロワルダ伯爵とは何度か会ったことがあり、僕が人づきあいが苦手なことも知っている。
そんな僕が夜会に婚約者と出席するとなると驚くだろうからと、父はロワルダ伯爵に僕たちの事情を説明したようだ。
夜会にでることで、僕とメアリーが仲のいい婚約者だと知ってもらい、メアリーの過去の噂を消しさりたいという思いがあることも。
すると、ロワルダ伯爵は、初めて夜会に参加する僕を気づかってくれて、父とローラさんも一緒のほうが心強いだろうから是非4人で来て欲しいと言ってくれたらしい。
2名分の招待状だったのに、結局、4人で参加させてもらうことになった。
父とローラさんは、別の馬車で出発したので、とっくに着いているはずだ。
ロワルダ伯爵家の執事の人に案内されて屋敷内に入ると、きらびやかな招待客たちが夜会がはじまるのを雑談しながら待っている。
社交をしてこなかった僕には場違いすぎて、反射的に逃げたくなった。
が、隣にいるメアリーを見た瞬間、すっと冷静になれた。
僕はメアリーを守るためにここにいるんだ。
ひるんでいる場合じゃない。
メアリーが傷つかないよう、僕がしっかりしないと。
夜会にでるにあたって、ローラさんから教えてもらったことを思い出しながら、メアリーをエスコートする。
まずは、ロワルダ伯爵に挨拶だ。
すると、僕に気づいたロワルダ伯爵がにこやかに迎えてくれた。
「ジョイス君、よくきてくれたね!」
「ロワルダ伯爵様、今日はお招きいただきありがとうございます。僕の婚約者でジリアン伯爵家のメアリー嬢です」
僕がメアリーを紹介すると、メアリーは優雅なカーテシーをして、ロワルダ伯爵に挨拶をした。
「ほお、これは美しいご令嬢だ。ジョイス君に素敵な婚約者ができて、私も嬉しいよ。それに、メアリー嬢はとても優秀なんだってね。ジョイス君の父、ゴラン子爵も感心していたよ。……メアリー嬢、ジョイス君は不器用なところはあるが、とても真面目で一途な青年だ。よろしく頼むよ」
ロワルダ伯爵が笑顔でメアリー嬢に言った。
「……はい、もちろんです」
びくっとしたように返事をしたメアリー。
見ると、ロワルダ伯爵は笑顔なのに、メアリーを見る目がやけに鋭い。
もしかして、友達の父のために、メアリーを見定めようとしているのか?
メアリーを怖がらせるのはやめてくれ!
そう思った時には、体が勝手に動き、気がつくと、僕はメアリーの前にたっていた。
ロワルダ伯爵の視線からメアリーを隠すように。
一瞬、不思議そうに僕を見たロワルダ伯爵。
が、いきなり笑い出した。
ジリアン伯爵夫人に付き添われてでてきたメアリー。
夜会用に華やかに装った美しい姿に、目が釘付けになった。
「ジョイス様。娘をくれぐれもよろしくお願いしますね」
ジリアン伯爵夫人にそう言われたのだが、僕はメアリーを見つめたまま、目が離せない。
「ジョイス……? どうしたの?」
メアリーに声をかけられて、やっと我にかえった。
「ああ、ごめん……。メアリーがあまりにもきれいだったから……」
「まあ、嬉しいわ! 褒めてくれてありがとう。ジョイス、あなたもとても素敵よ」
そう言いながら艶やかに微笑むメアリーに、僕はまた見とれてしまった。
メアリーが夜会に行くことを反対していたジリアン伯爵夫人は心配そうな表情で、馬車に乗る僕たちを見送ってくれている。
そして、今日もまた、ジリアン伯爵を見ることはなかった。
この半年、ジリアン伯爵家には何度も来ている。
その都度、顔をだしてくれるのは、ジリアン伯爵夫人だけ。
ジリアン伯爵とは婚約が決まった時以降、会ってはいない。
メアリーは何も言わないが、僕と婚約したあとも、ジリアン伯爵はメアリーに冷たい態度のままなんだろう。
そんな父親のそばでいるのは、どれだけ苦しいだろう。
それなのに、愚痴もいわず、健気なメアリーを思うと胸がしめつけられる。
あと半年だ。
半年たてば、メアリーと結婚できる。
ジリアン伯爵のもとから、メアリーを連れ出せるんだ。
そう思いながら、ジリアン伯爵家をあとにした。
◇ ◇ ◇
到着した先は、とても大きく立派なお屋敷だった。
ロワルダ伯爵家だ。
最初、夜会に行きたいと言った僕に、父がすすめてくれたのが、この夜会だ。
主催のロワルダ伯爵は父の学生時代からの友人で仲がいい。
結局、メアリーの希望で、全部の夜会に出席することにしたが、この夜会の開催が一番早かった。
最初がこの夜会だということは、僕たちにとって運が良かったと思う。
僕自身もロワルダ伯爵とは何度か会ったことがあり、僕が人づきあいが苦手なことも知っている。
そんな僕が夜会に婚約者と出席するとなると驚くだろうからと、父はロワルダ伯爵に僕たちの事情を説明したようだ。
夜会にでることで、僕とメアリーが仲のいい婚約者だと知ってもらい、メアリーの過去の噂を消しさりたいという思いがあることも。
すると、ロワルダ伯爵は、初めて夜会に参加する僕を気づかってくれて、父とローラさんも一緒のほうが心強いだろうから是非4人で来て欲しいと言ってくれたらしい。
2名分の招待状だったのに、結局、4人で参加させてもらうことになった。
父とローラさんは、別の馬車で出発したので、とっくに着いているはずだ。
ロワルダ伯爵家の執事の人に案内されて屋敷内に入ると、きらびやかな招待客たちが夜会がはじまるのを雑談しながら待っている。
社交をしてこなかった僕には場違いすぎて、反射的に逃げたくなった。
が、隣にいるメアリーを見た瞬間、すっと冷静になれた。
僕はメアリーを守るためにここにいるんだ。
ひるんでいる場合じゃない。
メアリーが傷つかないよう、僕がしっかりしないと。
夜会にでるにあたって、ローラさんから教えてもらったことを思い出しながら、メアリーをエスコートする。
まずは、ロワルダ伯爵に挨拶だ。
すると、僕に気づいたロワルダ伯爵がにこやかに迎えてくれた。
「ジョイス君、よくきてくれたね!」
「ロワルダ伯爵様、今日はお招きいただきありがとうございます。僕の婚約者でジリアン伯爵家のメアリー嬢です」
僕がメアリーを紹介すると、メアリーは優雅なカーテシーをして、ロワルダ伯爵に挨拶をした。
「ほお、これは美しいご令嬢だ。ジョイス君に素敵な婚約者ができて、私も嬉しいよ。それに、メアリー嬢はとても優秀なんだってね。ジョイス君の父、ゴラン子爵も感心していたよ。……メアリー嬢、ジョイス君は不器用なところはあるが、とても真面目で一途な青年だ。よろしく頼むよ」
ロワルダ伯爵が笑顔でメアリー嬢に言った。
「……はい、もちろんです」
びくっとしたように返事をしたメアリー。
見ると、ロワルダ伯爵は笑顔なのに、メアリーを見る目がやけに鋭い。
もしかして、友達の父のために、メアリーを見定めようとしているのか?
メアリーを怖がらせるのはやめてくれ!
そう思った時には、体が勝手に動き、気がつくと、僕はメアリーの前にたっていた。
ロワルダ伯爵の視線からメアリーを隠すように。
一瞬、不思議そうに僕を見たロワルダ伯爵。
が、いきなり笑い出した。
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