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番外編
ある子息の初恋 14
王家からの僕宛の招待状に、婚約者としてメアリーの名を連ね、ふたりで出席をする旨を書いて、返事をだした。
そのあとに、父に報告をした。
当然、勝手なことをした僕に父は激怒した。
その口ぶりからは、家のことよりも、メアリーのことを心配してのようだった。
僕は、これ以上、父が心配しないように説明した。
今までふたりで沢山の夜会にでて、身をもって感じたことは、噂好きの貴族にしたら、メアリーのことは過去のことで、最早、興味をひく対象ではないこと。
それに、今回の夜会は、ほぼすべての貴族が招待されている。
沢山、招待客がいれば、なおさら、ぼくたちふたりが出席したとしても気にも留められないだろうことも。
「確かに、社交界では、今、ビルズ侯爵家の噂でもちきりだ。おまえの言うとおり、メアリー嬢のことは過去であって、注目する人間はほとんどいないかもしれない。
……だが、油断するな、ジョイス。キングス公爵家やドルトン公爵家の方々にメアリー嬢を絶対に近づけてはいけない。いくら過去のこととはいえ、メアリー嬢があのご家族に近づけば、噂を思い出す。そうなったら、過去の噂は、たちまち新しい噂になってしまう。社交の場に、二大公爵であるキングス公爵家やドルトン公爵家の方々がいれば、当然注目されるし、近づきたい者たちも群がっていくだろう。つまり、近寄れば、まわりから必要以上に見られているということを忘れるな。おまえはメアリー嬢から決して離れず、公爵家の方々に間違っても近づくことのないよう、しっかりと距離をとれ」
と、忠告してきた父。
もちろん、言われるまでもなく、そうするつもりだ。
それに、父には言わなかったけれど、僕にとったら、なによりも安心できる情報をひとつ掴んでいた。
それは、王家主催の夜会であっても、アーノルド様は出席しないだろうという情報だ。
このことを僕は、仕事で知り合った商人から聞いた。
その商人は平民だけれど、貴族に顔がひろく、いろいろな貴族の情報を持っている。
僕がキングス公爵家のことをさりげなく聞けば、僕の婚約者がメアリーだと知っている商人は僕の懸念を察したかのように、アーノルド様について知っていることを教えてくれた。
なんでも、アーノルド様は社交界から距離を置いていて、どんな夜会にも出席されないこと。
学園卒業後、アーノルド様は医師になる勉強をしていることも。
僕はそのことを聞いて、体中の力がぬけた。
過去の噂云々よりも、メアリーとアーノルド様が再会するかもしれないことが、僕にとったら、なにより恐れていたことだったから。
ほっとして気が緩んだ間に、ぬけめのない商人の巧みな勧誘にのってしまい、ゴラン家として年末にお世話になった人たちに贈る品を、その商人から全て買うはめになってしまったけれど……。
◇ ◇ ◇
そして、ついに、王家主催の夜会が開かれる日になった。
結局、メアリーの父、ジリアン伯爵様はメアリーが夜会にでることをずっと反対したままだ。
一度、僕が説得に行ったが、父に言ったことと同じことを伝えても納得してもらうことはできなかった。
それどころか、何度も僕に「メアリーを絶対に連れて行ってはいけない。公爵家の方々が来られるかもしれない場にメアリーを近づかせてはいけない」と強く言ってきた。
メアリーの言っていたとおり、ジリアン伯爵様はメアリーを全く信用していないし、過去の噂を真に受けているのだと思った。
自分の父親に信用されていないと語った時の悲しそうなメアリーの顔を思い出してしまい、猛烈に怒りがわいた。
「メアリーは次期ゴラン子爵夫人として、僕の妻として出席しますから、ジリアン伯爵様の許可は不要です。メアリーは僕が守りますから、心配していただかなくても結構です!」
怒りのままに、そう言い放って、帰ってきてしまった。
「ねえ、ジョイス。このままだったら、夜会のある日は、お父様に部屋に閉じ込められて、家からだしてもらえないかもしれないわ」
メアリーが不安げに訴えたから、僕はすぐに動いた。
ジリアン伯爵夫人に協力をあおぎ、メアリーには夜会に必要な一式をもって前日からうちにきてもらい、客室で泊まってもらった。
そのため、夜会当日は、ローラさんとうちのメイドたちによって準備を始めたメアリー。
準備が整うまで、メアリーの様子を見ることはできず、先に仕度が終わった僕はそわそわと待っていた。
そして、部屋からでてきたメアリーを見て、あまりの美しさに息が止まるかと思った。
そのあとに、父に報告をした。
当然、勝手なことをした僕に父は激怒した。
その口ぶりからは、家のことよりも、メアリーのことを心配してのようだった。
僕は、これ以上、父が心配しないように説明した。
今までふたりで沢山の夜会にでて、身をもって感じたことは、噂好きの貴族にしたら、メアリーのことは過去のことで、最早、興味をひく対象ではないこと。
それに、今回の夜会は、ほぼすべての貴族が招待されている。
沢山、招待客がいれば、なおさら、ぼくたちふたりが出席したとしても気にも留められないだろうことも。
「確かに、社交界では、今、ビルズ侯爵家の噂でもちきりだ。おまえの言うとおり、メアリー嬢のことは過去であって、注目する人間はほとんどいないかもしれない。
……だが、油断するな、ジョイス。キングス公爵家やドルトン公爵家の方々にメアリー嬢を絶対に近づけてはいけない。いくら過去のこととはいえ、メアリー嬢があのご家族に近づけば、噂を思い出す。そうなったら、過去の噂は、たちまち新しい噂になってしまう。社交の場に、二大公爵であるキングス公爵家やドルトン公爵家の方々がいれば、当然注目されるし、近づきたい者たちも群がっていくだろう。つまり、近寄れば、まわりから必要以上に見られているということを忘れるな。おまえはメアリー嬢から決して離れず、公爵家の方々に間違っても近づくことのないよう、しっかりと距離をとれ」
と、忠告してきた父。
もちろん、言われるまでもなく、そうするつもりだ。
それに、父には言わなかったけれど、僕にとったら、なによりも安心できる情報をひとつ掴んでいた。
それは、王家主催の夜会であっても、アーノルド様は出席しないだろうという情報だ。
このことを僕は、仕事で知り合った商人から聞いた。
その商人は平民だけれど、貴族に顔がひろく、いろいろな貴族の情報を持っている。
僕がキングス公爵家のことをさりげなく聞けば、僕の婚約者がメアリーだと知っている商人は僕の懸念を察したかのように、アーノルド様について知っていることを教えてくれた。
なんでも、アーノルド様は社交界から距離を置いていて、どんな夜会にも出席されないこと。
学園卒業後、アーノルド様は医師になる勉強をしていることも。
僕はそのことを聞いて、体中の力がぬけた。
過去の噂云々よりも、メアリーとアーノルド様が再会するかもしれないことが、僕にとったら、なにより恐れていたことだったから。
ほっとして気が緩んだ間に、ぬけめのない商人の巧みな勧誘にのってしまい、ゴラン家として年末にお世話になった人たちに贈る品を、その商人から全て買うはめになってしまったけれど……。
◇ ◇ ◇
そして、ついに、王家主催の夜会が開かれる日になった。
結局、メアリーの父、ジリアン伯爵様はメアリーが夜会にでることをずっと反対したままだ。
一度、僕が説得に行ったが、父に言ったことと同じことを伝えても納得してもらうことはできなかった。
それどころか、何度も僕に「メアリーを絶対に連れて行ってはいけない。公爵家の方々が来られるかもしれない場にメアリーを近づかせてはいけない」と強く言ってきた。
メアリーの言っていたとおり、ジリアン伯爵様はメアリーを全く信用していないし、過去の噂を真に受けているのだと思った。
自分の父親に信用されていないと語った時の悲しそうなメアリーの顔を思い出してしまい、猛烈に怒りがわいた。
「メアリーは次期ゴラン子爵夫人として、僕の妻として出席しますから、ジリアン伯爵様の許可は不要です。メアリーは僕が守りますから、心配していただかなくても結構です!」
怒りのままに、そう言い放って、帰ってきてしまった。
「ねえ、ジョイス。このままだったら、夜会のある日は、お父様に部屋に閉じ込められて、家からだしてもらえないかもしれないわ」
メアリーが不安げに訴えたから、僕はすぐに動いた。
ジリアン伯爵夫人に協力をあおぎ、メアリーには夜会に必要な一式をもって前日からうちにきてもらい、客室で泊まってもらった。
そのため、夜会当日は、ローラさんとうちのメイドたちによって準備を始めたメアリー。
準備が整うまで、メアリーの様子を見ることはできず、先に仕度が終わった僕はそわそわと待っていた。
そして、部屋からでてきたメアリーを見て、あまりの美しさに息が止まるかと思った。
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