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ちょっと待って
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「虹竜にお礼を言われた! 信じられない! もう、死んでもいい!」
感極まった声をあげるアンドレさん。
そんなアンドレさんを、ブリジットさんも若干うらやましそうに見ている。
が、アンドレさん、まだ死なないで……。
そんな感動の渦の中、テンションの下がりきった声が響く。
「じゃあ、ドラゴンも生き返ったみたいだし、もういいよね。アデル、帰ろう」
そんなことを言うのは、ただひとり。
ドラゴンに微塵も興味のない、ユーリ様だ。
「待て、虹の子よ。わたしの命を救ってくれたおまえに礼をしたい。……ん? なんだ、この匂いは?」
突然、虹竜が鼻を動かしながら、あたりをうかがいだした。
「どうしたの?」
気になって、虹竜に問いかけた。
「かすかにだが、わたしと同じ虹の竜の匂いがする」
「え、他にもいるんですか? 虹竜が!?」
アンドレさんが色めき立つ。
その隣で、
「もう一匹とは……。それは美味しい」
と、つぶやくジリムさん。
なにやら楽しい想像が始まったのか、虹竜を見ながら顔がゆるんでいる。
しかも、眼鏡の奥、クマのある目が異様にぎらついて、せっかくの美形が怖い感じに仕上がってきているわ……。
そんな欲にまみれたジリムさんを、ものすごい顔でにらみつけるアンドレさん。
ここに、また一組の天敵が生まれたわね……。
その時、鼻を動かしていた、虹竜の動きが止まった。
視線は岩。
あら?
あの黒いところ、岩陰かと思ったら、なにかいるわ?
……あっ? もしかして、ヨーカン!?
まるまって隠れているように見えるんだけど、何してるのかしら。
「どうしたの? ヨーカン!」
思わず、呼びかけた。
(かあさん!)
ヨーカンは叫んで、岩のそばから出ると、私の方へと飛んできた。
が、私の背後から出た何かに打たれ、2メートルぐらいの位置で、はじきとばされた。
私はすぐさま、ふりむいて、犯人に言った。
「ちょっとユーリ! ヨーカンになにするの!?」
「ぼくは何もしてないよ? 勝手に転んだんじゃない? バカな、ちびだよね?」
うっとりするほど美しい笑みをうかべて嘘をつく犯人。
そこで、虹竜の声があたりに響いた。
「そうか……。おまえも虹の仲間か。小さき竜よ」
ヨーカンが虹竜を見上げ、体をふるわせた。
「え? ヨーカンも虹竜なの!?」
私が驚いて、声をあげる。
「やっぱり、虹なのね! ほら、あの小さいドラゴン、アデルちゃんに言葉を発する時、虹色の光をだしてるって言ったでしょ!」
と、イーリンさんが興奮気味に言う。
「翼の裏も虹色だしね。今は真っ黒だけど、もしかしたら、大きくなっていくほどに、全身が虹色になっていったりもするんだろうか……?」
デュラン王子が、ブリジットさんのほうを向いて聞いた。
「色がかわることはあるかもしれません。が、正直、わかりません。虹竜は見たのも初めてですし…。ですが、虹竜と虹竜っぽい小さいドラゴンが目の前に現れるなんて奇跡がおきたのですから、一気に謎に包まれた生態が解明できるかもしれません! この機会を無駄にせず、研究に全力を注ぎます!!」
ブリジットさんが好奇心に満ちた目で、ドラゴンを見つめながら答えた。
ドラゴンを食い入るように見る目はぎらついていても、ジリムさんとはまるで正反対よね……。
虹竜がヨーカンに近づき、声をかけた。
「恐れずともよい。わたしたちは虹の仲間だ」
(なかま? 虹の……?)
「そう、今やほとんどいなくなってしまった虹の家族だ」
(かぞく? ぼくたちが……?)
ヨーカンが立ちあがり、虹竜を見上げた。
金色の瞳がうるうるしている。
今や同じ金色の瞳に変わった虹竜も、ヨーカンを優しく見つめかえす。
なんだか、感動してきたわ……!
そこで、ヨーカンが私のほうを向いて言った。
(じゃあ、かあさんも虹の家族だよね!)
虹竜も私の方をむいて、答えた。
「そうだ、虹の子も、わが虹の家族だ!」
え、ちょっと待って?
わたし、ドラゴンと家族なの!?
感極まった声をあげるアンドレさん。
そんなアンドレさんを、ブリジットさんも若干うらやましそうに見ている。
が、アンドレさん、まだ死なないで……。
そんな感動の渦の中、テンションの下がりきった声が響く。
「じゃあ、ドラゴンも生き返ったみたいだし、もういいよね。アデル、帰ろう」
そんなことを言うのは、ただひとり。
ドラゴンに微塵も興味のない、ユーリ様だ。
「待て、虹の子よ。わたしの命を救ってくれたおまえに礼をしたい。……ん? なんだ、この匂いは?」
突然、虹竜が鼻を動かしながら、あたりをうかがいだした。
「どうしたの?」
気になって、虹竜に問いかけた。
「かすかにだが、わたしと同じ虹の竜の匂いがする」
「え、他にもいるんですか? 虹竜が!?」
アンドレさんが色めき立つ。
その隣で、
「もう一匹とは……。それは美味しい」
と、つぶやくジリムさん。
なにやら楽しい想像が始まったのか、虹竜を見ながら顔がゆるんでいる。
しかも、眼鏡の奥、クマのある目が異様にぎらついて、せっかくの美形が怖い感じに仕上がってきているわ……。
そんな欲にまみれたジリムさんを、ものすごい顔でにらみつけるアンドレさん。
ここに、また一組の天敵が生まれたわね……。
その時、鼻を動かしていた、虹竜の動きが止まった。
視線は岩。
あら?
あの黒いところ、岩陰かと思ったら、なにかいるわ?
……あっ? もしかして、ヨーカン!?
まるまって隠れているように見えるんだけど、何してるのかしら。
「どうしたの? ヨーカン!」
思わず、呼びかけた。
(かあさん!)
ヨーカンは叫んで、岩のそばから出ると、私の方へと飛んできた。
が、私の背後から出た何かに打たれ、2メートルぐらいの位置で、はじきとばされた。
私はすぐさま、ふりむいて、犯人に言った。
「ちょっとユーリ! ヨーカンになにするの!?」
「ぼくは何もしてないよ? 勝手に転んだんじゃない? バカな、ちびだよね?」
うっとりするほど美しい笑みをうかべて嘘をつく犯人。
そこで、虹竜の声があたりに響いた。
「そうか……。おまえも虹の仲間か。小さき竜よ」
ヨーカンが虹竜を見上げ、体をふるわせた。
「え? ヨーカンも虹竜なの!?」
私が驚いて、声をあげる。
「やっぱり、虹なのね! ほら、あの小さいドラゴン、アデルちゃんに言葉を発する時、虹色の光をだしてるって言ったでしょ!」
と、イーリンさんが興奮気味に言う。
「翼の裏も虹色だしね。今は真っ黒だけど、もしかしたら、大きくなっていくほどに、全身が虹色になっていったりもするんだろうか……?」
デュラン王子が、ブリジットさんのほうを向いて聞いた。
「色がかわることはあるかもしれません。が、正直、わかりません。虹竜は見たのも初めてですし…。ですが、虹竜と虹竜っぽい小さいドラゴンが目の前に現れるなんて奇跡がおきたのですから、一気に謎に包まれた生態が解明できるかもしれません! この機会を無駄にせず、研究に全力を注ぎます!!」
ブリジットさんが好奇心に満ちた目で、ドラゴンを見つめながら答えた。
ドラゴンを食い入るように見る目はぎらついていても、ジリムさんとはまるで正反対よね……。
虹竜がヨーカンに近づき、声をかけた。
「恐れずともよい。わたしたちは虹の仲間だ」
(なかま? 虹の……?)
「そう、今やほとんどいなくなってしまった虹の家族だ」
(かぞく? ぼくたちが……?)
ヨーカンが立ちあがり、虹竜を見上げた。
金色の瞳がうるうるしている。
今や同じ金色の瞳に変わった虹竜も、ヨーカンを優しく見つめかえす。
なんだか、感動してきたわ……!
そこで、ヨーカンが私のほうを向いて言った。
(じゃあ、かあさんも虹の家族だよね!)
虹竜も私の方をむいて、答えた。
「そうだ、虹の子も、わが虹の家族だ!」
え、ちょっと待って?
わたし、ドラゴンと家族なの!?
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