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番外編
閑話 ウルスの休日 10
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「でも、そんな見る目のないウルスでも、部下だからね。仕事に支障がでても困るから、ウルスの前で、君の本性を暴いて、ウルス、これからは気を付けてね、で終わろうと思ったんだよ? それなら、君も恥をかいただけで終わりだったのにね…」
そこで、真顔になったフィリップ。黒い笑みを浮かべている時よりも、更に怖い…。
「でも、君が、ルイスに汚い目をむけたから話しは変わった。そりゃあ、ルイスみたいな真の美しさを見たら、目を奪われるのはあたりまえだよ。それだけなら、咎めることはない。でも、ルイスは、君みたいな下心満載の人間に近寄られて、どれだけ嫌な思いをしてきたと思う? ぼくは、そんな奴は絶対に許さない。ルイスと同じ空気をすってるだけでも嫌だ。絶対に排除する」
「兄上、わかったから、もういい。俺は大丈夫だ。アリス以外はどうでもいいから、兄上が気にすることはない」
ルイスがフィリップに言った。
「ルイスは優しいね。でも、こんなの野放しにしたらダメだよ? 一生涯、ルイスの目にふれないようにしておかないと。兄様は心配だ」
ルイスの言うことさえ、聞く気のないフィリップ。
つまり、もはや、とめられない…。
フィリップは、ロクサーヌ嬢に視線を向けた。
「ぼくね、こう見えて、仕事はできる王太子なんだよ。だから、問題のある貴族の弱みは全部おさえてるんだ。いつでも、つぶせるようにね…。それで、君の家のザクセン家なんだけど、まあ没落したし、王都にもいられなくなったから、どうでもいいと思ったけど、ぼく、用心深いんだ。だから、君の父上の後ろ暗いところはおさえてある。いつでも罪に問えるくらいにはね。
ああ、そうだ。没落したとはいえ、いまだ伯爵を名乗ってるけど、それ、簡単に、はく奪できるからね」
と、腹黒さがにじみでた笑みを浮かべる。
…確かに、フィリップは貴族を調べ上げ、鍵付きの金庫にその資料をしまっている。
俺も中身は見たことがないが、相当な数の資料があるはずだ。
恐ろしいことに、その膨大な資料をフィリップは全て頭に入れている。
今みたいに、即座にひきだしてこれるほどに。
はー、ほんと、仕事は恐ろしいくらいできるんだよな、フィリップは。そのやる気の出方が変なだけで…。
そして、ロクサーヌ嬢は、おびえた顔でフィリップを見始めた。
やっと、フィリップの恐ろしさに気づいたみたいだけど、遅い…。
「兄上、もういいって」
と、ルイスが再度とめる。
が、フィリップがルイスをしかと見て言った。
「あのね、ルイスが争いごとが嫌いな優しい子だってのはわかってる。でもね、こういう輩は、時間がたったら忘れて、また、ルイスに近づいてくるよ。それに、ルイスが自分を見てくれないと思ったら、その敵意は、アリス嬢に向くよ? ルイスは、それでもいいの?」
フィリップの言葉に、一気にルイスの目が変わった。
「いいわけないだろ! そんなことしてみろ。この世にいられなくしてやる」
と、ルイスが氷のような目で、ロクサーヌ嬢を見た。
それって、つまり、死…。すごい直球だな、ルイス…。
ルイスもアリス嬢がからむと、フィリップと同様のモードになる…。似た者兄弟だ。
「だから、ルイス。ここは兄様に任せてね。未来永劫、ルイスとアリス嬢に近づかないようにしとくから。
小さなノミだって、見つけたらつぶすでしょ?」
なんて例えだ…。
「ということで、ロクサーヌ嬢。君には、二つの選択肢から選ばせてあげる」
「二つ…?」
かすれた声で、ロクサーヌ嬢が言った。
「そう、二つもあるんだよ? ぼくって、優しいでしょ?」
そう言って微笑んだ顔は、優しさのかけらもない顔だ。
きっと、どっちも選びたくないような選択肢なんだろうな…。
「まず一つ目、君の父上のもろもろを全て明るみにだす。そうなったら、伯爵は、はく奪になるだろうね。それくらいの証拠はにぎってるよ。つまり、君は平民になる」
ロクサーヌ嬢の顔色が一気に悪くなる。
「そして、二つ目。一生涯、ルイスの視界に入らないこと。入る可能性のあるところに来ないこと。それだけ」
「…それって、どういう意味…?」
とまどったように聞く、ロクサーヌ嬢。
「すごーく簡単だよ。ルイスの視界に入るかもしれないところに来ないでってこと。つまり、この国から出て行ってってこと。ぼくとしたら、こっちが断然おすすめだよ。でも、ぼく、優しいから、君に選ばせてあげる。どっちがいい?」
そう言って、フィリップは微笑んだ。
…美味しいお菓子を紹介しているような口ぶりで、言ってることは、重すぎる2択だな?
そして、どっちも嫌だ。
そこで、真顔になったフィリップ。黒い笑みを浮かべている時よりも、更に怖い…。
「でも、君が、ルイスに汚い目をむけたから話しは変わった。そりゃあ、ルイスみたいな真の美しさを見たら、目を奪われるのはあたりまえだよ。それだけなら、咎めることはない。でも、ルイスは、君みたいな下心満載の人間に近寄られて、どれだけ嫌な思いをしてきたと思う? ぼくは、そんな奴は絶対に許さない。ルイスと同じ空気をすってるだけでも嫌だ。絶対に排除する」
「兄上、わかったから、もういい。俺は大丈夫だ。アリス以外はどうでもいいから、兄上が気にすることはない」
ルイスがフィリップに言った。
「ルイスは優しいね。でも、こんなの野放しにしたらダメだよ? 一生涯、ルイスの目にふれないようにしておかないと。兄様は心配だ」
ルイスの言うことさえ、聞く気のないフィリップ。
つまり、もはや、とめられない…。
フィリップは、ロクサーヌ嬢に視線を向けた。
「ぼくね、こう見えて、仕事はできる王太子なんだよ。だから、問題のある貴族の弱みは全部おさえてるんだ。いつでも、つぶせるようにね…。それで、君の家のザクセン家なんだけど、まあ没落したし、王都にもいられなくなったから、どうでもいいと思ったけど、ぼく、用心深いんだ。だから、君の父上の後ろ暗いところはおさえてある。いつでも罪に問えるくらいにはね。
ああ、そうだ。没落したとはいえ、いまだ伯爵を名乗ってるけど、それ、簡単に、はく奪できるからね」
と、腹黒さがにじみでた笑みを浮かべる。
…確かに、フィリップは貴族を調べ上げ、鍵付きの金庫にその資料をしまっている。
俺も中身は見たことがないが、相当な数の資料があるはずだ。
恐ろしいことに、その膨大な資料をフィリップは全て頭に入れている。
今みたいに、即座にひきだしてこれるほどに。
はー、ほんと、仕事は恐ろしいくらいできるんだよな、フィリップは。そのやる気の出方が変なだけで…。
そして、ロクサーヌ嬢は、おびえた顔でフィリップを見始めた。
やっと、フィリップの恐ろしさに気づいたみたいだけど、遅い…。
「兄上、もういいって」
と、ルイスが再度とめる。
が、フィリップがルイスをしかと見て言った。
「あのね、ルイスが争いごとが嫌いな優しい子だってのはわかってる。でもね、こういう輩は、時間がたったら忘れて、また、ルイスに近づいてくるよ。それに、ルイスが自分を見てくれないと思ったら、その敵意は、アリス嬢に向くよ? ルイスは、それでもいいの?」
フィリップの言葉に、一気にルイスの目が変わった。
「いいわけないだろ! そんなことしてみろ。この世にいられなくしてやる」
と、ルイスが氷のような目で、ロクサーヌ嬢を見た。
それって、つまり、死…。すごい直球だな、ルイス…。
ルイスもアリス嬢がからむと、フィリップと同様のモードになる…。似た者兄弟だ。
「だから、ルイス。ここは兄様に任せてね。未来永劫、ルイスとアリス嬢に近づかないようにしとくから。
小さなノミだって、見つけたらつぶすでしょ?」
なんて例えだ…。
「ということで、ロクサーヌ嬢。君には、二つの選択肢から選ばせてあげる」
「二つ…?」
かすれた声で、ロクサーヌ嬢が言った。
「そう、二つもあるんだよ? ぼくって、優しいでしょ?」
そう言って微笑んだ顔は、優しさのかけらもない顔だ。
きっと、どっちも選びたくないような選択肢なんだろうな…。
「まず一つ目、君の父上のもろもろを全て明るみにだす。そうなったら、伯爵は、はく奪になるだろうね。それくらいの証拠はにぎってるよ。つまり、君は平民になる」
ロクサーヌ嬢の顔色が一気に悪くなる。
「そして、二つ目。一生涯、ルイスの視界に入らないこと。入る可能性のあるところに来ないこと。それだけ」
「…それって、どういう意味…?」
とまどったように聞く、ロクサーヌ嬢。
「すごーく簡単だよ。ルイスの視界に入るかもしれないところに来ないでってこと。つまり、この国から出て行ってってこと。ぼくとしたら、こっちが断然おすすめだよ。でも、ぼく、優しいから、君に選ばせてあげる。どっちがいい?」
そう言って、フィリップは微笑んだ。
…美味しいお菓子を紹介しているような口ぶりで、言ってることは、重すぎる2択だな?
そして、どっちも嫌だ。
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