世界に色を付ける系アイドル始めました

ツヅラ

文字の大きさ
49 / 53
11話 世界に色を付ける魔法少女

02

しおりを挟む
≫【速報】池袋再び白墨に染まる! #拡散希望 #テロ #緊急事態 #避難して
 ≫ヤバ……マジで白黒じゃん
 ≫だから、ライブして挑発すんなって言ってたんだよ。無視した結果だろ。警察も魔法局も責任どう取るつもりだよ
 ≫白墨事件の時、実際いた人だけど、その時はもっと黒かったけど……加工じゃね?
  ≫フェイクニュースかよ(笑)
  ≫いやいや、他にも動画上がってるから。嘘乙
 ≫炎上目的でも、これは不謹慎だろ

 始めの投稿があってから、数分もしない内に爆発的に増えていく投稿の数。

「だァァァアアア!! 特定特定!! 小林氏、そっちよろしく! これ、どう考えても、もう抑え込めるレベルじゃ――あ、サイト落とせばいいのか。ktkrキタコレ。逆転の発想。天才か」

 再び白墨事件が起きるのではないかと、期待をしていた人も多かったのだろう。
 この数分で書いたとは思えない、記事などや画像までもが、爆発的に増える投稿の山に、根倉は再び、キーボードを叩き始めた。

 そして、ライブ会場でも、白黒に染まりつつある状況は、確認されていた。
 幸いなのは、光や魔法による演出が常に行われているライブ会場で、SNSを開いている人が少ないことだろう。おかげで、混乱はまだ起きていない。

「中止するべきよ!!」

 だが、スタッフや出演者には、すでに気が付いている人はおり、すぐにライブを中止するべきだという意見が上がっていた。

「そうですよ。被害がないとはいえ、ドローンや怪魔だって、明らかに増えてますし……その上、あの魔法使いまでいるなら、いくらなんでも、中止するべきです」
「し、しかし……」

 口々に中止を要求するスタッフに、ライブの責任者は、ちらりと熊猫の方へ目をやる。

「ドローンと怪魔については、ここ数分は動きがないわね。だから、現状、問題なのは、魔法の方……」

 機密事項だが、この魔法は灯里の魔法であるため、危険性はない。
 本来であれば、このままライブを続けることはできる。

 だが、それを伝えてしまえば、この魔法を使っている魔法使いのことを、警察やが認知していることを、公にすることになる。
 そうなれば、今の世論の状態では、白墨事件の犯人である灯里を逮捕しろと言い出しかねない。

「今のところ、なんも被害ないんだから、イージャン」
「ハァ!? この先、会場の人たちに被害があったらどうするの!? 避難しないとマズいでしょ!!」
「どこによ?」

 スパンコールの言葉に、中止するべきと叫んでいた魔法少女は、言葉を詰まらせ、警察へ目を向けた。

「はぁぁぁ……そこで他人に投げるのかよ。つか、逃げ場なんてないってわかってんじゃん。なのに、危ないからライブは中止! あとはお好きに! 中止したから、私たちは関係ありませーん! チョーウケる」

 笑っているのに、その魔法少女を見下すスパンコールに、熊猫も止めるように声をかける。

「事実だし、今すぐに絶対安全な避難場所なんて、用意できないっしょ?」

 警察も魔法管理局も、何かあった時のため、避難所として、池袋駅を準備している。
 だが、今すぐに、この会場にいる全員と、周囲の人々を避難させられるかと問われれば、難しいと言わざる得ない。

「なら、変に不安を煽るより、神のライブで盛り上がってた方がいーじゃん」
「いい加減にしてよ! アンタ、部外者なのに! 何の責任と取れないんだから、黙っててよ!」
「はァ~~??? ライブする覚悟があるから、残ってたんじゃないの? ビビるんだったら、他の奴らみたいに辞退すれば、よかったじゃん」

 そのスパンコールの言葉は、彼女に相当響いたらしく、顔を真っ赤にして、一歩前に足を進めるが、直後、スパンコールとの間に入る影。
 彩花だった。

「こんなところで喧嘩しないで! それに、私もライブを中止にするのは、反対。こ、の人のいうことは、全部が合ってないとはいえ、観客を混乱させるのは、良くないと思う」
「だからって、ライブする必要ある!?」
「じゃあ、私が繋ぐから! 他にも、状況が落ち着くまで、ステージに立ちたくない人の分は、私が出るから! それじゃダメ?」

 彩花の言葉に、眉を潜めたのはひとりだけではない。スタッフも含めて、半数ほどが眉を潜め、冷たい視線が彩花に突き刺さる。

 元々、ブリリアントカラーライブを中止にしたくない側として有名ではあったが、白墨事件と同様の魔法が起きている状況でさえ、ライブを強行しようとする姿に、さすがに表情を歪める者の方が多い。

「この魔法だって、何か起きてるわけじゃないでしょ? 下手に避難誘導した方が、危険じゃない?」
「起きてるじゃない! 色がないって、それだけでおかしいでしょ!」

 この魔法が、人を傷つけているわけではないと、口にする彩花の言葉は、すぐに否定される。

「同じ魔法が使われてるんだから、またひどい事件が起きるに決まってるじゃない!」
「ま、前の事件は、あくまで人工怪魔とか、銃撃とかで、怪我人が出ただけで、魔法は、誰も――」
「何言ってんの……? おかしいんじゃない?」

 違う。灯里の魔法は、誰も傷つけていない。
 むしろ、みんなを守ってくれてる。

 喉から溢れ出しそうになる言葉を口にしたところで、今の彼女たちには、届かない。
 それどころか、灯里が犯人だと決めつける。

 悪意なんてない。純粋に、そう信じて、決めつけている。

 だから、私はこのライブを成功させなくちゃいけない。
 灯里の魔法は、誰も傷つけていないと、この世界は、怖がる必要なんてないって、証明するために。

「…………」

 彩花の必死に言葉を聞きながら、ひかりは自分の周りを飛んでいた黒い影のような魚たちを思い出しては、魔法で星を作り出した。
 黄色くて、明るい星。

「魔法は、色がある……きらりちゃん。きらりちゃん……! これなら、できるかも……!!」

 ひかりの手元を見たきらりは、大きく目を輝かせ、何度も頷く。

「ママ! 携帯貸して!」
「え、なに……ライブは中止になるのよ?」
「ダメ! 灯里ちゃんと約束したもん!」

 きらりは、そう言いながら、SNSにひとつの投稿を行った。

「ねぇねぇ! 続けるなら、次、私たちが出たい! それで、お願いがあるんだけど」

 大人たちが、ライブの続行について話し合う中、きらりが手を上げ、割り込むと、その投稿画面を見せた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...