スキル『モデラー』で異世界プラモ無双!? プラモデル愛好家の高校生が異世界転移したら、持っていたスキルは戦闘と無関係なものたったひとつでした

大豆茶

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【一章】異世界でプラモデル

2.スキルを確認してみた

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 わめき散らしてはみたものの、そんなことで事態が好転するわけでもなし。
 俺はとりあえず再びスマホの画面に視線を落とした。

「『モデラー』、か。他にスキルも無いしこれでなんとかやっていくしかないんだろうなぁ。んで、様々なアイテムって具体的に何が召喚できるんだ? そもそもスキルってどうやって使うんだ」

 目を閉じて頭の中でスキルの使用を念じてみたが、無反応。てことは……あ、やっぱり。

 スマホをいじっているとスキル使用の画面が表示された。これをタップすれば使えるっぽい。どれどれ、レベル1で出せるアイテムはこの3つか。

【インフィニットニッパー】
 決して刃こぼれせず、破損することのないニッパー。
 また、刃の形状を任意に変更することが可能。

【ピンセット】
 普通のピンセット。細かい作業をするのに適している。

【ヤスリ】
 紙製、金属製などあらゆる種類のヤスリが召喚可能。

「うんうん、とりあえず最低限必要なものは揃ってるみたいだな。ニッパー以外は特殊な機能はなさそうだけど、ヤスリなんかは消耗品でよく使うから本当にありがたい」
 
 お、最後にスキルの音声認識機能の項目があるぞ。これをオンにしておけば口にするだけでアイテムを召喚出来るようになるってことかな。

 早速設定をオンにして、試してみる。

「インフィニットニッパー召喚!」

 俺がそう言ったのと同時に右手を淡い光が覆い、その光が収まるとニッパーが手に収まっていた。

「おお……これが俺のスキル! これで俺は異世界を生き抜いて――――いけるかーいっ! ニッパーでどう戦えと!?」

 魔法っぽい現象に感動したと言えばしたんだけど、結局このスキルで何が出来るのかが皆目見当が付かなかった。
 むしろ元の世界へ帰りたくなった。だってこのスキルプラモデル作るのにめちゃくちゃ便利なんだもん。全モデラー垂涎の能力だよこれ。
 
 自暴自棄になった俺は何を思ったか崖上に立ち、叫んだ。

「心配ないさーーーーっ!」

 否、心配しかない。

 でもそう叫ばずにはいられなかった。だってそうしないとメンタル保てそうになかったんだもの。
 いやでもこのあと能力が覚醒するパターンかもしれないし?
 そもそもこれが夢だったてことも十分ありえるし?

 なんとかなるさ。うん。

「――――あ」

 崖際に立っていたのが良くなかった。
 俺が足をかけていた岩がポロっと崩れ、バランスを崩した俺は抵抗する間もなく崖下へと自由落下を決め込む。

「しっ、死ぬうぅぅぅぅっ!!」

 どう考えても落ちて助かる高さではなかった。
 早くも俺の異世界生活は幕を閉じようとしていたのだが、運が良かったのだろう。
 俺の落下地点には馬車が通っていた。それも大きめの幌が張ってあるタイプの馬車だ。

 バッサーン!

 布を突き破り、馬車の中へと落下する俺。
 落下の衝撃は緩和されたが当然ノーダメとはいかず、めちゃくちゃ痛い。柔道の授業で体育教師のゴリラに一本背負い決められたときの数倍痛い。

「いててて……い、生きてる?」

 痛む体を起こすと、俺の様子を驚いた表情で見ている人物が二人。
 一人は老紳士。もう一人は金髪の女の子。そして二人は鎖でぐるぐる巻きにされていて、口には布を噛まされていた。

「あれ……? お邪魔でしたか?」

「んー! んー!」

 老紳士の方が俺に何か必死に訴えかけていたのだが、何を言ってるのか全然わからなかった。
 すると、馬車の外から声が聞こえた。

「おい、なんだ今のは!? 何か降ってきやがったぞ!」
「崖崩れか……? ドラゴンもいるし、ここはろくなとこじゃねぇな」
を運んでる途中だ、万が一のことを考えて一応中の様子を見てこい。怪しい奴がいたら殺して構わない」

 物騒な話が俺の耳に入る。

「人質……? あー……これってもしかしなくてもヤバい?」

 多分ここにいたら問答無用で殺される。ここで俺が生き延びるにはどうしたらいいんだ!?

 慌てふためく俺は、捕らわれていた女の子と目が合った。
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