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アイラブユーで言ってくれ
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「ダイチくーん♡ お散歩の準備出来てるよ♡♡」
ドアを開けるなり俺を出迎えた浬央さんは、カウンターで見たスーツ姿ではなかった。スタッフ用のシャワーを勝手に使ったんだろう。風呂上りの石鹸の匂いを振りまきながら、ふわふわの髪をしっとりと濡らした浬央さんは、季節に合わせた春物のお洒落なトレンチコートを身にまとっている。その下に隠されているのがなんなのかなんて、浬央さんの今日のお望みのプレイから考えれば簡単なことだ。
「期待に目を輝かせてるとこ悪いですけど、公園にはいきませんよ」
「は? なんで? ちょっとくらい冒険しようよ。こんな深夜誰もいないって!」
「冒険しないとは言ってません」
駄々をこねる浬央さんの手を取って、俺はスタッフルームから彼を連れ出した。
「ここ……非常口?」
「はい。外の階段を上っていくと、屋上に行けるんです。このビル、ボロいですけど、一応商業ビルなんで7階建てでそこそこあるし、屋上は関係者以外立ち入り禁止」
「ダイチくんは入れるの?」
「ここ叔父さんのビルなんで」
何気なく言えば、浬央さんは驚きで目を丸くする。
「え、すごい! 叔父さん資産家じゃん」
「はぁ……まあ、俺とは別に関係ないですけどね」
叔父さんのコネでバイトとして雇ってもらっているとは言え、別に叔父さんの事業を引き継ぐわけでもない。俺自身のモノだと胸を張って言えるものは何もないのが、ひどく恥ずかしい。
「あは。そりゃそうだ。ダイチくん自身はただのバイトだし」
「そうですよ。だから、その、俺にそういう期待はしないでくださいよ」
「そういうって何よ?」
浬央さんは、不思議そうに首をかしげる。
「資産的な意味ですよ」
言ってやれば、浬央さんは心底呆れたようなため息を吐いた。
「俺がそんなのダイチくんに求めてると思う? ご心配なく。俺は自分の食い扶持くらい余裕で稼いでんの。変なこと言って、自分の価値下げるんじゃないよ?」
俺の頭をぐしゃりと撫でまわした浬央さんは、俺を甘やかす優しい笑顔で俺の顔を覗き込む。俺は子供みたくコクリと頷くと、浬央さんの頬にチュっと軽く吸い付いた。
「なに、急に」
「いえ……浬央さんのこと、好きだなって思ったので」
「ふ、ふーん?」
エッチな方向には恐ろしく積極的な浬央さんだが、こういうごく普通の愛情表現には慣れていないのか、いつも驚くほど初心な反応を見せる。こういうのは、悪くない。今も、照れを隠す為なのかそっぽを向いているけれど、薄暗い場所でもわかるほど耳が真っ赤になっているのが可愛い。
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