2 / 6
第1話 異世界
しおりを挟む
ふんわりとした、弾力のある何かに体全体を受け止められたような感覚。
それと同時に鉄槌で頭を殴られているかのような激しい痛みに、俺はゆっくりと上体を起こし、痛む頭を押さえながらぼんやりとする意識の中で考える。
ベッドの上?
あれ? 何してたんだっけ、俺?
「……よう…………しゅさま」
俺は痛みに耐えながら、微かに聞こえた声の方に目をやる。
するとそこには少し青みがかったドレスに、いかにも高そうなティアラを頭にのせている、見た事もない絶世の美女が居た。
「大丈夫ですか? どこか痛みますか?」
「頭が、かなり……」
「頭……まさか適応が不十分!? ……やむを得ません。アラン、今すぐアレを!!」
「わかりました。それじゃ少し失礼して」
気だるそうな声と共に美女の後ろから突如男性らしき人影が現れたかと思うと、瞬時に俺の口を押さえ、俺の口に弾力性がある液体らしき何かを無理矢理流し込んできた。
俺はあまりにも唐突過ぎる出来事に拒むことが出来ず、咄嗟に口に入ったそれを飲み込んでしまう。
すると飲み込んだと同時に、その液体が体中を物凄い勢いで巡っていくのを感じとる事が出来た。
仮に例えるとすれば、体内に生物が入って物凄い速度で動いているような、そんな寒気のするような感覚として。
「いっ、たい、なにを……」
俺は体の違和感が少しでも緩和するよう自身の体を抱え込むようにしながら、俺の口に液体らしき何かを入れてきた男性と、それを命令したであろう女性を交互に見る。
「手荒くなってしまったのは誠に申し訳ありません。ですが事態は急を要しましたので」
美女はそう言って頭を下げた後、真剣な眼差しで俺の事を見つめる。
「それよりも頭の方はまだ痛むか?」
「もち……」
もちろんと言いかけて、俺は言葉に詰まる。
何故なら先程までの激痛が嘘のように消えているからだ。
それに体の中を巡っていた寒気のするような感覚もなくなっている。
「その表情は大丈夫って事でよさそうだな」
「一先ずは安心ですね」
美女はそう言って、安堵の表情で胸をなでおろした。
心底安心したかのような彼女の表情を見て、俺は疑問に思う。
彼女は何故、見ず知らずのはずの俺をそこまで心配してくれるのか、と。
それに、先程俺に何かを無理やり飲ませた男性。
見た目は少しチャラそうな雰囲気で気だるそうにしているのだが、腰に剣と思わしき物をたずさえており、明らかにヤバい人だ。
それにしても俺はどうして知らないベッドの上で、知らない二人に見守られながら目覚めたんだ?
全く状況が理解できない。
一体俺は意識を失う前何をしていたんだ?
確か教室に入って……その後……
そうだ!
クラスの皆が消えた中で、少年に会ったんだ!
という事はあの少年が言っていた通り、ここは異世界だという事か?
いや、そうだと断定するのはやめておくべきだろうな。
もし違った時、かなり恥ずかしい事になりかねない。
「あの、何か考え事をされているようですが、少しよろしいですか?」
「え? あ、ハイ。大丈夫ですよ」
美女は優しく微笑みながらも、どこか申し訳なさそうにそう言ってきた。
俺は考え事をしている最中に声をかけられたので少し驚いたものの、特に拒否する理由もなかったので大丈夫だと答える。
「ありがとうございます。ですがその前にまずは自己紹介を、私はリリアン・ザ・サヴィオス、気安くリリアンとお呼びください」
美女は優しく微笑みながらドレスの裾を持ち、軽く頭を下げながらそう言った。
その姿はまるで物語に出てくるお姫様のような、そんな雰囲気を感じさせる。
「俺はアラン・ルーク。呼び方はあまり気にしないから、好きなように呼んでくれていいぞ」
剣を腰にたずさえた男性は、気だるそうにあらぬ方向を見ながらそう言った。
そしてリリアン・ザ・サヴィオスと名乗った女性は、次は貴方ですよ? と言わんばかりに、微笑みながら俺の事を見つめる。
相手に名乗ってもらっておいて自分は名乗らない、何てのダメだよな。
「僕は緒方 章丞です」
「オガタショウスケ……ショウスケ様とお呼びしても構いませんか?」
「様はちょっと……普通に章丞でお願いできますか?」
リリアンと名乗った女性が確認するよに聞いてきたので、俺はそう答える。
すると彼女は少し悩んだ後、渋々といった様子で「わかりました」と言ってくれた。
流石に様付けで呼ばれるような人間じゃないからな。
「では軽く自己紹介が終わったところで本題へ。まずショウスケは現状をしっかりと理解されていますか?」
「……いいえ、正直全く」
「やはりそうですよね。では説明させていただきます」
俺は彼女の言葉に内心ホッとする。
何故なら正直に答えて、なら貴方は用済みです見たいことになって何も教えてもらえないという可能性があったからだ。
「まず理解していただきたいのは、ここが貴方が元居た世界とは別の世界だという事です」
彼女は、そんな荒唐無稽な事を当たり前のように真顔で言った。
本来ならば、「そんな事はあり得ない!」そう返すのが普通だろう。
だが俺は聞いてしまった、少年の話を……
見てしまった、少年の超常の所業を……
だからこそ俺は内心思ってしまう。
やっぱりそうだったのか、と。
「……あまり驚かれないのですね」
「いぇ、十分に驚いていますよ。ただ何と言うか、あまりに驚き過ぎて言葉が出ないというか……」
俺は彼女の言葉に対して、そううそぶく。
その時、アランと名乗った男性が鋭い視線を向けてきたが、俺は気づかないふりをする。
何故ならこの場で少年の事を正直に話すメリットよりも、デメリットの方が大きいと考えたからだ。
もしかしたら話すことで信用を得られるかもしれないし、逆に敵視される可能性だってある。要は情報不足のせいで、不確定要素が多すぎるという事だ。
にしてもこんな状況で冷静に考え、ましてやこうも平然と嘘をつける人間だったとは、自分でも驚きだ。
「そうでしたか。確かにこんな事を急に言われてはそんな風になってしまうかもしれませんね」
彼女はそう言うと、何かを思考し始めた。
俺の嘘を信じてもらえたかは置いておくとして、とりあえず話が先に進みそうで良かった。
俺は表情や態度に出さないように注意しながら、そう思い内心で息をつく。
「ショウスケ、すみませんが話をする場所を変えたいのですが動けますか? 私としては、ここがショウスケの元居た世界とは違う世界だと理解してもらうのに、もっと時間を要すると考えていたのですが、それが予想よりも遥かに早く理解して頂けたみたいなので」
「構いませんが、理由をお聞きしてもいいですか?」
「はい、もちろん。実はこれからお話しする内容には、あまり大声で話せないような事があると言えば理解していただけますか?」
なるほど。
一瞬嘘がバレていてそれを追求する為に場所を変えるのかとも思ったが、どうやら召喚した側も一枚岩ではないという事らしい。
だが今の言葉を全面的に信用するのは危険だ。
もし仮に嘘がバレていたとしても、それを追求する為に場所を変えるなどとは正直に言ってくれないだろう。
現状起こりうる最悪の状況を、頭の片隅にでもおきながら行動すべきだろうな。
とは言え、今の俺は彼女の提案に頷く以外の選択肢はないんだけれどな。
ここで断ってしまえば、逆に怪しまれてしまう。
迂闊に理由を聞いたのは失敗だったな。
俺はそう思いながら、無言で首を縦に振る。
「ありがとうございます」
彼女は微笑みながら俺に向かってそう言うと、アランと名乗った男性の方に目配せする。
アランと名乗った男性はそれを軽く確認すると、先に部屋を出た。
「では移動しますので、離れずについて来てください」
出来れば俺の考えている最悪の状況にはならず、更に話される内容もそれ程深刻なものではありませんように。
俺はそう心の中で祈りながら立ち上がり、彼女の後に続く。
それと同時に鉄槌で頭を殴られているかのような激しい痛みに、俺はゆっくりと上体を起こし、痛む頭を押さえながらぼんやりとする意識の中で考える。
ベッドの上?
あれ? 何してたんだっけ、俺?
「……よう…………しゅさま」
俺は痛みに耐えながら、微かに聞こえた声の方に目をやる。
するとそこには少し青みがかったドレスに、いかにも高そうなティアラを頭にのせている、見た事もない絶世の美女が居た。
「大丈夫ですか? どこか痛みますか?」
「頭が、かなり……」
「頭……まさか適応が不十分!? ……やむを得ません。アラン、今すぐアレを!!」
「わかりました。それじゃ少し失礼して」
気だるそうな声と共に美女の後ろから突如男性らしき人影が現れたかと思うと、瞬時に俺の口を押さえ、俺の口に弾力性がある液体らしき何かを無理矢理流し込んできた。
俺はあまりにも唐突過ぎる出来事に拒むことが出来ず、咄嗟に口に入ったそれを飲み込んでしまう。
すると飲み込んだと同時に、その液体が体中を物凄い勢いで巡っていくのを感じとる事が出来た。
仮に例えるとすれば、体内に生物が入って物凄い速度で動いているような、そんな寒気のするような感覚として。
「いっ、たい、なにを……」
俺は体の違和感が少しでも緩和するよう自身の体を抱え込むようにしながら、俺の口に液体らしき何かを入れてきた男性と、それを命令したであろう女性を交互に見る。
「手荒くなってしまったのは誠に申し訳ありません。ですが事態は急を要しましたので」
美女はそう言って頭を下げた後、真剣な眼差しで俺の事を見つめる。
「それよりも頭の方はまだ痛むか?」
「もち……」
もちろんと言いかけて、俺は言葉に詰まる。
何故なら先程までの激痛が嘘のように消えているからだ。
それに体の中を巡っていた寒気のするような感覚もなくなっている。
「その表情は大丈夫って事でよさそうだな」
「一先ずは安心ですね」
美女はそう言って、安堵の表情で胸をなでおろした。
心底安心したかのような彼女の表情を見て、俺は疑問に思う。
彼女は何故、見ず知らずのはずの俺をそこまで心配してくれるのか、と。
それに、先程俺に何かを無理やり飲ませた男性。
見た目は少しチャラそうな雰囲気で気だるそうにしているのだが、腰に剣と思わしき物をたずさえており、明らかにヤバい人だ。
それにしても俺はどうして知らないベッドの上で、知らない二人に見守られながら目覚めたんだ?
全く状況が理解できない。
一体俺は意識を失う前何をしていたんだ?
確か教室に入って……その後……
そうだ!
クラスの皆が消えた中で、少年に会ったんだ!
という事はあの少年が言っていた通り、ここは異世界だという事か?
いや、そうだと断定するのはやめておくべきだろうな。
もし違った時、かなり恥ずかしい事になりかねない。
「あの、何か考え事をされているようですが、少しよろしいですか?」
「え? あ、ハイ。大丈夫ですよ」
美女は優しく微笑みながらも、どこか申し訳なさそうにそう言ってきた。
俺は考え事をしている最中に声をかけられたので少し驚いたものの、特に拒否する理由もなかったので大丈夫だと答える。
「ありがとうございます。ですがその前にまずは自己紹介を、私はリリアン・ザ・サヴィオス、気安くリリアンとお呼びください」
美女は優しく微笑みながらドレスの裾を持ち、軽く頭を下げながらそう言った。
その姿はまるで物語に出てくるお姫様のような、そんな雰囲気を感じさせる。
「俺はアラン・ルーク。呼び方はあまり気にしないから、好きなように呼んでくれていいぞ」
剣を腰にたずさえた男性は、気だるそうにあらぬ方向を見ながらそう言った。
そしてリリアン・ザ・サヴィオスと名乗った女性は、次は貴方ですよ? と言わんばかりに、微笑みながら俺の事を見つめる。
相手に名乗ってもらっておいて自分は名乗らない、何てのダメだよな。
「僕は緒方 章丞です」
「オガタショウスケ……ショウスケ様とお呼びしても構いませんか?」
「様はちょっと……普通に章丞でお願いできますか?」
リリアンと名乗った女性が確認するよに聞いてきたので、俺はそう答える。
すると彼女は少し悩んだ後、渋々といった様子で「わかりました」と言ってくれた。
流石に様付けで呼ばれるような人間じゃないからな。
「では軽く自己紹介が終わったところで本題へ。まずショウスケは現状をしっかりと理解されていますか?」
「……いいえ、正直全く」
「やはりそうですよね。では説明させていただきます」
俺は彼女の言葉に内心ホッとする。
何故なら正直に答えて、なら貴方は用済みです見たいことになって何も教えてもらえないという可能性があったからだ。
「まず理解していただきたいのは、ここが貴方が元居た世界とは別の世界だという事です」
彼女は、そんな荒唐無稽な事を当たり前のように真顔で言った。
本来ならば、「そんな事はあり得ない!」そう返すのが普通だろう。
だが俺は聞いてしまった、少年の話を……
見てしまった、少年の超常の所業を……
だからこそ俺は内心思ってしまう。
やっぱりそうだったのか、と。
「……あまり驚かれないのですね」
「いぇ、十分に驚いていますよ。ただ何と言うか、あまりに驚き過ぎて言葉が出ないというか……」
俺は彼女の言葉に対して、そううそぶく。
その時、アランと名乗った男性が鋭い視線を向けてきたが、俺は気づかないふりをする。
何故ならこの場で少年の事を正直に話すメリットよりも、デメリットの方が大きいと考えたからだ。
もしかしたら話すことで信用を得られるかもしれないし、逆に敵視される可能性だってある。要は情報不足のせいで、不確定要素が多すぎるという事だ。
にしてもこんな状況で冷静に考え、ましてやこうも平然と嘘をつける人間だったとは、自分でも驚きだ。
「そうでしたか。確かにこんな事を急に言われてはそんな風になってしまうかもしれませんね」
彼女はそう言うと、何かを思考し始めた。
俺の嘘を信じてもらえたかは置いておくとして、とりあえず話が先に進みそうで良かった。
俺は表情や態度に出さないように注意しながら、そう思い内心で息をつく。
「ショウスケ、すみませんが話をする場所を変えたいのですが動けますか? 私としては、ここがショウスケの元居た世界とは違う世界だと理解してもらうのに、もっと時間を要すると考えていたのですが、それが予想よりも遥かに早く理解して頂けたみたいなので」
「構いませんが、理由をお聞きしてもいいですか?」
「はい、もちろん。実はこれからお話しする内容には、あまり大声で話せないような事があると言えば理解していただけますか?」
なるほど。
一瞬嘘がバレていてそれを追求する為に場所を変えるのかとも思ったが、どうやら召喚した側も一枚岩ではないという事らしい。
だが今の言葉を全面的に信用するのは危険だ。
もし仮に嘘がバレていたとしても、それを追求する為に場所を変えるなどとは正直に言ってくれないだろう。
現状起こりうる最悪の状況を、頭の片隅にでもおきながら行動すべきだろうな。
とは言え、今の俺は彼女の提案に頷く以外の選択肢はないんだけれどな。
ここで断ってしまえば、逆に怪しまれてしまう。
迂闊に理由を聞いたのは失敗だったな。
俺はそう思いながら、無言で首を縦に振る。
「ありがとうございます」
彼女は微笑みながら俺に向かってそう言うと、アランと名乗った男性の方に目配せする。
アランと名乗った男性はそれを軽く確認すると、先に部屋を出た。
「では移動しますので、離れずについて来てください」
出来れば俺の考えている最悪の状況にはならず、更に話される内容もそれ程深刻なものではありませんように。
俺はそう心の中で祈りながら立ち上がり、彼女の後に続く。
0
あなたにおすすめの小説
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる