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第9話 神器の自我
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契約の儀式から三日。
俺は今、一人で荒野に立っている。
いや、より正確にはこの場には、だな。
俺はそう思いながら、視線を離れた場所にやる。
そうすればそこには、鎧を着た騎士風の人間が大勢待機している。
彼らがこれ程距離をとりながら待機しているのは、勿論俺が理由だ。
俺が今からここで、つい先日契約した契約武具の性能を確認するからだ。
まだ絶対にそうだとは断言できないが、俺が契約したのは普通の武具ではなく、神器の可能性が非常に高いからな。
暴走した時の被害は計り知れない。
それを考慮しての荒野とあの大勢の騎士達、という訳だ。
リスクはあるが、それを死ぬときの言訳には出来ないからな。
「さて……始めるか」
俺はそう言いながら、右手を前に出す。
怖くないと言えば嘘になるが、それでも確認しなければならないんだ。
今後の為にも!
俺はそう自分に言い聞かせるように心で言いながら、大きく深呼吸をする。
「来い……神殺し」
俺がそう言ったと同時に右手の甲から光の粒子のようなものが出て、一瞬で剣の形となり、俺の右手に収まるように剣が出現した。
俺はそれと同時に自身の体を確認する。
出したがこれと言った変化はない。
体が乗っ取られている様子は全くないな。
俺はそう確認すると、ホッと息を吐いた。
だが逆に騎士達の方は空気がピリついて居るのが、かなり離れているのにわかる。
騎士達からしてみれば、暴走する危険性が上がったのだ。
警戒度が増すのが当たり前だろう。
だが騎士達に気を遣ってここで止めるわけにはいかない。
自分の為にも、周りに居る人達の為にも。
「とりあえずまずは確認だ」
コイツが本当に神器かどうかのな……
俺はそう思いながら目を瞑り、右手に握った剣に意識を集中する。
……
…………
………………
俺がゆっくりと目を開けると、そこは先程まで立っていた荒野ではなく、一面真っ白な空間だった。
この空間には既視感がある。
だが転生の時に居た空間と違う事は、頭が理解している。
そしてこの空間に来たという事は、俺が契約した武具は神器で間違いないという事だ。
契約武具に意思がある。
それは転生する時に聞いていた。
だが神器に関しては別だ。
一切それに関しては聞いていない。
なので全てこの世界に転生してから調べた情報になる。
その結果わかったのは……神器は他の契約武具と違い、自我がある……という事だ。
ただ自身を扱うのに相応しいか機械的に判断する意思がある契約武具と、自身を扱うに値するか考え判断する自我がある神器。
どちらの方が扱いが難しいかなど、言うまでもないだろう。
通常の契約武具はその武具が設けている何らかの基準を一度クリアすれば、今後精神が乗っ取られる心配は無くなる。
だが神器は違う。
神器に自信を扱う人間に課す試練のようなものはない。
力を貸しても良いと思ってくれるかどうか?
ただそれだけ……
ただ死ぬまで力を貸しても良いと思われ続けなければならないというだけの話だ。
しかしそれは言わば、一生精神が乗っ取られる危険性が付きまとうという事。
だが勿論、それに見合うだけの強力な力を神器は秘めている。
そしてここは、そんな神器と対話する為の場所。
神器に精神を集中し、自身の精神を神器内に送り込むことによってこの場に来ることが出来る。
とは言えそう本に書いてあっただけで、まさか本当にできるなんて思ってなかったがな。
にしても変だな?
契約した神器に自身の精神を送り込むと、必ず神器の自我と対話できるはずなんだが……全くその気配がない。
何かやり方間違えてたか?
「…………仕方……ですね……今は私が対応しましょう。……いずれは……ね」
俺がそう考えていると、何やら遠くで声が聞こえた気がした。
俺は何気なく声がした方に視線をやる。
しかしそこには誰もおらず、居た形跡もない。
「気のせいか?」
「大変お待たせ致しました」
俺がそうつぶやいたと同時に、俺の後ろからそんな声が聞こえてきた。
俺は驚きながらも、すぐさま後ろを振り返る。
するとそこには、燕尾服を来た男性が優しい笑みを浮かべながら立っていた。
「……」
「いかがなさいました?」
「あ! いや、何て言うか……あまりにも、普通の人間みたいだなって……」
俺は思わず、思った事そのまま口に出してしまった。
そしてそう言ったと同時に、俺は言った事を後悔した。
今のは相手からしたらかなり不快なんじゃないか? という事を言った後に思い至ったからだ。
「すみません!! なんと言うか、余りにも驚き過ぎていたというか……」
「いぇ、構いませんよ。私は特に気にしてませんから。それに貴方は一応私の主という事になりましたから」
俺はその言葉に、ホッと胸をなでおろす。
正直ここで嫌われてしまったら、即アウト。
精神をのっとられてしまう可能性が飛躍的に上がってしまう。
「それで? ここまで来られたのには理由があるんですよね? 私が伺いますよ」
「……では単刀直入にお願いします。私に力を貸してくれませんか?」
「力、というのはこの神器の力という事ですよね?」
「はい」
俺の言葉に、男性はあらぬ方向を見ながら考えるそぶりを見せる。
そして不意に笑みを浮かべた。
「構いませんよ」
「本当ですか!?」
「はい。ですがそれは限定的でよければの話です」
「と、言うと?」
俺がそう問いかけると、男性は真剣な表情へと変わった。
「流石にこれだけで貴方に全ての力の使用を認める事は出来ません。ですが力の一部であれば、今すぐにでも可能にして差し上げます、という話です」
今の話は十分に理解できる。
いや、それどころかかなり譲歩してくれているだろう。
何せ今少し話しただけで、力の一部を使えるようにしてくれると言っているのだ。
信用できるかも、あまつさえどんな人間かもわからないのに、だ。
勿論これは試験的にやるだけで、俺が不釣り合いだと判断されれば即力は使えなくなり、更には死の危機に陥るだろう事は考えられる。
だがそれでも、使えるのと使えないのとでは雲泥の差だ。
「どうしますか?」
「それで構いません、お願いします」
「わかりました」
男性はそう言うと目を閉じ、小声で何かをつぶやき始めた。
そして直後、俺の体の周囲に光の粒子が漂い始めた。
俺は驚きながらその光の粒子を眺めていると、その粒子が突然俺の右手に収束し始めた。
それらは物凄い速度で収束し、瞬く間に全てが俺の体の中に入っていた。
これと言った痛みや体に変化はなく、ただただ温かい何かが右手から入ってくるような感覚を感じるだけだった。
これは契約の儀式の時と同じような感覚だ。
「これで貴方はこの神器の力の一部である、水を操る能力を使えるようになりました」
「水を、操る? ですか?」
「はい。ですが勿論、神器を出している間だけです。神器が出ていないときはその能力は使えませんので悪しからず」
「いぇ、そんなの全然かまいません!」
俺は男性の言葉に、即座にそう返す。
色々試さないとどれ程のモノなのか詳細はわからないが、力の一部で水を操る能力というのは相当ヤバい気がする。
「それは良かったです。では私は少し疲れましたので、体に戻られることを進めさせていただきます」
「すみません、気づかず……ゆっくりと休んでください」
「はい、そうさせていただきます。それはまたいずれ」
男性はそう言って微笑むと、その場から姿を消した。
俺もそろそろ体に戻ろう。
この空間に居る間も、同じように外の時間は経過しているからな。
流石に長時間動かなければ騎士の人達が心配してしまうだろう。
俺は今、一人で荒野に立っている。
いや、より正確にはこの場には、だな。
俺はそう思いながら、視線を離れた場所にやる。
そうすればそこには、鎧を着た騎士風の人間が大勢待機している。
彼らがこれ程距離をとりながら待機しているのは、勿論俺が理由だ。
俺が今からここで、つい先日契約した契約武具の性能を確認するからだ。
まだ絶対にそうだとは断言できないが、俺が契約したのは普通の武具ではなく、神器の可能性が非常に高いからな。
暴走した時の被害は計り知れない。
それを考慮しての荒野とあの大勢の騎士達、という訳だ。
リスクはあるが、それを死ぬときの言訳には出来ないからな。
「さて……始めるか」
俺はそう言いながら、右手を前に出す。
怖くないと言えば嘘になるが、それでも確認しなければならないんだ。
今後の為にも!
俺はそう自分に言い聞かせるように心で言いながら、大きく深呼吸をする。
「来い……神殺し」
俺がそう言ったと同時に右手の甲から光の粒子のようなものが出て、一瞬で剣の形となり、俺の右手に収まるように剣が出現した。
俺はそれと同時に自身の体を確認する。
出したがこれと言った変化はない。
体が乗っ取られている様子は全くないな。
俺はそう確認すると、ホッと息を吐いた。
だが逆に騎士達の方は空気がピリついて居るのが、かなり離れているのにわかる。
騎士達からしてみれば、暴走する危険性が上がったのだ。
警戒度が増すのが当たり前だろう。
だが騎士達に気を遣ってここで止めるわけにはいかない。
自分の為にも、周りに居る人達の為にも。
「とりあえずまずは確認だ」
コイツが本当に神器かどうかのな……
俺はそう思いながら目を瞑り、右手に握った剣に意識を集中する。
……
…………
………………
俺がゆっくりと目を開けると、そこは先程まで立っていた荒野ではなく、一面真っ白な空間だった。
この空間には既視感がある。
だが転生の時に居た空間と違う事は、頭が理解している。
そしてこの空間に来たという事は、俺が契約した武具は神器で間違いないという事だ。
契約武具に意思がある。
それは転生する時に聞いていた。
だが神器に関しては別だ。
一切それに関しては聞いていない。
なので全てこの世界に転生してから調べた情報になる。
その結果わかったのは……神器は他の契約武具と違い、自我がある……という事だ。
ただ自身を扱うのに相応しいか機械的に判断する意思がある契約武具と、自身を扱うに値するか考え判断する自我がある神器。
どちらの方が扱いが難しいかなど、言うまでもないだろう。
通常の契約武具はその武具が設けている何らかの基準を一度クリアすれば、今後精神が乗っ取られる心配は無くなる。
だが神器は違う。
神器に自信を扱う人間に課す試練のようなものはない。
力を貸しても良いと思ってくれるかどうか?
ただそれだけ……
ただ死ぬまで力を貸しても良いと思われ続けなければならないというだけの話だ。
しかしそれは言わば、一生精神が乗っ取られる危険性が付きまとうという事。
だが勿論、それに見合うだけの強力な力を神器は秘めている。
そしてここは、そんな神器と対話する為の場所。
神器に精神を集中し、自身の精神を神器内に送り込むことによってこの場に来ることが出来る。
とは言えそう本に書いてあっただけで、まさか本当にできるなんて思ってなかったがな。
にしても変だな?
契約した神器に自身の精神を送り込むと、必ず神器の自我と対話できるはずなんだが……全くその気配がない。
何かやり方間違えてたか?
「…………仕方……ですね……今は私が対応しましょう。……いずれは……ね」
俺がそう考えていると、何やら遠くで声が聞こえた気がした。
俺は何気なく声がした方に視線をやる。
しかしそこには誰もおらず、居た形跡もない。
「気のせいか?」
「大変お待たせ致しました」
俺がそうつぶやいたと同時に、俺の後ろからそんな声が聞こえてきた。
俺は驚きながらも、すぐさま後ろを振り返る。
するとそこには、燕尾服を来た男性が優しい笑みを浮かべながら立っていた。
「……」
「いかがなさいました?」
「あ! いや、何て言うか……あまりにも、普通の人間みたいだなって……」
俺は思わず、思った事そのまま口に出してしまった。
そしてそう言ったと同時に、俺は言った事を後悔した。
今のは相手からしたらかなり不快なんじゃないか? という事を言った後に思い至ったからだ。
「すみません!! なんと言うか、余りにも驚き過ぎていたというか……」
「いぇ、構いませんよ。私は特に気にしてませんから。それに貴方は一応私の主という事になりましたから」
俺はその言葉に、ホッと胸をなでおろす。
正直ここで嫌われてしまったら、即アウト。
精神をのっとられてしまう可能性が飛躍的に上がってしまう。
「それで? ここまで来られたのには理由があるんですよね? 私が伺いますよ」
「……では単刀直入にお願いします。私に力を貸してくれませんか?」
「力、というのはこの神器の力という事ですよね?」
「はい」
俺の言葉に、男性はあらぬ方向を見ながら考えるそぶりを見せる。
そして不意に笑みを浮かべた。
「構いませんよ」
「本当ですか!?」
「はい。ですがそれは限定的でよければの話です」
「と、言うと?」
俺がそう問いかけると、男性は真剣な表情へと変わった。
「流石にこれだけで貴方に全ての力の使用を認める事は出来ません。ですが力の一部であれば、今すぐにでも可能にして差し上げます、という話です」
今の話は十分に理解できる。
いや、それどころかかなり譲歩してくれているだろう。
何せ今少し話しただけで、力の一部を使えるようにしてくれると言っているのだ。
信用できるかも、あまつさえどんな人間かもわからないのに、だ。
勿論これは試験的にやるだけで、俺が不釣り合いだと判断されれば即力は使えなくなり、更には死の危機に陥るだろう事は考えられる。
だがそれでも、使えるのと使えないのとでは雲泥の差だ。
「どうしますか?」
「それで構いません、お願いします」
「わかりました」
男性はそう言うと目を閉じ、小声で何かをつぶやき始めた。
そして直後、俺の体の周囲に光の粒子が漂い始めた。
俺は驚きながらその光の粒子を眺めていると、その粒子が突然俺の右手に収束し始めた。
それらは物凄い速度で収束し、瞬く間に全てが俺の体の中に入っていた。
これと言った痛みや体に変化はなく、ただただ温かい何かが右手から入ってくるような感覚を感じるだけだった。
これは契約の儀式の時と同じような感覚だ。
「これで貴方はこの神器の力の一部である、水を操る能力を使えるようになりました」
「水を、操る? ですか?」
「はい。ですが勿論、神器を出している間だけです。神器が出ていないときはその能力は使えませんので悪しからず」
「いぇ、そんなの全然かまいません!」
俺は男性の言葉に、即座にそう返す。
色々試さないとどれ程のモノなのか詳細はわからないが、力の一部で水を操る能力というのは相当ヤバい気がする。
「それは良かったです。では私は少し疲れましたので、体に戻られることを進めさせていただきます」
「すみません、気づかず……ゆっくりと休んでください」
「はい、そうさせていただきます。それはまたいずれ」
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