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序章 二つの世界で誓った復讐
2、冒険者達からも、オークからも、村民からも、
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誰もが認めるデブであるソータは、脂肪に取り柄なんてないと思っていた。
ただ重いだけで何の役にもたたない脂肪に価値を求めること自体が間違っている。そう思っていた。
自らの腹に、背中に、顎につく脂肪。これらのせいでソータの人生は苦労が絶えなかった。
腹から突き出した脂肪を揉みながら、ソータは過去を振り返る。
昔は冒険者なんかをやっていた。
ソータの住んでいるプラメト村は人口二〇〇人と非常に小さく、冒険者の登録や育成、依頼の仲介などをしている冒険者ギルドなんて勿論ない。そのため、少し離れたここよりも大きな街、ローマンで冒険者登録をした。
その街は小さいながらも人口が多く活気があり、プラメトを含む近隣の小さな村や町から多くの冒険者志望者が訪れる。
ソータもその中の一人だった。
しかしソータは、無駄に重い脂肪のせいで動きが鈍い。しかも厚くて暑い肉の鎧なんか纏っているせいで汗が滝のように流れる。そのせいで滑って剣は飛んでいくし足は縺れる。さらには額から湧き出した汗が目に入り、視界を塞ぐ。
まともに戦えない。
そんなソータがパーティーを組んで周りから嫌な顔をされるのは当然の帰結と言えるだろう。一度組んだ相手は二度と組んでくれないし、時間が経って噂が広まるほど、比例するように組める相手も減っていく。
すぐに誰とも組めなくなってしまった。
「何でお前そんな太ってんのに冒険者なんてやってんの?」
「もうやめちまえよ」
「はぁ? お前とパーティー組むとかあり得ねー」
そんな罵倒の嵐に巻き込まれながらも、最初のうちは何とかやっていけていた。希望を持ちながら。
一時期はデブでもやっていけるのだと本気で信じていた。
でも、ある出来事がソータを冒険者から遠ざけた。
――ブクブク肥えた豚の怪物・オークに仲間認定されたのだ。
「ブホッ、ブホホッ」
そう言いながらソータに向けたオークの顔は、清々しいほどの笑顔だった。これがトラウマにならない人はそうそういないだろう。ソータが心に深い傷を負ったのは当然のことだ。
ソータはそのショックから立ち直れずに、結局冒険者をやめた。オークの一件がなくても、早かれ遅かれ止めていただろうが……。
冒険者をやめてプラメト村に帰ってきてからも、地獄は続いた。
すなわち、村人達の嘲笑と罵倒。
「何で帰ってきてんの⁉」
「お前マジでいらないんだけど」
「この村に君の居場所はありませーん!」
冒険者を止め、村に帰ってきたときの村人達の反応がこれだ。
それでもソータは、めげずに働こうとした。
しかし、冒険者以外の仕事もできなかった。
「本気で雇って貰えると思ってんの?」
「悔しかったら痩せてから出直してこい!」
「豚は牧場に帰りなよ。あ、もしかして食肉として来てくれたの?」
ソータの丸々と太った体を見た人達は決まって俺を雇い入れてくれなかった。
そもそも、冒険者は最も就きやすい職業だ。それになれなかった時点で、他の仕事も無理だということは分かっていたことだ。そう頭の中で自分を慰めながら、先のことを考えた。
少なくとも店を経営している人達の中にソータの味方はいなかった。
農業など、自分でできることを始めるのにも金がいる。ソータにはそれが出せない。勿論あの村人達が金を貸してくれるはずもない……。
そして――あぁそうか、諦めれば良いんだ。
そこに思い至ったとき、一気に気持ちが軽くなった。
――そしてソータは働くことを諦めた。
ただ重いだけで何の役にもたたない脂肪に価値を求めること自体が間違っている。そう思っていた。
自らの腹に、背中に、顎につく脂肪。これらのせいでソータの人生は苦労が絶えなかった。
腹から突き出した脂肪を揉みながら、ソータは過去を振り返る。
昔は冒険者なんかをやっていた。
ソータの住んでいるプラメト村は人口二〇〇人と非常に小さく、冒険者の登録や育成、依頼の仲介などをしている冒険者ギルドなんて勿論ない。そのため、少し離れたここよりも大きな街、ローマンで冒険者登録をした。
その街は小さいながらも人口が多く活気があり、プラメトを含む近隣の小さな村や町から多くの冒険者志望者が訪れる。
ソータもその中の一人だった。
しかしソータは、無駄に重い脂肪のせいで動きが鈍い。しかも厚くて暑い肉の鎧なんか纏っているせいで汗が滝のように流れる。そのせいで滑って剣は飛んでいくし足は縺れる。さらには額から湧き出した汗が目に入り、視界を塞ぐ。
まともに戦えない。
そんなソータがパーティーを組んで周りから嫌な顔をされるのは当然の帰結と言えるだろう。一度組んだ相手は二度と組んでくれないし、時間が経って噂が広まるほど、比例するように組める相手も減っていく。
すぐに誰とも組めなくなってしまった。
「何でお前そんな太ってんのに冒険者なんてやってんの?」
「もうやめちまえよ」
「はぁ? お前とパーティー組むとかあり得ねー」
そんな罵倒の嵐に巻き込まれながらも、最初のうちは何とかやっていけていた。希望を持ちながら。
一時期はデブでもやっていけるのだと本気で信じていた。
でも、ある出来事がソータを冒険者から遠ざけた。
――ブクブク肥えた豚の怪物・オークに仲間認定されたのだ。
「ブホッ、ブホホッ」
そう言いながらソータに向けたオークの顔は、清々しいほどの笑顔だった。これがトラウマにならない人はそうそういないだろう。ソータが心に深い傷を負ったのは当然のことだ。
ソータはそのショックから立ち直れずに、結局冒険者をやめた。オークの一件がなくても、早かれ遅かれ止めていただろうが……。
冒険者をやめてプラメト村に帰ってきてからも、地獄は続いた。
すなわち、村人達の嘲笑と罵倒。
「何で帰ってきてんの⁉」
「お前マジでいらないんだけど」
「この村に君の居場所はありませーん!」
冒険者を止め、村に帰ってきたときの村人達の反応がこれだ。
それでもソータは、めげずに働こうとした。
しかし、冒険者以外の仕事もできなかった。
「本気で雇って貰えると思ってんの?」
「悔しかったら痩せてから出直してこい!」
「豚は牧場に帰りなよ。あ、もしかして食肉として来てくれたの?」
ソータの丸々と太った体を見た人達は決まって俺を雇い入れてくれなかった。
そもそも、冒険者は最も就きやすい職業だ。それになれなかった時点で、他の仕事も無理だということは分かっていたことだ。そう頭の中で自分を慰めながら、先のことを考えた。
少なくとも店を経営している人達の中にソータの味方はいなかった。
農業など、自分でできることを始めるのにも金がいる。ソータにはそれが出せない。勿論あの村人達が金を貸してくれるはずもない……。
そして――あぁそうか、諦めれば良いんだ。
そこに思い至ったとき、一気に気持ちが軽くなった。
――そしてソータは働くことを諦めた。
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