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第二章
砦へ
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ラウルたちの荷馬車は早朝の街を疾走していた。
「ベル!なんでもっと早く起こしてくれなかったんだ!」
手綱を持つラウルは、自分の肩に捕まって振り落とされないようにしているベルに向かって不満をぶつけた。
「だって、空が白むまでずーっと二人でお楽しみだったんだものっ」
「ちょっベル!起きてたの!?」
馬車の中からルパルナが顔を出して、両手でベルを捕まえる。
「あたりまえよぉ!あれだけ激しくして声あげてたら気が付かないわけないでしょ~」
「いじわるっ!!」
恥ずかしさのあまり、ベルを握るルパルナ
「ぐっぐるじぃぃぃ!!」
「あ、見えたぞ。あの一団だ!」
アルヴェラ領第11巡回警備隊は総勢30名。特に選りすぐりの精鋭部隊ではなく、アルヴェラ領の兵士が持ち回りでやっている。荷馬車3台と騎兵で成っている。
ラウルたちは少し遅れたが、無事合流して警備隊とともに野盗討伐に向かったのだった。
野盗の砦がある場所は、鬱蒼とした森の中だった。その奥に断崖があり、そこを上手く利用して砦を築いているそうだ。
───と、野営中にクローゼンが教えてくれた。
「相手は確認できるだけで30~40名いる。正面から攻撃をするのは得策ではないから、奇襲を仕掛ける。身軽なもの数名で、夜陰に乗じて物見櫓を攻撃。速やかに見張りを倒した後、門を開けて攻め込む」
「それを行える兵がいるのか?」
「4名準備できている」
「なら、私も入れて5名ね」
ルパルナが名乗りを上げる。
「これは頼もしい。よろしく」
「6名でしょ!」
ベルが言う。
「う・・・うむぅ」
返事に困って髭を扱くクローゼン隊長。
街から9日かけて荷馬車や馬などを置いていくキャンプの場所に到着した。見張りを5名残して残りの兵士とラウルたちは森へと入っていった。
「荷馬車が無くなったから、しばらく夜の営みはお預けね~」
「ベル、うるさいっ!」
「いらいいらいっ」
フェアリーの頬を器用につまむルパルナ。流石手先の器用さの祝福持ちである。
「おいおい、騒ぐなよ。もう相手のテリトリーの中だと思っていい」
深夜、偵察の兵が戻ってきた。
「この先に砦があります。鳴子の罠が張り巡らせてありましたが、外すことに成功しました。
櫓には2名の野盗が見張りとしております。門番はおりません。」
「ご苦労、皆聞いたな。罠は外したのでこのまま静かに進めば問題ない」
しばらくできるだけ音を立てずに進むと、森の切れ間に砦が姿を見せた。断崖を背に建てられており、櫓が一つ。周囲を加工された木の柱で囲んでいる。正面には門がある。
「では準備ができ次第奇襲を始める」
「ルパルナ、気を付けて」
「大丈夫!任せて」
ルパルナと4人の軽装の兵士は森の中に消えていった。
一人は彼らと逆方向に走り、陽動の火の手を上げることになっていた。
暫くして砦の左側に火の手が上がる。
櫓の見張りがそっちに気を取られた時に、縄をかけて壁を軽々登り櫓に取りつく4つの影があった。
彼らは素早く櫓も登ると、音もなく見張りを制圧した。
「鮮やかだな」
ラウルは感嘆した
「門番がいるだろうが、門は必ず開く。騒ぎが起こったら行くぞ」
櫓から影が3人降りていく。一人櫓に残って援護をするようだ。
そして少しして・・・騒ぎが起きた!
「行くぞ!」
ラウルたちは森から一気に駆けだした。
騒ぎは次第に大きくなっていくようだった。人が増えているのだろう。
やがて門が開き始めた。
「突入するぞ!」
兵士たちは一気になだれ込んだ。門の中では戦闘が始まっていた。ルパルナは燃え盛る2本の短剣を使い、舞うように戦っていた。
「ルパルナ!よくやった!」
「ラウル!」
「ヤブラムは奥の建物の中のようです!ここは任せてラウル殿は向かってください!」
ラウルは言われた通り、奥の建物めがけて駆けだした。
中に入った瞬間───
前方から2本の何か長いものが唸りをあげてラウルに向かってきた。
「ベル!なんでもっと早く起こしてくれなかったんだ!」
手綱を持つラウルは、自分の肩に捕まって振り落とされないようにしているベルに向かって不満をぶつけた。
「だって、空が白むまでずーっと二人でお楽しみだったんだものっ」
「ちょっベル!起きてたの!?」
馬車の中からルパルナが顔を出して、両手でベルを捕まえる。
「あたりまえよぉ!あれだけ激しくして声あげてたら気が付かないわけないでしょ~」
「いじわるっ!!」
恥ずかしさのあまり、ベルを握るルパルナ
「ぐっぐるじぃぃぃ!!」
「あ、見えたぞ。あの一団だ!」
アルヴェラ領第11巡回警備隊は総勢30名。特に選りすぐりの精鋭部隊ではなく、アルヴェラ領の兵士が持ち回りでやっている。荷馬車3台と騎兵で成っている。
ラウルたちは少し遅れたが、無事合流して警備隊とともに野盗討伐に向かったのだった。
野盗の砦がある場所は、鬱蒼とした森の中だった。その奥に断崖があり、そこを上手く利用して砦を築いているそうだ。
───と、野営中にクローゼンが教えてくれた。
「相手は確認できるだけで30~40名いる。正面から攻撃をするのは得策ではないから、奇襲を仕掛ける。身軽なもの数名で、夜陰に乗じて物見櫓を攻撃。速やかに見張りを倒した後、門を開けて攻め込む」
「それを行える兵がいるのか?」
「4名準備できている」
「なら、私も入れて5名ね」
ルパルナが名乗りを上げる。
「これは頼もしい。よろしく」
「6名でしょ!」
ベルが言う。
「う・・・うむぅ」
返事に困って髭を扱くクローゼン隊長。
街から9日かけて荷馬車や馬などを置いていくキャンプの場所に到着した。見張りを5名残して残りの兵士とラウルたちは森へと入っていった。
「荷馬車が無くなったから、しばらく夜の営みはお預けね~」
「ベル、うるさいっ!」
「いらいいらいっ」
フェアリーの頬を器用につまむルパルナ。流石手先の器用さの祝福持ちである。
「おいおい、騒ぐなよ。もう相手のテリトリーの中だと思っていい」
深夜、偵察の兵が戻ってきた。
「この先に砦があります。鳴子の罠が張り巡らせてありましたが、外すことに成功しました。
櫓には2名の野盗が見張りとしております。門番はおりません。」
「ご苦労、皆聞いたな。罠は外したのでこのまま静かに進めば問題ない」
しばらくできるだけ音を立てずに進むと、森の切れ間に砦が姿を見せた。断崖を背に建てられており、櫓が一つ。周囲を加工された木の柱で囲んでいる。正面には門がある。
「では準備ができ次第奇襲を始める」
「ルパルナ、気を付けて」
「大丈夫!任せて」
ルパルナと4人の軽装の兵士は森の中に消えていった。
一人は彼らと逆方向に走り、陽動の火の手を上げることになっていた。
暫くして砦の左側に火の手が上がる。
櫓の見張りがそっちに気を取られた時に、縄をかけて壁を軽々登り櫓に取りつく4つの影があった。
彼らは素早く櫓も登ると、音もなく見張りを制圧した。
「鮮やかだな」
ラウルは感嘆した
「門番がいるだろうが、門は必ず開く。騒ぎが起こったら行くぞ」
櫓から影が3人降りていく。一人櫓に残って援護をするようだ。
そして少しして・・・騒ぎが起きた!
「行くぞ!」
ラウルたちは森から一気に駆けだした。
騒ぎは次第に大きくなっていくようだった。人が増えているのだろう。
やがて門が開き始めた。
「突入するぞ!」
兵士たちは一気になだれ込んだ。門の中では戦闘が始まっていた。ルパルナは燃え盛る2本の短剣を使い、舞うように戦っていた。
「ルパルナ!よくやった!」
「ラウル!」
「ヤブラムは奥の建物の中のようです!ここは任せてラウル殿は向かってください!」
ラウルは言われた通り、奥の建物めがけて駆けだした。
中に入った瞬間───
前方から2本の何か長いものが唸りをあげてラウルに向かってきた。
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