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第五章
故郷、ラグリオン
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一行はラウルの故郷、アルベルド領に入っていた。
アルベルド伯はステラス伯と仲が良く、互いの領堺に砦などを築いてはいない。
そのため、いつの間にか故郷の地に足を踏み入れていた。
「この先3日かからないところに村がある。とりあえずそこで一旦休もう」
「うん、それがいいわね」
(家までの道を知らないのだから、慎重に情報を集めていかないとな。)
「ラウル、私の事気遣ってくれてありがとう・・・」
「あ、ああ。いいんだよルパルナ(君の為だけじゃないのが申し訳ない)」
村について早速ラウルは行動に移す。ルパルナとベルは宿の部屋に置いて荷解きを任せ、ここから一番近い街、アルベルド伯の邸宅の場所を酒場で尋ねる。
「街はここから5日程北に街道を通っていくとつくよ。ラグリオンってところだ。領主様はそこに住んでる。()はこのアルベルド領一番の街だ」
「ありがとう」
ラウルは酒場のマスターに情報料として金貨を幾枚か渡した。
村には予定通り一日だけ滞在し、教えてもらったラグリオンの街に何食わぬ顔で向かう。
ルパルナは知ってて当然と思っているので、そこは忘れずに振舞わなければならない。
複雑な心境から抜け出せないまま五日後、ついにラグリオンに到着した。
「ついた・・・」
「着いたわね」
「お腹すいたわ」
「お前そればかりだな」
「うーるーさーい」
「先に酒場にいくぞ」
「え?お家にいかないの?」
「ベルが腹減ったっていってるしな。俺も気が重いから少し寄り道していこう」
「そうね、賛成。私も気が重いっていうか緊張するー-っ」
酒場は迷わず辿り着いた。
そこで席を確保して、二人に注文を任せ、酒場のマスターに話を訊く。
「よう、ちょっと訊きたいんだが・・・」
「ん?おお、ラウルじゃないか!久しぶりだな。戻ったのか!」
(しまった!!ここは故郷だった!!領主の息子だし、顔が広いのもおかしくない)
「あ、ああ。あのー・・・何年ぶりだろうか」
「そうだなあ。お前が冒険者として旅に出た時からだから6年くらいか」
「じゃ、街もいろいろ変わったんじゃないか?」
「そうでもないさ。まあ、人は入ってきたり流れていったりで変わったな」
「そうか、最近噂になってる品物とか無いか?土産に持っていこうかと思ってな」
「あーそうだな。中央広場にパン屋があったろ。あそこが美味い菓子を出すようになったんだ。結構人気らしいぞ」
「そうか、ありがとう。食事終わったら行ってみるよ」
「ああ、それがいい。ところで・・・あれ、フェアリーだよな。珍しいな」
「ははは・・・じゃ、席に戻るよ。忙しいのに悪かった」
「いや、久しぶりだしゆっくりしてってくれ」
食事を軽く済ますと、酒場を出て中央広場に向かう。
パン屋の話をすると、二人は興味を持ったようで、行ってみようということになった。
パン屋は昼時のためか、思ったよりも賑わっていた。
「ルパルナ、ベル。悪いけど買って来てくれないか。個数は任せるよ」
「うん、行ってくるね。ベル、いくわよ」
「はぁい」
(この隙に屋敷の場所を調べないとな)
ラウルは通りすがった10歳位の少年に声を掛けて、屋敷の場所を教えてもらう。
そのお礼に銀貨を一枚握らせると、少年は喜び飛び跳ねて行ってしまった。
暫くすると、ルパルナとベルが戻ってくる。
「見て!お菓子かわいいの!ほら、花の形で色がついてるのよ!」
「甘さが上品でおいし~の」
「もう摘まんだな。二人とも。あれ?これって・・・」
ルパルナがラウルの口に一つ摘まんで入れてくれたその菓子は、どこか懐かしい味がした。
(ヨウタの頃・・・食べたことがある。確か・・・そう、『らくがん』とかいう名前だった。どうやって作ったかなんて調べるつもりはないが、懐かしい)
ラウルが和んだような表情を浮かべているのをみて、ルパルナとベルはうれしくなったのか、二人で笑いあっている。その様子が愛おしくて、少しだけほっこりして屋敷に向かったのだった。
アルベルド伯はステラス伯と仲が良く、互いの領堺に砦などを築いてはいない。
そのため、いつの間にか故郷の地に足を踏み入れていた。
「この先3日かからないところに村がある。とりあえずそこで一旦休もう」
「うん、それがいいわね」
(家までの道を知らないのだから、慎重に情報を集めていかないとな。)
「ラウル、私の事気遣ってくれてありがとう・・・」
「あ、ああ。いいんだよルパルナ(君の為だけじゃないのが申し訳ない)」
村について早速ラウルは行動に移す。ルパルナとベルは宿の部屋に置いて荷解きを任せ、ここから一番近い街、アルベルド伯の邸宅の場所を酒場で尋ねる。
「街はここから5日程北に街道を通っていくとつくよ。ラグリオンってところだ。領主様はそこに住んでる。()はこのアルベルド領一番の街だ」
「ありがとう」
ラウルは酒場のマスターに情報料として金貨を幾枚か渡した。
村には予定通り一日だけ滞在し、教えてもらったラグリオンの街に何食わぬ顔で向かう。
ルパルナは知ってて当然と思っているので、そこは忘れずに振舞わなければならない。
複雑な心境から抜け出せないまま五日後、ついにラグリオンに到着した。
「ついた・・・」
「着いたわね」
「お腹すいたわ」
「お前そればかりだな」
「うーるーさーい」
「先に酒場にいくぞ」
「え?お家にいかないの?」
「ベルが腹減ったっていってるしな。俺も気が重いから少し寄り道していこう」
「そうね、賛成。私も気が重いっていうか緊張するー-っ」
酒場は迷わず辿り着いた。
そこで席を確保して、二人に注文を任せ、酒場のマスターに話を訊く。
「よう、ちょっと訊きたいんだが・・・」
「ん?おお、ラウルじゃないか!久しぶりだな。戻ったのか!」
(しまった!!ここは故郷だった!!領主の息子だし、顔が広いのもおかしくない)
「あ、ああ。あのー・・・何年ぶりだろうか」
「そうだなあ。お前が冒険者として旅に出た時からだから6年くらいか」
「じゃ、街もいろいろ変わったんじゃないか?」
「そうでもないさ。まあ、人は入ってきたり流れていったりで変わったな」
「そうか、最近噂になってる品物とか無いか?土産に持っていこうかと思ってな」
「あーそうだな。中央広場にパン屋があったろ。あそこが美味い菓子を出すようになったんだ。結構人気らしいぞ」
「そうか、ありがとう。食事終わったら行ってみるよ」
「ああ、それがいい。ところで・・・あれ、フェアリーだよな。珍しいな」
「ははは・・・じゃ、席に戻るよ。忙しいのに悪かった」
「いや、久しぶりだしゆっくりしてってくれ」
食事を軽く済ますと、酒場を出て中央広場に向かう。
パン屋の話をすると、二人は興味を持ったようで、行ってみようということになった。
パン屋は昼時のためか、思ったよりも賑わっていた。
「ルパルナ、ベル。悪いけど買って来てくれないか。個数は任せるよ」
「うん、行ってくるね。ベル、いくわよ」
「はぁい」
(この隙に屋敷の場所を調べないとな)
ラウルは通りすがった10歳位の少年に声を掛けて、屋敷の場所を教えてもらう。
そのお礼に銀貨を一枚握らせると、少年は喜び飛び跳ねて行ってしまった。
暫くすると、ルパルナとベルが戻ってくる。
「見て!お菓子かわいいの!ほら、花の形で色がついてるのよ!」
「甘さが上品でおいし~の」
「もう摘まんだな。二人とも。あれ?これって・・・」
ルパルナがラウルの口に一つ摘まんで入れてくれたその菓子は、どこか懐かしい味がした。
(ヨウタの頃・・・食べたことがある。確か・・・そう、『らくがん』とかいう名前だった。どうやって作ったかなんて調べるつもりはないが、懐かしい)
ラウルが和んだような表情を浮かべているのをみて、ルパルナとベルはうれしくなったのか、二人で笑いあっている。その様子が愛おしくて、少しだけほっこりして屋敷に向かったのだった。
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