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第六章
王都ルヴァ―ツ
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王都に向かって荷馬車は進む。やがてアルベルド領を抜け、ジェマイエフ王家領に入った。流石に重要な土地ということで、街道には砦があり、そこを通って行かねばならなかったが、ラウルはこの地域では名前と顔の知られた貴族の御曹司であり、ギルド登録証を見せただけで特に何も言われず通された。
ただ、相変わらず兵士たちが珍しそうにベルを見ているのは何処も変わらない。
「そんなに私が可愛いのかしらね~」
「そうだな。可愛い可愛い」
「何かぞんざいなんだけど?」
「気のせいだろ」
「・・・あなた達面白いわね。いつもそんな感じで。本当に言い伝えの黒妖精の事って何だったのかって思うくらい」
「ふふっ油断しない方がいいわよ~」
「ん?何か言った?」
「何も言ってないわよ。風かしらね」
王都まではここから馬で4日程。荷馬車はそこまで早くないので5~6日はかかるようだった。
同じく王都に向かう馬車や荷馬車、早馬や徒歩の人々。逆に王都からこちらに向かってくる人々。
引切り無しというわけではないが、かなり往来が多い。
流石の南の大国ジェマイエフ王都の賑わいが街道からでもよく分かった。
「真っすぐアイシャを訪ねるのよね?」
「ああ、騎士団所属だから城に行けばすぐわかるだろう。ダメなら父上や兄上がもう着いているだろうし、追い返されることもあるまい」
「5~6日は野宿?」
「いや、途中に街があるようだ。そこを経由するから、ずっとではないよ」
そして6日後、一行はジェマイエフ王都ルヴァーツに到着した。巨大な外壁が街を取り囲んでいて、東西南北に門があるのは他の街と変わらない。しかし、その規模が桁違いだった。
「うわー・・・ずー-っと壁が続いてる。よく作ったわねこんなの!」
ベルが驚いている。
「調子に乗って飛び回るなよ。ここは王都なんだ。警備も厳重だから射られるかもしれないぞ。手続きが終わるまでは大人しくしていろ」
「わかったわよお」
「さっきから人がいっぱい見えるよ。酔いそう・・・」
自分も田舎出身でこんな人の流れを見たことはなかった。だいぶ人込みにはなれてきていたが、彼女はもっと田舎から来たのだろう。ナディーリアは溜息を洩らしながら長い耳を横にしている。
ラウル達は街に入るための列に並んでいた。長い行列はかなり先まで続き、昼すぎあたりまでかかるだろう。
「ねーっこれどうにかならないの?」
「こればかりはなあ・・・」
「貴族の特権で入れないの?」
ナディーリアが少しうんざりした感じで提案してきた。
「うーん。行けなかったら恥ずかしいじゃないか・・・」
「やってみましょう。暇だもの~」
「そうだな・・・。わかったよ」
ラウルはナディーリアとベルに連れられて門の付近まで向かった。
(ベルが2人いるみたいだ。賑やかで楽しいけど、一度火が付くと大変そうだ・・・)
ずっと待っている馬車や人々を他所に進んでいくと、やがて門に着いた。門は大きく開かれていたが、兵士たちが通行を止めて、入念な取り調べをしてから街の中に入れている。
ラウルはその中の一人の兵士に声を掛けてみた。
「忙しいところすまない。俺はラウル・アルベルドという。連れが痺れを切らしてね。中に入りたいのだが・・・ダメだろうか」
そう言ってギルドの登録証を差し出した。
兵士は訝しそうな表情でラウル達を見た。フェアリーと黒ローブのエルフ。なんとなく怪しいと思われたかもしれなかったが、登録証を見た途端態度が変わった。
「星3黄金級!?ちょっと待つように」
兵士は駆け足で門の中ほどで取り調べをしている口髭の少し偉そうな文官服の男に近づくと、報告をする。するとその文官服の男は兵士と慌ててやってきた。
「これはこれはラウル・アルベルド様、お待たせいたしまして申し訳ございません。さ、どうぞお通りください。アイシャ・ステラス様から来訪のお話は伺っておりました。ささ、どうぞ!」
「あ、ありがとう・・・」
「ほらー、お貴族特権あるじゃないの」
ラウルの頭上をくるくると飛び回りながらベルが言う。
「馬車で来ているんだ。すぐ取ってくるよ」
こうして、王都に入ることができたラウル一行は、城に向かうことにしたが、ベルが騒ぐのでまずは腹ごしらえをすることにした。
ただ、相変わらず兵士たちが珍しそうにベルを見ているのは何処も変わらない。
「そんなに私が可愛いのかしらね~」
「そうだな。可愛い可愛い」
「何かぞんざいなんだけど?」
「気のせいだろ」
「・・・あなた達面白いわね。いつもそんな感じで。本当に言い伝えの黒妖精の事って何だったのかって思うくらい」
「ふふっ油断しない方がいいわよ~」
「ん?何か言った?」
「何も言ってないわよ。風かしらね」
王都まではここから馬で4日程。荷馬車はそこまで早くないので5~6日はかかるようだった。
同じく王都に向かう馬車や荷馬車、早馬や徒歩の人々。逆に王都からこちらに向かってくる人々。
引切り無しというわけではないが、かなり往来が多い。
流石の南の大国ジェマイエフ王都の賑わいが街道からでもよく分かった。
「真っすぐアイシャを訪ねるのよね?」
「ああ、騎士団所属だから城に行けばすぐわかるだろう。ダメなら父上や兄上がもう着いているだろうし、追い返されることもあるまい」
「5~6日は野宿?」
「いや、途中に街があるようだ。そこを経由するから、ずっとではないよ」
そして6日後、一行はジェマイエフ王都ルヴァーツに到着した。巨大な外壁が街を取り囲んでいて、東西南北に門があるのは他の街と変わらない。しかし、その規模が桁違いだった。
「うわー・・・ずー-っと壁が続いてる。よく作ったわねこんなの!」
ベルが驚いている。
「調子に乗って飛び回るなよ。ここは王都なんだ。警備も厳重だから射られるかもしれないぞ。手続きが終わるまでは大人しくしていろ」
「わかったわよお」
「さっきから人がいっぱい見えるよ。酔いそう・・・」
自分も田舎出身でこんな人の流れを見たことはなかった。だいぶ人込みにはなれてきていたが、彼女はもっと田舎から来たのだろう。ナディーリアは溜息を洩らしながら長い耳を横にしている。
ラウル達は街に入るための列に並んでいた。長い行列はかなり先まで続き、昼すぎあたりまでかかるだろう。
「ねーっこれどうにかならないの?」
「こればかりはなあ・・・」
「貴族の特権で入れないの?」
ナディーリアが少しうんざりした感じで提案してきた。
「うーん。行けなかったら恥ずかしいじゃないか・・・」
「やってみましょう。暇だもの~」
「そうだな・・・。わかったよ」
ラウルはナディーリアとベルに連れられて門の付近まで向かった。
(ベルが2人いるみたいだ。賑やかで楽しいけど、一度火が付くと大変そうだ・・・)
ずっと待っている馬車や人々を他所に進んでいくと、やがて門に着いた。門は大きく開かれていたが、兵士たちが通行を止めて、入念な取り調べをしてから街の中に入れている。
ラウルはその中の一人の兵士に声を掛けてみた。
「忙しいところすまない。俺はラウル・アルベルドという。連れが痺れを切らしてね。中に入りたいのだが・・・ダメだろうか」
そう言ってギルドの登録証を差し出した。
兵士は訝しそうな表情でラウル達を見た。フェアリーと黒ローブのエルフ。なんとなく怪しいと思われたかもしれなかったが、登録証を見た途端態度が変わった。
「星3黄金級!?ちょっと待つように」
兵士は駆け足で門の中ほどで取り調べをしている口髭の少し偉そうな文官服の男に近づくと、報告をする。するとその文官服の男は兵士と慌ててやってきた。
「これはこれはラウル・アルベルド様、お待たせいたしまして申し訳ございません。さ、どうぞお通りください。アイシャ・ステラス様から来訪のお話は伺っておりました。ささ、どうぞ!」
「あ、ありがとう・・・」
「ほらー、お貴族特権あるじゃないの」
ラウルの頭上をくるくると飛び回りながらベルが言う。
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