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第六章
武闘大会②
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先制は弓使いだった。数本の矢を束ねて放ち、それらは広範囲に不特定で飛んでいく。魔術師達はどの参加者も一斉に範囲攻撃魔法を放つ。それらを躱す者、受けるために防御魔法を詠唱する者などがいた。ラウルは構わずに近くの魔術師に突っ込んでいく。二人には力量の差があったため、ラウルは殺さないように剣身でぶん殴る。ラウルは背中に魔法や矢を被弾しながら先ず一人倒す事が出来た。
(これは全員の攻撃を何もせずに受け続けるのは不可能だな。さすがに皆それなりに強い)
ラウルは火焔魔鎧を発動する。全身を覆う炎の形をした上級の魔力障壁。これを破ったのは魔族の将・ヴァサニスだけだ。生半可な攻撃ではダメージにならない。そのラウルの様子に危機感を感じた全員が一気に攻撃を集中させてきた。
魔法は氷の魔法攻撃。魔法に詳しくないラウルは何という魔法なのかは分からないが、とりあえず氷の魔法とは認識した。しかし、どれも効かない。ラウルはそのまま全身に攻撃を受けながら、屈強そうなドワーフの戦士に攻撃をしかける。彼は戦斧でラウルの攻撃を受けると戦斧を振り回して間合いを詰めてきた。
(一撃一撃が重い!流石ドワーフの戦士だ。しかし・・・)
ラウルにはこういった乱戦に対応できる剣技が存在している。ある程度前方に敵が集まった所で狙い、放つのは自身の二つ名として使われている得意技『焔嵐』だ。
戦斧が鎧に当たるのも構わず大剣を振りかざし一気に放つ
放たれた放射状の火焔旋風は一気に数人を巻き込んで彼らを戦闘不能にした。
コロシアムはその威力に水を打ったように静まった。そして間もなく大歓声があがる。
ラウルが次の相手をと振り返ると、残った者達は格の違いにすっかり戦意を失い降参したのだった。
「勝負あり!これにて再予選は終了!勝利者は決勝トーナメントに出場する!」
トーナメントはすぐに始まった。ラウルは16戦中10番目。相手は槍使いだった。
参加者は出番まで個別に待機室に入れられる。その中で治療師からの治療を受けることができるのだ。
(これは・・・ナディーリアの力を見るチャンスだ!)
そう思ったラウルは意識を集中してベルに彼女を連れてくるように頼んだ・・・つもりだ。
声が聞こえるとか送れるものではないので、そう感じるしかないのだ。
暫く待っていると、警備兵が二人を連れて入ってきた。
「ラウルー!」
「治療は任せて!」
「ああ、頼むよ」
大会で用意してもらった治療師には帰ってもらい、ここからはナディーリアに任せてみる。
実はラウルは治療師によって治療されるのは初めてだった。
そもそもフランクの時には世話になることもなかった。自分で適当に薬草と言われるものを貼ったり飲んだり食べたりすることでどうにかしていて、治療師がどんな治療を行うのか全く知識が無い。
とりあえず再予選で受けた傷は回復薬で済ませていた。これはそれなりに高価な品物だが、効き目は今一。大量に持っていくこともできず、それほど便利なものではない。こういった落ち着いた場所で使用するのが基本となっている。
「あら、それでいいの?」
「ああ、この先の為に力を温存しててくれ」
そして、決勝トーナメント1回戦が始まった。ラウルは集中するために自分の出番まで待機所で静かに目を閉じて瞑想をしていた。実は、彼には今回のトーナメントでやってみたい事があった。
それは剣技の応用。剣技が魔力と技の融合の賜物ならば、意志の力で変化を付けて、新たな技に昇華できるのではないかと思っていたのだ。
(強い相手ばかりだから、試すいいチャンスだ。万が一、力が暴走しても対応してくれるだろう)
「ラウル、出番よ!」
「よし!いってくる」
「がんばって!アイシャにいいとこ見せるのよ~」
(これは全員の攻撃を何もせずに受け続けるのは不可能だな。さすがに皆それなりに強い)
ラウルは火焔魔鎧を発動する。全身を覆う炎の形をした上級の魔力障壁。これを破ったのは魔族の将・ヴァサニスだけだ。生半可な攻撃ではダメージにならない。そのラウルの様子に危機感を感じた全員が一気に攻撃を集中させてきた。
魔法は氷の魔法攻撃。魔法に詳しくないラウルは何という魔法なのかは分からないが、とりあえず氷の魔法とは認識した。しかし、どれも効かない。ラウルはそのまま全身に攻撃を受けながら、屈強そうなドワーフの戦士に攻撃をしかける。彼は戦斧でラウルの攻撃を受けると戦斧を振り回して間合いを詰めてきた。
(一撃一撃が重い!流石ドワーフの戦士だ。しかし・・・)
ラウルにはこういった乱戦に対応できる剣技が存在している。ある程度前方に敵が集まった所で狙い、放つのは自身の二つ名として使われている得意技『焔嵐』だ。
戦斧が鎧に当たるのも構わず大剣を振りかざし一気に放つ
放たれた放射状の火焔旋風は一気に数人を巻き込んで彼らを戦闘不能にした。
コロシアムはその威力に水を打ったように静まった。そして間もなく大歓声があがる。
ラウルが次の相手をと振り返ると、残った者達は格の違いにすっかり戦意を失い降参したのだった。
「勝負あり!これにて再予選は終了!勝利者は決勝トーナメントに出場する!」
トーナメントはすぐに始まった。ラウルは16戦中10番目。相手は槍使いだった。
参加者は出番まで個別に待機室に入れられる。その中で治療師からの治療を受けることができるのだ。
(これは・・・ナディーリアの力を見るチャンスだ!)
そう思ったラウルは意識を集中してベルに彼女を連れてくるように頼んだ・・・つもりだ。
声が聞こえるとか送れるものではないので、そう感じるしかないのだ。
暫く待っていると、警備兵が二人を連れて入ってきた。
「ラウルー!」
「治療は任せて!」
「ああ、頼むよ」
大会で用意してもらった治療師には帰ってもらい、ここからはナディーリアに任せてみる。
実はラウルは治療師によって治療されるのは初めてだった。
そもそもフランクの時には世話になることもなかった。自分で適当に薬草と言われるものを貼ったり飲んだり食べたりすることでどうにかしていて、治療師がどんな治療を行うのか全く知識が無い。
とりあえず再予選で受けた傷は回復薬で済ませていた。これはそれなりに高価な品物だが、効き目は今一。大量に持っていくこともできず、それほど便利なものではない。こういった落ち着いた場所で使用するのが基本となっている。
「あら、それでいいの?」
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そして、決勝トーナメント1回戦が始まった。ラウルは集中するために自分の出番まで待機所で静かに目を閉じて瞑想をしていた。実は、彼には今回のトーナメントでやってみたい事があった。
それは剣技の応用。剣技が魔力と技の融合の賜物ならば、意志の力で変化を付けて、新たな技に昇華できるのではないかと思っていたのだ。
(強い相手ばかりだから、試すいいチャンスだ。万が一、力が暴走しても対応してくれるだろう)
「ラウル、出番よ!」
「よし!いってくる」
「がんばって!アイシャにいいとこ見せるのよ~」
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