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第23話 従者と毒見

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第一回誘拐事件を受けて、

厳選されたはずの侍女が毒物を混入したことで、

ジュリアの侍女はいなくなってしまった。

ジュリアはフィーとターニャのおかげで、

なんとか回復したが、

ジュリアは完全に人間不審に陥った。

そのため、ジュリアの精神的な安定のためにも、

ジュリアには侍女をつけず、

ターニャとフィーがジュリアの身の回りの世話をすることになった。

ジュリアの警備は、

『影』が行っていた。

ジュリアの食べ物に毒物が混入されていたのに、

なぜ『影』が防げなかったのかと問題になったが、

『影』は基本的に暗殺や襲撃から、

警備対象である国王を守ることが役割だった。

しかし『黒軍白軍100人決闘事件』のせいで、

イレギュラーにジュリアの警備をすることになったのだった。

国王については、

毒見などは別の係のものが担当していたし、

侍女たちにはジュリアを害する意思はなかったので、

毒物混入事件は『影』には防げなかった。

しかし黒軍からも白軍からも騎士をだせなかったので、

結局警備は『影』が続行することになり、

ターニャとフィーが毒見係もすることになった。

フィーはターニャや王宮の料理人に料理を教えてもらうことになった。





「ひめさま!!

傑作ができたよ!!( ´_ゝ`)!!」

フィーが片手に持っていたのは、

トカゲの形をした茶色い物体の串刺しだった。





「……………フィー。

あなた、自分が毒見するってわかってる?」






ジュリアはギロッとフィーを睨みながら言った。

「もちろん分かってるよ!!( ´_ゝ`)!!」

フィーはそういうと、

トカゲの形をした茶色い物体の頭をバリッと音を立てて食べた。






「フィー!!!あなたおなか壊すわよ!!」




ジュリアはフィーを心配してあわてて怒鳴った。

「だいじょうぶだよ!!

だってこれチョコだし!!」

フィーは最高級のチョコレートが手に入ったと料理長が言うので、

せっかくだからトカゲの形にしてみたら、

意外とうまくできたとチョコをモグモグしながら言った。

ジュリアは深いため息をついて、

フィーからトカゲのチョコの串刺しを受けとると、

苦々しげな顔をしながらもチョコをかじった。

「………おいしいわよ」

ジュリアがそういうと、

フィーは満面の笑顔になった。






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