猫目の伯爵令嬢は今日も今日とて労働に従事する(ФωФ)

てん

文字の大きさ
40 / 56

第40話 誰にでも取り柄はあるものです(ФωФ)

しおりを挟む
「……もう2階が片付いたのか。」






「そうですね。

エヴァ嬢はとても手際がよかったので。

午後は鍵つきのドアの手配をすると言って、街に出かけて行きましたよ。」






午後、王宮に戻ったリンツはルイスとシュナイダーに状況報告をした。







「……あの女、本当に自分でドアをつけられるのか?」





「なんか『職人に知り合いがいるからちょうどいい大きさのドアを手に入れてみせますよ(ФωФ)キリ』って言ってましたから大丈夫なんじゃないんですか?」







「………なんで元王宮の侍女に職人の知り合いがいるんだ。」







「王宮の修理に来てた職人のお爺さんを手伝ってたら仲良くなったそうです。

『お前は見込みがあるから弟子にならないか?』とまで言われたそうですよ。」








「……………変な女。」








「おやおや。

あんなごみ屋敷を片付けてくれているエヴァ嬢に対して随分な言い方ですね。」







「………金は払う。」







「私もエヴァ嬢の給金確認しましたが、『試用期間』は相場より大分安いじゃないですか?

『女性を安い給金で劣悪な環境で働かせる』、いやはやなんとも………」







「…………俺は雇いたくて雇っている訳じゃない。

…………シュナイダーがうるさいから。」








「エヴァ嬢が片付けてくれなかったらルイス様は王宮に住むしかないんですよ?

この王宮に。

。」









「………………鍵つきのドアができ次第、2階に住んでもいい。

鍵についてはお前が受け取って俺に渡せ。」







「はいはーい。

最初から素直にそう言えばいいのにー。」







「リンツ、そのくらいにしとけ。

あんまりルイスをいじめるな。」







「はいはーい。

ルイス様、曲がりなりにもこれからエヴァ嬢と一緒に住むわけですから、あんまりひどい態度とらないでくださいよ!

エヴァ嬢が可哀想ですからね!

もしエヴァ嬢に酷いことをしたら…………」







「………酷いことをしたらも何もあの女とは顔を合わせない。」






「……まぁそうですけど。

とにかく!

エヴァ嬢に何か失礼なことをしたら私の口が軽くなりますからね!

とりあえずアンナ様とハンス様の前で、エヴァ嬢のこと喋ってしまうかも。」







「……………書庫に行く。」







ルイスは不機嫌そうに言って部屋を出ていった。







「あー。もう!

都合が悪くなるとすぐ逃げる!!」






「まぁ、そう怒るな。

書庫に用があったのは本当だよ。

カブサフタカス語の辞書を探しにいかなきゃいけなくなったからな。」






ルイスは少年時代から家に引きこもっていたので自然と本の虫になった。

特に外国語にひいでており、シュナイダーやマルクス、国王陛下の仕事で翻訳が必要な仕事はルイスが重宝されていた。

ルイスは外国語も流暢に話すが、外交に連れていくとルイスの美貌が原因で騒動になるので専ら部屋にこもっての翻訳仕事が多かった。







「1階もほとんど外国の本やら資料やらが溢れてるんですよ。

あー。あれを選別しないといけないなんて!!

今から気が重い。。」







「………ほんとごめん。」






項垂れるリンツの背中をシュナイダーがポンと叩いた。






「……まぁいいですけど。

ああ、シュナイダー様、エヴァ嬢がハンス様とアンナ様に会いたそうにしていました。

すぐには無理でもルイス樣のお宅の掃除に目処がついたらお休みの日に会うくらい、なんとかなりませんかね?」







「……そうだな。

双子もエヴァ嬢に会いたそうにしてるしな。

あんまりあの双子をエヴァ嬢に会わせないと爆発しそうだしな。

まぁちょっと考えるよ。

はぁ、双子の世話係だが、カスケード侯爵の3女が辞めたと聞いて他の貴族が是非自分の娘をと何人か名乗りをあげてきたよ。

なんであの悪魔の世話係になんかなりたいのか?

普通の貴族の令嬢の手に負えるようなやつらじゃないのがなんでわかんないんだろうな?」






「そうですねー。

エヴァ嬢みたいな普通じゃない貴族の令嬢じゃないとお二人の世話係は無理かもしれないですね。」




リンツはそう笑って言ってシュナイダーのためにお茶の準備をし始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています

ゆっこ
恋愛
 「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」  王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。  「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」  本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。  王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。  「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...