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第二章 とある少年の物語
救出作戦?
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さて、親切な警備員たちからミトの居場所を聞き出したヴォルグは、レイノルズ商会の会長が住まう居住区――その寝室を目指していた。
ちなみに、あの二人の警備員たちは、彼らの衣服で両手足を縛ったあと、適当な空き部屋に転がしておいた。
(そう、これはついでだ。目的のものがある先に、たまたまミトが居るだけだ!)
一応、誓約の魔道具が本来あるべき場所についても聞いていた。
だが、ヴォルグは迷うことなく、ミトが今居るはずの寝室へ向かっている。
(仕方ねえよな、情報があったんだ。ミトを助けるのは、あくまでもついでだ!)
そんな言い訳を自分にしつつも、ヴォルグの表情はさっきより晴れやかなものであった。
本当なら、恋人を救うために余計なことはせず、会ったばかりの少年など見捨てるべきだ。頭ではそれを理解している。
しかし、彼の感情はそれを素直に受け入れられるほど器用なものではなかったのだ。
人の気配を避けて、暗い廊下を駆け抜ける。
オオカミの獣人である彼は夜目が利くので、深い闇だって障害にならない。
そして、ついに目的の扉がある廊下までたどり着いた。
(見張りは……ラッキーだ。扉の前にはいないな)
ここに来る途中は割と厳重に見張られていたが、流石に情事を行なう扉の前に人を立たせるなんてことはしないらしい。
ちなみに、これまでで遭遇した見張りからは可能な限り見つからないようにしたが、数人はどうしても無力化する必要があった。
侵入者の証拠はバッチリ残っている。あまり悠長にのんびりはしてられないだろう。
ヴォルグは扉の前で、聞き耳を立ててみた。
「…ょ…………を………う……………っ………す……い………………お………え………………い…」
「ゆ……………! こ………い………!」
聞こえてくるのは、少女の声と男の声。
実際は少女じゃなくて、あのピンクブロンドの少年メイドの声なはずだ。
この部屋で間違いなさそうである。
そして、男の怒声は興奮しているように聞こえる。逆にミトの声からは、感情が感じられない。
遅かったか!? まさか、すでに死にかけて……!
獣人ヴォルグは意を決して、扉を蹴破った。
バァンと激しい音と共に部屋に乗り込む獣人のヴォルグ。そのまま彼は、さっき奪った拳銃と短剣を身構えて、ベッドの上に向けた。
「おいミト! 無事……か…………?」
部屋の中でヴォルグが見た光景は、想像に反したものだった。
ベッドの上に、メイドと男が居るのは変わらない。
そしてメイドは例のピンクブロンド――見間違うはずもなく、ミトだ。
しかし、二人のうち、上に居るのはミト。娼年はベッドの上に寝転がった男の上で馬乗りになっている。
透明度の高い高級な窓ガラスの向こうには、月明かりの無い空。
見える星も多くない、闇色の空。
怪しい雰囲気の魔石ランプ。高級なアルコールの香り。
さりげなく用意された、誓約用のインクと紙の束。
ついでに、謎の白い粉が入った小瓶。
そんなインモラルでアダルティーな空間には似合わない、少女と見紛うほどに美しい少年。
磁器か象牙のような肌に、サファイア色の瞳。
ただ、その輝きは、仄かな昏い感情を映し出す。
上半身の服は乱れていて、少年にしては細い肩が、白く滑らかな背中がさらけ出されている。
か弱く、端正なシルエット。
何も知らなければ、やっぱり少女に見える……だが、間違いなく男だ。とりあえずヴォルグは、ミトが五体満足なのと、まだ奴隷の刺青が刻印されていな現状を見て少し安心した。
そして、その手の中には、銀色のナイフが握られていた。
「き、貴様も賊か!?」
ヴォルグに向かって叫ぶ男。おそらく彼が、レイノルズ商会の会長なのだろう。
一方で服をはだけた艶めかしい格好の少年メイドは、本当に迷惑そうな表情でため息を吐いた。
「……結局、来ちゃったんですね……明日には全部片付く予定だったのに」
「えっと……助けは……」
「必要ないです。見ればわかるでしょう?」
少年がナイフを持ってた手を振ると、噴水のように赤い液体が噴き出して、ベッドのシーツを汚す。
裏切りのメイドに跨られた会長は、頸動脈を掻っ切られて、そのまま絶命した。
ちなみに、あの二人の警備員たちは、彼らの衣服で両手足を縛ったあと、適当な空き部屋に転がしておいた。
(そう、これはついでだ。目的のものがある先に、たまたまミトが居るだけだ!)
一応、誓約の魔道具が本来あるべき場所についても聞いていた。
だが、ヴォルグは迷うことなく、ミトが今居るはずの寝室へ向かっている。
(仕方ねえよな、情報があったんだ。ミトを助けるのは、あくまでもついでだ!)
そんな言い訳を自分にしつつも、ヴォルグの表情はさっきより晴れやかなものであった。
本当なら、恋人を救うために余計なことはせず、会ったばかりの少年など見捨てるべきだ。頭ではそれを理解している。
しかし、彼の感情はそれを素直に受け入れられるほど器用なものではなかったのだ。
人の気配を避けて、暗い廊下を駆け抜ける。
オオカミの獣人である彼は夜目が利くので、深い闇だって障害にならない。
そして、ついに目的の扉がある廊下までたどり着いた。
(見張りは……ラッキーだ。扉の前にはいないな)
ここに来る途中は割と厳重に見張られていたが、流石に情事を行なう扉の前に人を立たせるなんてことはしないらしい。
ちなみに、これまでで遭遇した見張りからは可能な限り見つからないようにしたが、数人はどうしても無力化する必要があった。
侵入者の証拠はバッチリ残っている。あまり悠長にのんびりはしてられないだろう。
ヴォルグは扉の前で、聞き耳を立ててみた。
「…ょ…………を………う……………っ………す……い………………お………え………………い…」
「ゆ……………! こ………い………!」
聞こえてくるのは、少女の声と男の声。
実際は少女じゃなくて、あのピンクブロンドの少年メイドの声なはずだ。
この部屋で間違いなさそうである。
そして、男の怒声は興奮しているように聞こえる。逆にミトの声からは、感情が感じられない。
遅かったか!? まさか、すでに死にかけて……!
獣人ヴォルグは意を決して、扉を蹴破った。
バァンと激しい音と共に部屋に乗り込む獣人のヴォルグ。そのまま彼は、さっき奪った拳銃と短剣を身構えて、ベッドの上に向けた。
「おいミト! 無事……か…………?」
部屋の中でヴォルグが見た光景は、想像に反したものだった。
ベッドの上に、メイドと男が居るのは変わらない。
そしてメイドは例のピンクブロンド――見間違うはずもなく、ミトだ。
しかし、二人のうち、上に居るのはミト。娼年はベッドの上に寝転がった男の上で馬乗りになっている。
透明度の高い高級な窓ガラスの向こうには、月明かりの無い空。
見える星も多くない、闇色の空。
怪しい雰囲気の魔石ランプ。高級なアルコールの香り。
さりげなく用意された、誓約用のインクと紙の束。
ついでに、謎の白い粉が入った小瓶。
そんなインモラルでアダルティーな空間には似合わない、少女と見紛うほどに美しい少年。
磁器か象牙のような肌に、サファイア色の瞳。
ただ、その輝きは、仄かな昏い感情を映し出す。
上半身の服は乱れていて、少年にしては細い肩が、白く滑らかな背中がさらけ出されている。
か弱く、端正なシルエット。
何も知らなければ、やっぱり少女に見える……だが、間違いなく男だ。とりあえずヴォルグは、ミトが五体満足なのと、まだ奴隷の刺青が刻印されていな現状を見て少し安心した。
そして、その手の中には、銀色のナイフが握られていた。
「き、貴様も賊か!?」
ヴォルグに向かって叫ぶ男。おそらく彼が、レイノルズ商会の会長なのだろう。
一方で服をはだけた艶めかしい格好の少年メイドは、本当に迷惑そうな表情でため息を吐いた。
「……結局、来ちゃったんですね……明日には全部片付く予定だったのに」
「えっと……助けは……」
「必要ないです。見ればわかるでしょう?」
少年がナイフを持ってた手を振ると、噴水のように赤い液体が噴き出して、ベッドのシーツを汚す。
裏切りのメイドに跨られた会長は、頸動脈を掻っ切られて、そのまま絶命した。
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