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久しぶりに庭園へ赴いてみることにすると、外の陽差しが眩しい。
何年かぶりに外で陽射しを浴びた。
目を細めながら、その陽射しを眺めようとするが後ろから付き従っている侍女により日傘で覆われてしまう。陽をみるようとしていたのに、見ることが出来ずに残念に思ってしまう。
いつもはただ部屋に入る陽射しを浴びるだけで、眩しいと感じることもなかった。
室内で浴びる陽よりも外で浴びる陽のほうが、身体を焼くような暑さを持っているということに、久しぶりに気づくことになった。
何も感じないような日々を過ごしているだけでは駄目だとベネディクト様に思い知らされた。彼は仕えるべき君主を亡くしたことにより、私の知らない場で努を重ねていたのだろう。
一介の臣下であった者が、皇太子という立場になったのだからそれに相応しい振る舞いというものがある。
彼の努力を知ることもせずに、私はただ自分の置かれた境遇をただ悲観するだけで、何と憐れだったのだろう。
そんな私のことを人は、「お飾りの皇太子妃」「籠の鳥」と呼んでいるのは知っている。
部屋付きの侍女たちはその言葉が、私の耳に入らないようにと気を遣っていることも知っている。
ただ今の状況に甘えているのだけの私は、その言葉を否定することも出来ない。
憐れと私のことを言うけれど、本当に憐れなのは私ではなくてあの人。
私を娶ったベネディクト様。
いつの間にか、庭園の奥にある人口池まで足を伸ばしていたようだ。
気付かずに、このような場に来ていたとは思わず戻ろうと、いままで歩いてきたであろう方向に身体を向ければ、視界の端に紅色を捉える。
何故、あなたがここにいるのです?
問いただしたいが、私にその権利はない。だって、ここは皇族であれば誰でも立ち入ることの出来る場。
私の見間違いではないだろうかと、目を擦るが見間違いではない。
段々と近づいてくるあの人に後退りしそうになりながらも、立っている姿を侍女たちは滑稽だと思っているはずだ。
「ティナ、おまえがここにいるとは珍しいな」
物珍しそうな表情をされると、どうしていいのかわからずに委縮してしまう。
そして、少しでも可愛らしい物言いをすればいいのにそれすら出来ない。
きっと、無表情で私に付き従っている侍女たちは内心呆れているだろう。
「外に私が出てはいけませんでしたか?」
「問題ない。ただ、いつもと違う行動に出たことに驚いただけだ。これから、城外に行くがおまえも行くか?」
私の世界は狭いとベネディクト様は言った。
私は世界を知らない。
それに、久しく城外になど出たことはない。
昔は兄のお忍び視察に同行し、いろいろと外を見る機会もあったが、あの日から時が止まってしまった私の知る城外は、以前のままだ。
父を亡くして以来、温室のような城内から出ることを母は許してはくれなかった。愛しい我が子と夫を失った母の願いならと言い聞かせ、私自身が現実から目を逸らしているだけで。
そのためか、母に逆らうことは今だってしたことはない。
自分で考えることを辞めてしまった私のこと、だから人は「籠の鳥」と言うのだろう。
向かい合いになりながらも、私を値踏みするかのように全身を見つめられる。
装いをあまり気にしていなかったせいか、徐々に羞恥心に襲われる。
侍女たちが私のために選んでくれたものだから、間違いはないが私の好みかと言えばそういうことでもない。
その視線に耐えられなくなり、そっと視線を逸らすように池を見つめる。
「城外に視察に行く予定なのだが、お前も一緒に付き合え」
高圧的な物言いだけれど、この人は私に世界を見せてくれようとしている。
その言葉が心に響く。嬉しくて、すぐに頷きたくなるが、私は…。
「母上の許可なしで私は城外に行くことは…」
思考の全てを支配するかのような存在である母の影が脳裏に過る。
そして躊躇いがちに答えた私に苛立つかのように
「あの女に囚われるな。許可など必要はない。何故なら、クリスティーナは私の妃だ。自身の意思でなくとも皇太子夫妻で公務に当たるだけのことなのだから」
言われていることに間違いはない。
私はこれから、初めて皇太子妃として、夫婦として公務を行うのだから。
皇族の義務だと自身に言い聞かせれば、自然と背筋が伸びる。
エスコートをするつもりもなく、先に行く後ろ姿に「何故、こんなにも私に優しくするの?」と問いかけても答えが返ってくるわけでもない。
その場に立ち尽くしていると、後ろから付いてきている気配が感じられなかったためか、「行くぞ」と振り返り手を差し出してくる。
その手に手を重ねることは簡単だが、遠慮がちになっているためか、手を差し出すのを躊躇えば、手首を掴まれる。
痛いというよりも絶妙な力加減により引き寄せられ、そのまま何を考えているのかわからないが膝の後ろに腕が入れられた。
横抱きにされていると気づいたときに、周囲の侍女や従者をみると何故か微笑ましいものをみるような視線を向けているので、恥ずかしくなりベネディクト様の胸元に顔を埋める。
今まで私を城外に連れて行こうとしなかったのに、ジジの婚姻式に向けて急にどうしたのだろう。
彼が考えていることなど、私ごときが考えてもわかることではない。
それにしても、私をそばに置きたがるのは何故だろう。
これが昔なら、何も考えずに愛されていると勘違いをし喜んだだろう。
だけれど、いまの私はそれを受け入れられるほど愚かなままでいられるだろうか?
彼の匂いに包まれている身体が、喜び鼓動が大きく跳ねる。
身体は素直でも、頭ではそれを否定してしまう。
「ベネディクト様、私が同行してはお邪魔ではないでしょうか?」
「嫌なのか」
「そうではありません。ただ、このような普段着なので、公務に相応しい装いかと聞かれますと、そうではないような気がして」
「構わない。それに、よく似合っているから気にするな」
着飾ることを辞めている私が身に着けているのは淡紅色の簡素なドレス。
装飾類がついているのを嫌う私としては、動きやすいから問題はないが一国の皇太子妃が身に纏う物かと聞かれれば、違うこと答えられるだろう。
ただ、生地は一級品だとすぐわかるほどの触り心地で好きだ。
色は何故か、いつも赤系統の色を侍女たちが選ぶので大人しくしている。
たまに系統を変えたいと申し出ると、落胆するのであまり言わないようにしているのだが。
褒められたことが嬉しくなり、横抱きにされていることを忘れかけてしまっていた。
厩舎より馬が連れてこられるまでの間、すれ違う官吏や出仕している貴族たちからの物珍し気な視線に耐えられなくなってしまう。
限られた人との交流のみしかしていなかったためか、ベネディクト様の愛妾とでも思われているのかもしれない。
そう考えるだけで気分が落ち込んでしまう。ただ、これは私が逃げ回っていた10年もの歳月を感じさせるものだった。
「お待たせして申し訳ありません。クリスティーナ様」
後ろから声を掛けてきたのは、ベネディクト様の幼馴染で従者をしているウィリアムだ。記憶を辿っても、あまりこの人と会話などしたことはないのに認識されているとは驚いた。
「おい、ティナに謝罪して何故俺にはない」
「急に予定変更を申し付けて、何を言っているのですか。フォローしたこちらの身にでもなって欲しいくらいですよ。もちろん、クリスティーナ様のためでしたら喜んで何でもやらせていただきますが。あと、馬は2頭でよろしかったですよね」
嬉しそうな笑みを浮かべながら話し掛けているウィリアムと違い、少しだけ機嫌が悪くなっているベネディクト様にどうすればいいのかと不安になりながら顔を向ける。
「構わない」と言いながら視線を逸らされてしまい馬へと騎乗する。
幼き頃より誰かの補助なしに乗馬などしたことがなかったため、どうするべきかと悩んでしまいベネディクト様の手を煩わせるべきではないと思い、ウィリアムに視線を向けると微笑みながら「残念ながら、主人の奥方と密着するわけにはいかないので、ここはベネディクト様で我慢してください」と言われてしまう。
チラッと見ていると、やはり少し機嫌が悪い。
「クリスティーナ、手を出せ」
中々手を出さずにいた私に痺れを切らしたのか腕を掴まれ、引っ張られるように乗せられる。
横乗りになったことでバランスを崩してしまうのではいかと心配になりながらも「あの…よろしいでしょうか?」としがみつくが何も反応されないので、大丈夫だと勝手に判断させてもらう。
護衛騎士2名とウィリアムの準備が整ったのを確認してから、城外へと向かった。
騎乗中は大人しくしていなければと思いながら、ずっとベネディクト様にしがみついていると心音が聞こえてくる。
その音が心地よくて、いつまでも続けばいいと思ってしまった。
何年かぶりに外で陽射しを浴びた。
目を細めながら、その陽射しを眺めようとするが後ろから付き従っている侍女により日傘で覆われてしまう。陽をみるようとしていたのに、見ることが出来ずに残念に思ってしまう。
いつもはただ部屋に入る陽射しを浴びるだけで、眩しいと感じることもなかった。
室内で浴びる陽よりも外で浴びる陽のほうが、身体を焼くような暑さを持っているということに、久しぶりに気づくことになった。
何も感じないような日々を過ごしているだけでは駄目だとベネディクト様に思い知らされた。彼は仕えるべき君主を亡くしたことにより、私の知らない場で努を重ねていたのだろう。
一介の臣下であった者が、皇太子という立場になったのだからそれに相応しい振る舞いというものがある。
彼の努力を知ることもせずに、私はただ自分の置かれた境遇をただ悲観するだけで、何と憐れだったのだろう。
そんな私のことを人は、「お飾りの皇太子妃」「籠の鳥」と呼んでいるのは知っている。
部屋付きの侍女たちはその言葉が、私の耳に入らないようにと気を遣っていることも知っている。
ただ今の状況に甘えているのだけの私は、その言葉を否定することも出来ない。
憐れと私のことを言うけれど、本当に憐れなのは私ではなくてあの人。
私を娶ったベネディクト様。
いつの間にか、庭園の奥にある人口池まで足を伸ばしていたようだ。
気付かずに、このような場に来ていたとは思わず戻ろうと、いままで歩いてきたであろう方向に身体を向ければ、視界の端に紅色を捉える。
何故、あなたがここにいるのです?
問いただしたいが、私にその権利はない。だって、ここは皇族であれば誰でも立ち入ることの出来る場。
私の見間違いではないだろうかと、目を擦るが見間違いではない。
段々と近づいてくるあの人に後退りしそうになりながらも、立っている姿を侍女たちは滑稽だと思っているはずだ。
「ティナ、おまえがここにいるとは珍しいな」
物珍しそうな表情をされると、どうしていいのかわからずに委縮してしまう。
そして、少しでも可愛らしい物言いをすればいいのにそれすら出来ない。
きっと、無表情で私に付き従っている侍女たちは内心呆れているだろう。
「外に私が出てはいけませんでしたか?」
「問題ない。ただ、いつもと違う行動に出たことに驚いただけだ。これから、城外に行くがおまえも行くか?」
私の世界は狭いとベネディクト様は言った。
私は世界を知らない。
それに、久しく城外になど出たことはない。
昔は兄のお忍び視察に同行し、いろいろと外を見る機会もあったが、あの日から時が止まってしまった私の知る城外は、以前のままだ。
父を亡くして以来、温室のような城内から出ることを母は許してはくれなかった。愛しい我が子と夫を失った母の願いならと言い聞かせ、私自身が現実から目を逸らしているだけで。
そのためか、母に逆らうことは今だってしたことはない。
自分で考えることを辞めてしまった私のこと、だから人は「籠の鳥」と言うのだろう。
向かい合いになりながらも、私を値踏みするかのように全身を見つめられる。
装いをあまり気にしていなかったせいか、徐々に羞恥心に襲われる。
侍女たちが私のために選んでくれたものだから、間違いはないが私の好みかと言えばそういうことでもない。
その視線に耐えられなくなり、そっと視線を逸らすように池を見つめる。
「城外に視察に行く予定なのだが、お前も一緒に付き合え」
高圧的な物言いだけれど、この人は私に世界を見せてくれようとしている。
その言葉が心に響く。嬉しくて、すぐに頷きたくなるが、私は…。
「母上の許可なしで私は城外に行くことは…」
思考の全てを支配するかのような存在である母の影が脳裏に過る。
そして躊躇いがちに答えた私に苛立つかのように
「あの女に囚われるな。許可など必要はない。何故なら、クリスティーナは私の妃だ。自身の意思でなくとも皇太子夫妻で公務に当たるだけのことなのだから」
言われていることに間違いはない。
私はこれから、初めて皇太子妃として、夫婦として公務を行うのだから。
皇族の義務だと自身に言い聞かせれば、自然と背筋が伸びる。
エスコートをするつもりもなく、先に行く後ろ姿に「何故、こんなにも私に優しくするの?」と問いかけても答えが返ってくるわけでもない。
その場に立ち尽くしていると、後ろから付いてきている気配が感じられなかったためか、「行くぞ」と振り返り手を差し出してくる。
その手に手を重ねることは簡単だが、遠慮がちになっているためか、手を差し出すのを躊躇えば、手首を掴まれる。
痛いというよりも絶妙な力加減により引き寄せられ、そのまま何を考えているのかわからないが膝の後ろに腕が入れられた。
横抱きにされていると気づいたときに、周囲の侍女や従者をみると何故か微笑ましいものをみるような視線を向けているので、恥ずかしくなりベネディクト様の胸元に顔を埋める。
今まで私を城外に連れて行こうとしなかったのに、ジジの婚姻式に向けて急にどうしたのだろう。
彼が考えていることなど、私ごときが考えてもわかることではない。
それにしても、私をそばに置きたがるのは何故だろう。
これが昔なら、何も考えずに愛されていると勘違いをし喜んだだろう。
だけれど、いまの私はそれを受け入れられるほど愚かなままでいられるだろうか?
彼の匂いに包まれている身体が、喜び鼓動が大きく跳ねる。
身体は素直でも、頭ではそれを否定してしまう。
「ベネディクト様、私が同行してはお邪魔ではないでしょうか?」
「嫌なのか」
「そうではありません。ただ、このような普段着なので、公務に相応しい装いかと聞かれますと、そうではないような気がして」
「構わない。それに、よく似合っているから気にするな」
着飾ることを辞めている私が身に着けているのは淡紅色の簡素なドレス。
装飾類がついているのを嫌う私としては、動きやすいから問題はないが一国の皇太子妃が身に纏う物かと聞かれれば、違うこと答えられるだろう。
ただ、生地は一級品だとすぐわかるほどの触り心地で好きだ。
色は何故か、いつも赤系統の色を侍女たちが選ぶので大人しくしている。
たまに系統を変えたいと申し出ると、落胆するのであまり言わないようにしているのだが。
褒められたことが嬉しくなり、横抱きにされていることを忘れかけてしまっていた。
厩舎より馬が連れてこられるまでの間、すれ違う官吏や出仕している貴族たちからの物珍し気な視線に耐えられなくなってしまう。
限られた人との交流のみしかしていなかったためか、ベネディクト様の愛妾とでも思われているのかもしれない。
そう考えるだけで気分が落ち込んでしまう。ただ、これは私が逃げ回っていた10年もの歳月を感じさせるものだった。
「お待たせして申し訳ありません。クリスティーナ様」
後ろから声を掛けてきたのは、ベネディクト様の幼馴染で従者をしているウィリアムだ。記憶を辿っても、あまりこの人と会話などしたことはないのに認識されているとは驚いた。
「おい、ティナに謝罪して何故俺にはない」
「急に予定変更を申し付けて、何を言っているのですか。フォローしたこちらの身にでもなって欲しいくらいですよ。もちろん、クリスティーナ様のためでしたら喜んで何でもやらせていただきますが。あと、馬は2頭でよろしかったですよね」
嬉しそうな笑みを浮かべながら話し掛けているウィリアムと違い、少しだけ機嫌が悪くなっているベネディクト様にどうすればいいのかと不安になりながら顔を向ける。
「構わない」と言いながら視線を逸らされてしまい馬へと騎乗する。
幼き頃より誰かの補助なしに乗馬などしたことがなかったため、どうするべきかと悩んでしまいベネディクト様の手を煩わせるべきではないと思い、ウィリアムに視線を向けると微笑みながら「残念ながら、主人の奥方と密着するわけにはいかないので、ここはベネディクト様で我慢してください」と言われてしまう。
チラッと見ていると、やはり少し機嫌が悪い。
「クリスティーナ、手を出せ」
中々手を出さずにいた私に痺れを切らしたのか腕を掴まれ、引っ張られるように乗せられる。
横乗りになったことでバランスを崩してしまうのではいかと心配になりながらも「あの…よろしいでしょうか?」としがみつくが何も反応されないので、大丈夫だと勝手に判断させてもらう。
護衛騎士2名とウィリアムの準備が整ったのを確認してから、城外へと向かった。
騎乗中は大人しくしていなければと思いながら、ずっとベネディクト様にしがみついていると心音が聞こえてくる。
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