ある雪の降る日に

喜市

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8話

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ピーーッ、ガガガ……
«ようこそ!新入生の諸君。私達教職員とこの学園に集う上級生は君達の入学を歓迎する!»

どこからともなく聞こえてくるスピーカーの音に周囲も少しザワザワしている。
 
ザッ、ザザザ……
«さぁ、君達もこの学園で学ぶ準備は出来ているかな?»

その声をきっかけに、空から降ってくるようなその声に耳を傾けていた生徒たちはやる気に満ちた声で答えようとする。

「おーーうっ!!!」
「できてるぞー!!」

ワイワイ、ガヤガヤそんな様子ではしゃいでいる者が大半だ。

「ハルラス……、僕達もやる?」

「フレイがやりたいんでしょ笑。やろうやろう!僕達だって気合い出してこ!」

僕らはタイミングを合わせるように、すぅっと息を吸う。そして、

「「おーーーっ!!!」」

片手をあげてガッツポーズまで追加して。
なんかますます気合いが入った気がする。ちょっと恥ずかしいけどね。

«いやはや。今年の新入生は特に、威勢がいい者ばかりだな。これは鍛えがいがあるではないか!大いに喜ばしい事だ。»

スピーカー音に混じり笑い声も入っている。
会場は和んだ空気に包まれ、明るい雰囲気になっていた。


グォォォォォオオッッッ!!!

それは突然だった。
バッと地表に影が落ち、辺りが一瞬暗くなった。
地鳴りのような音が響き、また辺りは光を取り戻す。
状況がよく飲み込めていないフレイは、一瞬シン…と静まり返った周囲を見渡す。

「……ねっねぇ、これって…」

そう言いながらハルラスの方を振り向く。

ハルラスは意外にもなんて事ないように、ケロッとした顔をしていた。
その姿に少し拍子抜けしてしまう。

「ん?どうかした?」

「どうかしたも何も……。この地鳴りみたいな音とか、暗くなった空とか、」

するとそれを聞いたハルラスはクスッと笑い僕に説明してくれた。

「あぁこれね!これは龍の鳴き声。ほら上見てみなよ!」

そう言って、ハルラスは空の方向を指さす。
その指の先を追い、空を見上げると。

「……でっかぁ……っ!」

飛龍が飛んでいた。それもえげつないデカさの。

その飛龍は黒曜石のような皮膚を持ち、ところどころ出っ張っている場所は太陽の光で少し薄く、紫に光っている。
ビュンビュンと風を切る翼で、こちらに飛んできていて……

(飛んだ来てる……えっ!?こっちに向かってる!!)

「やっ、ヤバいんじゃっ!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ……

咄嗟に目をつぶった。ガバッと腕で顔を覆う。
すると隣から肩をポンポンと叩かれた。

「ほら。よく見てみなよ。」

顔を覆うように前に出した腕の隙間からそっと覗くように、目を見開いた。

そこに先程の黒曜石の飛龍は存在せず、少し高台に設置されたステージにポツンと人がたっていた。

「あの人、マギアの32代目校長。魔界から来た…」

『皆さんどうも。私、魔法学園マギア32代目校長。《ヴァリユス・セルジール》と申します。以後お見知り置きを。』

ビリビリと感じる絶大な魔力量と自分の野生(?)の勘が伝えてくる「あいつは強者だ」という警告。

その圧倒的な強さを前に、ザワザワと騒がしかった生徒や保護者達は即座に静まり返った。

僕達もそれらと同じく。息を飲む音が隣から聞こえるくらいに緊張感が増していた。


「あんまり威嚇してやんなよーっ!」
「そうだそうだーっ。」
「新入生が可哀想だぞー!」

そんな空気を断ち切るかのように、野次が飛んできた。

この会場ではなく、ここを取り囲んだ一体から声が聞こえてくる。
周りを見渡すと、この学園の先輩だろうか。
学年カラーの違うネクタイやリボンを纏った生徒が、時計台の上や教室の窓。箒や翼で飛んで、こちらを見に来ていた。

「わ、ぁ。すごい沢山の種族がいるんだね……。」

「本当だね……。僕も初めて見る種族が沢山だよ。」

(シヴァン先輩もいないかな…?)

なんて思いながら、その姿を探してみる。
まぁ、見つけられなかったんだけどさ。

『さぁさぁ、堅苦しいのは無しだ!私も登場したし、式はこの辺りで終わりとしようではないか!』

「やーい、目立ちたがりー!」

『なんだと!?そこの者、どこの寮だっ!』

やいのやいのと続く先輩と校長先生の会話を後に、騒がしかった入学式(?)は無事終了した。

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