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18話
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満月の光の筋が夜道をぼうっと淡く照らしている。
僕たちの後ろには影が2つ、肩を並べていた。
「っあれ?先輩こっちって…」
「ん?あぁ言ってなかったな。俺はフロスト寮で生活してるんだ。」
中央通りを進み、5つに枝分かれする道を迷うことなく先輩は進んでいく。
「シヴァン先輩もだったんですね。僕も同じでフロスト寮なんです!」
まさか先輩と同じ寮だったとは…。
まぁシロクマだし何となくそんな気もしたけど。
「フレイも氷とか水使うのか?てっきり闇魔法とか使うのかと思ってたよ。」
「なんかそれ僕の見た目で言ってません?」
ははー、と笑ってシカトする先輩。こっちの気も知らずに出会って早々呑気だな!
「…っ、そう言えば。シヴァン先輩あれから半月以上どこ行ってたんですか?すぐ…会えるとか言ってた癖に!」
気分が高揚しているのだろうか。先輩に会えて嬉しいものの、軽口を叩いてしまう自分もいる。
「あぁ、あの後また国からの招集が入ったんだ…」
そう言って先輩は話を続けた。
僕と別れた翌日、先輩は国からの招集がかかっており、王宮へ向かったらしい。
依頼は要約すると、
『新しいダンジョンが先日発見された。しかし場所は魔界国境に近く、レベルが高いとされる。調査を行って欲しい。』
との事だったそうだ。
「そうだったんですか。僕全然気づかなくて…シヴァン先輩お疲れ様です。」
「ん、ありがと。でもそこまで疲れては無いな。あのダンジョン、拍子抜けするくらい難易度低かったからね。」
そう言ってあははっと笑う先輩。僕もそれにつられて笑ってしまう。
ふと、気づいた事があった。
「…でも、なんで先輩が選ばれたんですか?…あっ、いやシヴァン先輩が弱いとかじゃなくて、この国には魔道士の師団もあるのに。」
「そこが将来の俺の配属先ね。フレイは精霊の加護って知ってるか?」
「精霊の、加護…」
精霊は確かに知っている。ただ、御伽噺に出てくるような空想の中のものだと思っていた。
「俺は水霊の加護があるんだ。大まかに言えばバッファー役をする事が多い。」
「バッファーですか?もっとアタッカーとか攻撃特化だと思ってました。」
水でバーン!ってやるんだと思ってたけど、やっぱり違うのかな。
「まぁ全然攻撃だってできるんだけどね。バフや妨害を使える役はかなり絞られてくる。だから俺は数少ない後方支援だ。それにヒールも使えるからね。」
先輩が言うには、水は密接に人体と関係している。ほかの生物も同様。そのためヒールやバフがかかる。
だからこそ、逆だって起こせるんだ。
そう言った先輩は遠くを見ていた。
まだ踏み込んでは行けない境地、そんな気がした。
「ほら、着いたよ。寒いから早く入りな。」
そう言われて、先輩の部屋にお邪魔する。
ダークウッドの床には絨毯が引かれ、こちらでも暖炉がパチパチと部屋を照らしていた。
「先輩の部屋、なんだか御屋敷みたいですね。」
ソワソワと落ち着きのない僕は、キョロキョロと辺りを見回す。
「あぁ、俺のはこんな部屋だ。後でフレイの部屋も見に行くからな?」
ポンポンと頭を撫でられ、腕を引かれる。
「ほらこれ。俺のだからちょっと大きいけど着れるはず。寒いからお湯に浸かってきな。」
そう言って服を渡され、風呂場に通された。
中も相変わらず品のあるシンプルな装飾やバスタブに感嘆してしまう。
僕は先輩のお言葉に甘えてお風呂に入ることにした。
今日は先輩に甘えてばっかりだ。なんだか久しぶりの感覚にタガが外れてしまったようだった。
僕たちの後ろには影が2つ、肩を並べていた。
「っあれ?先輩こっちって…」
「ん?あぁ言ってなかったな。俺はフロスト寮で生活してるんだ。」
中央通りを進み、5つに枝分かれする道を迷うことなく先輩は進んでいく。
「シヴァン先輩もだったんですね。僕も同じでフロスト寮なんです!」
まさか先輩と同じ寮だったとは…。
まぁシロクマだし何となくそんな気もしたけど。
「フレイも氷とか水使うのか?てっきり闇魔法とか使うのかと思ってたよ。」
「なんかそれ僕の見た目で言ってません?」
ははー、と笑ってシカトする先輩。こっちの気も知らずに出会って早々呑気だな!
「…っ、そう言えば。シヴァン先輩あれから半月以上どこ行ってたんですか?すぐ…会えるとか言ってた癖に!」
気分が高揚しているのだろうか。先輩に会えて嬉しいものの、軽口を叩いてしまう自分もいる。
「あぁ、あの後また国からの招集が入ったんだ…」
そう言って先輩は話を続けた。
僕と別れた翌日、先輩は国からの招集がかかっており、王宮へ向かったらしい。
依頼は要約すると、
『新しいダンジョンが先日発見された。しかし場所は魔界国境に近く、レベルが高いとされる。調査を行って欲しい。』
との事だったそうだ。
「そうだったんですか。僕全然気づかなくて…シヴァン先輩お疲れ様です。」
「ん、ありがと。でもそこまで疲れては無いな。あのダンジョン、拍子抜けするくらい難易度低かったからね。」
そう言ってあははっと笑う先輩。僕もそれにつられて笑ってしまう。
ふと、気づいた事があった。
「…でも、なんで先輩が選ばれたんですか?…あっ、いやシヴァン先輩が弱いとかじゃなくて、この国には魔道士の師団もあるのに。」
「そこが将来の俺の配属先ね。フレイは精霊の加護って知ってるか?」
「精霊の、加護…」
精霊は確かに知っている。ただ、御伽噺に出てくるような空想の中のものだと思っていた。
「俺は水霊の加護があるんだ。大まかに言えばバッファー役をする事が多い。」
「バッファーですか?もっとアタッカーとか攻撃特化だと思ってました。」
水でバーン!ってやるんだと思ってたけど、やっぱり違うのかな。
「まぁ全然攻撃だってできるんだけどね。バフや妨害を使える役はかなり絞られてくる。だから俺は数少ない後方支援だ。それにヒールも使えるからね。」
先輩が言うには、水は密接に人体と関係している。ほかの生物も同様。そのためヒールやバフがかかる。
だからこそ、逆だって起こせるんだ。
そう言った先輩は遠くを見ていた。
まだ踏み込んでは行けない境地、そんな気がした。
「ほら、着いたよ。寒いから早く入りな。」
そう言われて、先輩の部屋にお邪魔する。
ダークウッドの床には絨毯が引かれ、こちらでも暖炉がパチパチと部屋を照らしていた。
「先輩の部屋、なんだか御屋敷みたいですね。」
ソワソワと落ち着きのない僕は、キョロキョロと辺りを見回す。
「あぁ、俺のはこんな部屋だ。後でフレイの部屋も見に行くからな?」
ポンポンと頭を撫でられ、腕を引かれる。
「ほらこれ。俺のだからちょっと大きいけど着れるはず。寒いからお湯に浸かってきな。」
そう言って服を渡され、風呂場に通された。
中も相変わらず品のあるシンプルな装飾やバスタブに感嘆してしまう。
僕は先輩のお言葉に甘えてお風呂に入ることにした。
今日は先輩に甘えてばっかりだ。なんだか久しぶりの感覚にタガが外れてしまったようだった。
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