19 / 31
19話 (ちょっと ※ ?)
しおりを挟む
ずっと外にいたせいか、ざっと流した体を湯船に浸けると足先や指先からじんわりとした熱が伝わってきた。
ほぅっと一息つく。
立ち上る湯気とぼんやりと灯るランプに気を取られそうになりながら、体を清める。
遠征から帰ってきた先輩より先にお風呂を貰ってしまっていることに入ってから気づいてしまった僕は、何となく居た堪れない気持ちでいっぱいでもあった。
湯浴みもそこそこに、貰ったタオルで体を拭き、着替えた。
「シヴァン先輩お風呂ありがとうございました。ごめんなさい、僕先輩がお疲れなのに先にお風呂を貰ってしまって……。」
キッチンで作業していた先輩は手を止めこちらに寄ってくる。
「良いんだよべつに。…それより、やっぱりデカイなその服。なんつーか、その、かわ…」
「かわ?」
口に手を当てしげしげとこちらを見てくる先輩はなんかいつにも増して真剣そうな顔だ。
「んー、いや。まぁなんだ、その…あんまりチョロチョロと男に着いてったりすんなよ?」
何を言い出すかと思えば、また意味のわからないことを言ってくる。
「それまた何でですか、というかそれなら今日先輩に着いてったのもダメですよ!」
「何でもは何でも。それに俺は良いの、俺以外の奴は危ないから駄目だ。」
俺も風呂入ってくるよ。そう言って先輩はドアの方に向かう。
少し投げやりな回答に幼く見られている気がして、僕だってもう大人なので大丈夫です!そう先輩に投げかけた。
ピタッと、先輩の動きが止まる。
振り返った先輩と目が合った。
ツカツカと歩み寄る先輩に腕を捕られ、グイッと引き寄せられる。
「……こんなに華奢で、俺が誘ったらノコノコ着いて来ちゃった様な仔猫が?俺が悪い奴だったらどうしてたんだ?うなじだって、頬だって赤くて、今の君は目に毒だよ。」
そう言う先輩の表情はあいにく体勢を崩してしまった僕には見えなくて、でもいつもよりワントーン低い声色とか、圧倒されるオーラ(?)とかがいつもとは違う事をひしひしと感じさせた。
でも不思議と怖いとは感じなかった。
先輩の空いた手は腰に回ってきた。
触れた尾の付け根は偶然なのだろうか。
軽く置かれた手からビリッと感じた事のない感覚が身体の芯を登った。
「っん、?」
ぴくっと腰を揺らしてしまった。先輩はその動きに気づいたようだ。
「…あ、触ったな、ごめんワザとじゃないよ。」
慌てて手を離す先輩。僕もそれに習って姿勢を整える。少し疑った自分を恥じた。
「怖い思いをさせたかった訳じゃないって事は知って欲しい。でも、世の中にはこういうやつ沢山いるから。」
そう言い終わると、表情も少し威圧感のあるオーラもなくなっていて、元の先輩に戻っていた。
「そのテーブルの上にあるココア、飲んで良いからね。眠くなったら寝室はあっちのドアの向こうにあるから、眠くなったら先に寝に行って良いぞ。」
そう言ってシヴァン先輩はお風呂場に向かっていった。
湯気の立ち上るココアを口に含む。抜けていく香りが、また安心感を誘った。
このまま平常心を取り戻せる…なんてことはなく。
(えっ…本当に何だったの!?心臓バクバクで過労死しちゃうって……。)
流石に僕も18だ。言葉の意味くらいちゃんと伝わってる。
耳元で呟かれる低い声や触れる体温……。
何より触れられた腰が反応していた事に驚いた。
(僕、急激なストレスで発情も来なかったから、触られても感じないはずだったんだけどなぁ。)
病院、行かなきゃな。なんて思考を逸らしてみても意識するものは意識してしまう。
先輩がお風呂から上がってくる前に寝てしまおう。
そう思って、僕は先輩の寝室に向かった。
「…多分、このベッドで寝ていいってことだよね?」
その部屋は簡素で机と椅子、そしてベッドだけだった。
ふかふかのベッドに寝そべり、真っ赤な顔を毛布の中に隠す。
今晩は寝られるかどうか、不安でしかない。
ほぅっと一息つく。
立ち上る湯気とぼんやりと灯るランプに気を取られそうになりながら、体を清める。
遠征から帰ってきた先輩より先にお風呂を貰ってしまっていることに入ってから気づいてしまった僕は、何となく居た堪れない気持ちでいっぱいでもあった。
湯浴みもそこそこに、貰ったタオルで体を拭き、着替えた。
「シヴァン先輩お風呂ありがとうございました。ごめんなさい、僕先輩がお疲れなのに先にお風呂を貰ってしまって……。」
キッチンで作業していた先輩は手を止めこちらに寄ってくる。
「良いんだよべつに。…それより、やっぱりデカイなその服。なんつーか、その、かわ…」
「かわ?」
口に手を当てしげしげとこちらを見てくる先輩はなんかいつにも増して真剣そうな顔だ。
「んー、いや。まぁなんだ、その…あんまりチョロチョロと男に着いてったりすんなよ?」
何を言い出すかと思えば、また意味のわからないことを言ってくる。
「それまた何でですか、というかそれなら今日先輩に着いてったのもダメですよ!」
「何でもは何でも。それに俺は良いの、俺以外の奴は危ないから駄目だ。」
俺も風呂入ってくるよ。そう言って先輩はドアの方に向かう。
少し投げやりな回答に幼く見られている気がして、僕だってもう大人なので大丈夫です!そう先輩に投げかけた。
ピタッと、先輩の動きが止まる。
振り返った先輩と目が合った。
ツカツカと歩み寄る先輩に腕を捕られ、グイッと引き寄せられる。
「……こんなに華奢で、俺が誘ったらノコノコ着いて来ちゃった様な仔猫が?俺が悪い奴だったらどうしてたんだ?うなじだって、頬だって赤くて、今の君は目に毒だよ。」
そう言う先輩の表情はあいにく体勢を崩してしまった僕には見えなくて、でもいつもよりワントーン低い声色とか、圧倒されるオーラ(?)とかがいつもとは違う事をひしひしと感じさせた。
でも不思議と怖いとは感じなかった。
先輩の空いた手は腰に回ってきた。
触れた尾の付け根は偶然なのだろうか。
軽く置かれた手からビリッと感じた事のない感覚が身体の芯を登った。
「っん、?」
ぴくっと腰を揺らしてしまった。先輩はその動きに気づいたようだ。
「…あ、触ったな、ごめんワザとじゃないよ。」
慌てて手を離す先輩。僕もそれに習って姿勢を整える。少し疑った自分を恥じた。
「怖い思いをさせたかった訳じゃないって事は知って欲しい。でも、世の中にはこういうやつ沢山いるから。」
そう言い終わると、表情も少し威圧感のあるオーラもなくなっていて、元の先輩に戻っていた。
「そのテーブルの上にあるココア、飲んで良いからね。眠くなったら寝室はあっちのドアの向こうにあるから、眠くなったら先に寝に行って良いぞ。」
そう言ってシヴァン先輩はお風呂場に向かっていった。
湯気の立ち上るココアを口に含む。抜けていく香りが、また安心感を誘った。
このまま平常心を取り戻せる…なんてことはなく。
(えっ…本当に何だったの!?心臓バクバクで過労死しちゃうって……。)
流石に僕も18だ。言葉の意味くらいちゃんと伝わってる。
耳元で呟かれる低い声や触れる体温……。
何より触れられた腰が反応していた事に驚いた。
(僕、急激なストレスで発情も来なかったから、触られても感じないはずだったんだけどなぁ。)
病院、行かなきゃな。なんて思考を逸らしてみても意識するものは意識してしまう。
先輩がお風呂から上がってくる前に寝てしまおう。
そう思って、僕は先輩の寝室に向かった。
「…多分、このベッドで寝ていいってことだよね?」
その部屋は簡素で机と椅子、そしてベッドだけだった。
ふかふかのベッドに寝そべり、真っ赤な顔を毛布の中に隠す。
今晩は寝られるかどうか、不安でしかない。
12
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
鬼神と恐れられる呪われた銀狼当主の元へ生贄として送られた僕、前世知識と癒やしの力で旦那様と郷を救ったら、めちゃくちゃ過保護に溺愛されています
水凪しおん
BL
東の山々に抱かれた獣人たちの国、彩峰の郷。最強と謳われる銀狼一族の若き当主・涯狼(ガイロウ)は、古き呪いにより発情の度に理性を失う宿命を背負い、「鬼神」と恐れられ孤独の中に生きていた。
一方、都で没落した家の息子・陽向(ヒナタ)は、借金の形として涯狼の元へ「花嫁」として差し出される。死を覚悟して郷を訪れた陽向を待っていたのは、噂とはかけ離れた、不器用で優しい一匹の狼だった。
前世の知識と、植物の力を引き出す不思議な才能を持つ陽向。彼が作る温かな料理と癒やしの香りは、涯狼の頑なな心を少しずつ溶かしていく。しかし、二人の穏やかな日々は、古き慣習に囚われた者たちの思惑によって引き裂かれようとしていた。
これは、孤独な狼と心優しき花嫁が、運命を乗り越え、愛の力で奇跡を起こす、温かくも切ない和風ファンタジー・ラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
病み墜ちした騎士を救う方法
無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。
死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。
死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。
どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……?
※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる