【完結・短編】game

七瀬おむ

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「え……、いやでも……」

「そんな奴らがいる職場なんかいる意味ないよ。しかも、ここ数日ずっと胃のあたり抑えてるし、顔色も酷い。相当ストレスなんじゃないの?」

「そうだけど……」

「今実況も順調だし、わざわざ身体壊してまで仕事することないんじゃないの? 生活だって二人だから問題ないわけだし、本格的に身体壊す前に辞めて休んだらいいんじゃない?」

大和の言ってることはごもっともだと思う。

「辞めたい」と思ったことはあったが、生活もあって、そんなことできるわけないと思っていた。



——でも、今は?
大和が続けて言う。

「ゲーム実況ならさ、直樹のこと待ってる人達もたくさんいるわけじゃん。
そんな酷い奴らがいる場所より、ゲーム実況に少し集中して、待ってくれてる人のために何かできることがあるんじゃないかな?」

「直樹の居場所はさ、職場じゃなくて此処だと思うよ」


俺の、居場所。


ずっと職場と家との往復しかしていなかった俺が、友達とゲームができて、しかもそれを見て楽しんでくれる人達がいる。

俺は、この環境に甘えてもいいんだろうか。

「辞めることは逃げることじゃないよ。人には向き不向きだってあるんだし。
俺は、直樹とゲームする時間が一番楽しい。直樹もそう思ってくれてるんだったら、もっと俺と一緒に、ゲームして実況撮ってさ、見てくれる人が少しでも楽しんでくれるような動画をいっぱい出そうよ」

大和の言葉に、先ほどの胃の痛みが嘘のように、胸がいっぱいになり、目頭が熱くなる。

元々限界だったのかもしれない。
どこかで辞めたら生活ができないかもしれない、これが社会人として普通なんだから我慢しなくてはという思いがあったんだ。

だけど、今はもう違う。
俺には居場所があるし、俺といるのが一番楽しいと言ってくれる友人も、動画を見て楽しんでくれる人達だっている。

逃げだとか、なんと言われたっていい。
覚悟が決まった。

「大和、ありがとう……。そうだな。
俺、会社辞めるよ」

溢れそうな気持ちをぐっとこらえながら大和に告げる。

大和は愛おしいものを見るような目で微笑んでくれた。
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